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心象風景 獣との別れ

実を言うと非常に大きな内世界の変革が数日前にあり、本当に穏やかな日々を送っている。

変革が起こってから急に一か月半前に骨折した足の痛みが和らぎ、下り階段を降りられるようになった。
今日のリハビリでも「どうしました?」と言われた。

こわ。

やはりどこかでココロと体は繋がっている。
ココロの変革がボディイメージを改変する事もあるのを「実感」してしまった。
逆もまた然り。
左足の生まれつきの内反足も一緒に矯正しているんだが、首のちょっと上くらいの脳に心地よい痺れのようなものがある。新しい神経接続が起こっているのだろうか。
この「心地よい脳の痺れ」があるとココロが回復するのを感じる。

最近の事だ。
変革が訪れる前から獣が俺の事を「マスター」と呼ぶ事がときどきあった。
俺は「ワンちゃんみたいじゃん」とイジり倒していた。

だが彼はこの変革の後、恐ろしげなフェンリルのようなイメージではなく本当にタイトル画像のようになってしまった。

今日リハビリが終わった後のこと。

さまざまな内世界の探索が終わり、彼は自ら望んでか優しげな姿に変貌してしまった。
いや、ずっと彼はそうなりたかったのかも知れない。

「(新しい探索に)さあ行こうか。」

と彼を促すと彼は一度俺の体に鼻を寄せ、クンクンとした後
自分の匂いをつけるように体を寄せて来た。

そして俺から離れた。

いつの間にかもう一匹犬が居る事に気づく。
それは獣のパートナーだと俺の心が告げた。

「そうか!おまえ、、良かったな!」
俺は心から嬉しくなった。そしてなぜだか解った。

「一緒には行けないんだな?」

彼は澄んだ目で俺を見た。
迷いはないようだ。

「上手くやれよ。もう妙な事して相方をを困らせんじゃねーぞ」

返事をする事なく彼らは去っていった。
不思議と寂しさはあまり感じなかった。

いつからか俺の心に棲んでいた獣。
かつて俺の最大の敵であり、やがて盟友となった存在。

俺の耐える事の出来ない「感覚」をたった一人で受け続け、俺が認識する事の出来なかった最大の解離記憶の門番だった守護獣。

ずっと近くにいてあまり素直でなかった「ワンちゃん」の僥倖を見送りながら心から祈った。





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