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第5回 いったいいつの時代のRPGしてんのさ。

正直に手をあげましょう。
RPGとかでセーブデータをいきなり消したくなって実行したことあったり、甘い誘惑に逆らうのに必死になった人。

はーい🙋‍♂️

それ自傷だからね?

まあある意味肉体的にも経済的にもなんのダメージも受けないから自傷への適応的なコーピングって言えばそうなんだけど、ゲーマーにとっては自傷だと思うんすよ。
ある日突然オンラインゲームでギルドやコミュニティから消えるリセット癖も広義では自傷です。

実はちょっと思う事がありまして。
BPDの人って積み上げて来た成功体験も一度の失敗で全て崩れ去ってしまうという1か0のどちらかしかないデジタル思考する人がけっこう居る。

例えば治療。
自傷を含む行動化や易怒性が穏やかになってきたなと思っていても一度やってしまうと。
「やっぱり自分はダメな人間なんだ」

例えば仕事。
細かいミスはしながらも普通にこなしている。
一度大きなミスをし迷惑をかけてしまった。
「この仕事には向いてなかったんだ」

例えば友達や恋人
仲が良かったはずなのに一度すれ違うと様々な事が嫌になる。
「そういう人だと思わなかった」

例えばお気に入りのアクセや服、車などの持ち物
傷がついてしまったり目移りすると目の前のものが色褪せて見える。
「自分が本当に欲しかったのはこれと違う」

「理想化とこき下ろし」は他人だけに起こるものじゃありません。

白雪姫に出てくる誉めそやしてくれる魔法の鏡のように努力して自己愛を満たしてくれているうちは自分の事が好きなのに一度失敗したり違和感を覚えると自分まで「こき下ろし」の対象にしてしまう。
今までの努力は無駄なものだったと思い込む。
全て最初からの「死に戻り」だと勘違いする。
下手をすると「批判的な自分」が「ダメな自分」を罰するように自傷してしまう。

ちゃんとオートセーブされてるよ?
だから最初からやり直しだなんて思わないで欲しい。
最初からやり直したいたいなんて淋しい事は言わないで欲しい。
あなたにあなたを裁く権利なんてない。
それにこの「理想化とこき下ろし」場合によっては能力として有益だったりもする。

例えばリスクヘッジの才能。
「変化は面倒だから」「今まで地道に築いて来たから」「今は損してもまた儲ける事が出来るかも知れないから」「根はいいやつだからまだ付き合っておこう」「またいつか使うかも知れないから倉庫にしまっておこう」

こういうのは経済活動をする上で損益になるケースの方が多い。心や場所、固定経費を占有してフロー(自由に使えるリソース)がなくなることによって停滞が停滞を呼びやがて停止するしかなくなるからだ。

引く時はなるべく早くバッサリ行く方がリソースを消費しないで済む。
実はこういう時の決断が早いのはBPDの長所でもある。
もちろん長期的には利得があると予想していても一時的な感情でやぶれかぶれな選択としての刹那的な「バッサリ」をやるならそれは欠点だ。
だが穏やかな気持ちの時に「バッサリ」行きたくなったらそれは一定の根拠を持っていると思った方がいい。
停滞を吹き飛ばす力と適性は変革をもたらす上で非常に重要となる。

精神疾患が防衛的な適応だとするなら、防衛戦を全て負けたわけじゃないだろう。
自分なりの戦い方も身についたはずだ。
言わば精神疾患そのものが学びを提供してくれている。
そうではない方々が向き合わなくて良かったところまで自分と向き合っている。

そういうのはちゃんとエピソード記憶手続き記憶にセーブされてる。
人の神経ってのはそういうもんだ。
初代ファミコンのようにセーブ機能さえ満足にない時代なんてこれを読んでる多くの人は経験した事もないはずだ。
60文字のパスワードを誤らずメモするという狂気の沙汰も)
一文字違うだけで今までやった事が全てパーになるなんていつのRPGをやってるんだい?

だから「またリセット癖で放り出してしまった」と自己嫌悪に陥るよりは「とりあえずここまでやって無事撤退出来た、戦利品も経験値も十分手に入った」と喜ぼう。

クソゲーつかまされた、と自分を嘆くのも悪くはない。
その悲嘆からしか哲学者は生まれないから。
だけどこうは思えないかな。

やり込み要素抜群の良RPGだって。

俺?
「強くてニューゲーム」で3周目だけど未だに難解さが以前より増した新しいダンジョンが出現するよ。
俺の人生の運営さん、もうアップデートはお腹いっぱいなんでどんなに陳腐でもいいからトゥルーエンディング下さい。


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