君たちはどう生きるか見たわ(ver.1.0.4)
僕ね、一応ね、アラフィフなんですけどもハイジ以外は映画も含めてパヤオさんはリアタイ世代なんすわ。
あれハイジって高畑勲だっけ?
今回宣伝もネタバレもほぼない「僕たちはどう生きるか」
実は昨日見たんすよ。
感想。
「極上のいい肉でステーキ食ってソースも含め死ぬほど美味かったけど消化が大変、むしろ下る」
または
「夏休み前にとんでもない宿題出しやがって。あと2回は見ないとアカンやんけ」
あとは…
「パヤオのマスターベーション見せられてまあまあ気持ち悪いわー」
だった。
力動的というか無意識には溜まるもんがいっぱいあったんですよ。
なんつーんすかね。
無意識な部分に抵触する無駄にアグレッション引き起こす何かはもらったけどその正体がさっぱりわからん、みたいな。
なんかこーニンニクたくさん食って無駄に動きたい、みたいな。
あの人って母性への葛藤ありまくりなのは彼の作品の中でステレオタイプ的に出てくる女性像で解るんですよ。
(投稿後補足:クラリスやシータやナウシカ、さつき、ポニョあたりの感じとカリオストロの不二子、ドーラさん、エボシ御前、ポニョのお母さんあたりの女性像。ここの対比を深掘りするとけっこう面白いからパヤオファンはちょっと考えてみ?)
まーね、俺もそうだからね。
言わんとしてる事は分かるんですよ。
ただね。
今の世の中って
「説明してくださいよ、説明してくんないとタイパ悪いじゃないすか」
とか
「意味わかんない!だから面白くない!」
じゃないすか。
この映画はパヤオさんの究極の察してちゃんムーブというか、説明一切なしなんですよ。
こんだけやれんのは彼の自負と傲慢なんすよ。
まあ日本の文化にそれだけの貢献はしてるんですけどね。
金曜ロードショーであんだけヘビロテ?されて視聴率いいトトロってすげーと思うんです。
ガンダムの富野もすげーけどガンダム三部作やイデオンが金曜ロードショーでヘビロテなんてされてないすからね。
(でも俺はハゲの御大の信者ですけど)
まー千と千尋あたりからエンタメよりも彼自身の主張というか作家性を強く押し出して来たな、と感じたというか「解られることをあきらめた」というか「解釈はみんなに任せるよ」というエンタメとしてはダメなことやってんすけど、それが許されるのもまた彼というか、生きてるうちにテーマパーク作られちゃって、しかも収益的に成功してるっていう日本では「初めて」のケースなんすよ。
パヤオすげー。
で、君たちはどう生きるかという作品なんすけど、過去のパヤオ作品のセルフパロディはガンガン出てくるわ、彼自身の母性への葛藤とかジブリどうなんのよ、というかどうなってもそれはそれだし、私はもう年金受給者のじいさんだし、とか「私はこのように生きて昇華を得ました、で僕は昇華しましたけど君たちはどう生きるの」というのが一切説明なしに書かれてんのね。
観覧者置き去りにして自分だけスッキリして賢者モードになったじいさんに「どう生きるの」って問われても知らんがな、としか言えんわ 笑
ちょっとだけヒント言うと
ムスカ=湯婆婆=今回出て来た鳥の偉い人
みたいな。
もうね、お金使いまくった彼の私小説なんです。
言い換えれば、俺流の言い方をすれば彼のイマジネーションの集大成なわけです。
マジで脳内ぶちまけ感がすごい。
あと、あえて…言うなら「パヤオinワンダーランド」みたいな。
不思議の国のアリスをジブリ風にして、老人パヤオの固着を含めた彼の精神年齢のまま、彼自身の内的世界に踏み込んだというか。
辛辣な意見を言えば
「チラシの裏に書いてろ、な!」的な。
ただそれを「察してちゃん」故に見せないというか、もともと彼は「言わなくてもわかるっしょ」を作家性にして来たからあの映像を表層だけ見たら多分わかんねーんだよな。
特に性的な表現に関しては中学生かって言うくらいそうなんすけど今回の映画は違うんです。
ひっくり返りそうになった。
「パパパパ、パヤオ!悪いもん食ったか認知症か?!」くらいに。
彼ね、叙情的というか性的表現を避ける傾向にあるんすよ。
代表的なのはもののけ姫の冒頭のアシタカに少女が短刀を渡すくだりとか。
もののけ姫ってアレなんです。
「アシタカのクズっぷり伝説」
短刀をサンに渡すなや。
ありえんやろ。
いくらなんでもないわ。
ちょい脱線。
これは俺の感想でしかないんだけど、わかりやすく作る事をスポンサーから要求されるし読解力が下がりまくった一般人への小言めいたものもあるんかな。
ただまあ力動系(深層心理学)を学ぶ者としてはパヤオちゃん自分の無意識にちゃんとしっかり向き合ったんだね、という好感が持てたんだけど。
心理職の皆さん。
今回の映画はすげーっすよ。
主人公を監督に見立てて分析してみてくれませんか。かなり露骨だから。
特に夢分析したい感じの精神分析さんやユング派さんは「ファーwwwwwww」ってなるから。
「おじいちゃん!何見せてくれてんの!?wwww」って。
ユンギアンの皆さんもようやく彼のイマジネーションが彼の神話レベルまでたどり付きましたよ!
この映画は彼の自身へのケアと自己洞察の成果なんです。
学部程度の知識しかない俺でも「わかるわ」ってなるくらい。
ただ今作は彼が昇華はしたものの腹落ちするためには作ってないから登場人物の意味とか現実からのアナロジーがくるくる変わってカオスだし、監督としての彼とかジブリ代表としての彼とかそういうレイヤーがいくつかあるから彼の全作品見てないと見通しは良くない。
いやねーホント怪作。
確かにこれは宣伝できんわ。
どうフレーミングしていいかわかんない。
なんかね、いろんな感情がありながらも高畑監督へのリスペクトとか鈴木プロデューサーへの複雑な感情とかもあるし。
なんつーかなぁ
今までのパヤオ作品を深掘りしてないと「ただ観せられてるだけ」になっちゃうんだよなー
だから「駄作」とも言われてしまうし。
こういう「メタな構造」を知らないと「楽しめ」ません。
いや正直に言うわ。
エンタメとしては映像美以外は面白くない。
ただ、美術と同じように作品を鏡にして自分と対話する、自分の無意識への鍵にするってんならこの作品は間違いなく一級品だ。
それにこれを出せた彼の「力」と「歴史」はすげーと思うよ。
パヤオさんや黒澤明、山田洋次クラスの実力と功績がないとこういう映画は撮れない。
だって「自分でもどうしてこういうシーン撮ったか分からないとこがある」なんてもんを宣伝なしでン十億使って世に出すんだぜ?
それに付き合う人間が居るってのが彼の本当の財産なんだろうな。
見たほうがいい、と手放しでは言えない。
ただパヤオのファンを自称するなら今までの作品を全て見て自分なりに噛み砕いた上で見て欲しい。
すげー感動するから。
パヤオ良かったね、って優しい気持ちになれるから。
今回急にこんな投稿したのは岡田斗司夫氏が似た感想を喋ってたから。
「シン・宮崎駿になった」って。
俺もそう思う。
あんだけ「解脱」しちゃったら、エヴァ新劇完結編で「解脱」しちゃった庵野と同じく実写に行くしかねーよな、と思う。
もし次にパヤオさんが映画撮るならものすんげー物分かり良くなってつまんなくなるか、限界突破してむちゃくちゃ面白いかどっちかだと思う。
この次に何か撮るなら俺は本気で見たい。
今回で昇華した彼の中でずっとわだかまっていた固着をちゃんと自分の物語として腹落ちさせた、本当に彼が「年老いた」後に作った作品を。
最後にヲタク的マメ知識。
ナウシカの巨神兵の演出は全て庵野がやってる。
そんな流れもあったから「風立ちぬ」の主人公の声を庵野にしたんだよ。
これは彼に「結局俺らっていいか悪いかは別にして好きなことや楽しいと思うことを全力でやるしかないよ!だって人間だもの。」という励ましのメッセージじゃないかと思うんだ。
酔っ払ったついでにもう1エピソード。
もののけ姫とエヴァ旧劇映画の公開がかぶったんだよ。
そんときの横に並んだポスターの言葉
エヴァ
「だからみんな死んでしまえばいいのに」
もののけ姫
「生きろ」
このイチャイチャぶりよ。
ちなみに風立ちぬのポスターは「生きねば」
風立ちぬの声当てた頃の庵野ってメンタルズタボロだったんすよ。
ね。
パヤオって本当に庵野が好きなんだなーって思った。ロリ⚫︎ンなのに珍しい。
で、パヤオを好敵手(と書いてともと読む)ライバル視している富野監督は鬱から脱した彼の解脱的なブレンパワードのポスターで「頼まれなくたって生きてやる」
これね、当時のヲタからすればエモいんよ ハゲの御大のツンデレぶり。
というか自分の嫉妬や羨望、敬意を抱いているライバルが自分が大嫌いな同業者とイチャコラしてるのを見て苛立ってた…のかも知れない。
知らんけど。
以上アラフィフのヲタの独り言的な。
今日もう一回行こうかな。
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