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心象風景 おばけの夢

ちょいちょいおばけの出る夢を見ていた。
因縁や情念どろどろのJホラー(日本的なホラー)大好きな俺だが実は超怖がりである。

Jホラーを夜真っ暗にして見て、後ろに振り返れなくなりそこから動けなくなってトイレにも怖くて行けないのを愉しむというマゾヒスティックな趣味があるのを告白します。

久しぶりに怖い夢を見た。

俺は三つ部屋がある古いアパートを妻または母とともに借りていた。
入口に近い部屋で生活していて奥の部屋はしばらく荷物置きに使っていた。
その奥は入口をガムテープがガッツリ目張りされていて窓にも木が打ちつけられている。

庭から見たら二番目の部屋の荷物は無くなっていて若干のガラクタが転がっている掃除がされていない部屋になっていた。

その奥の部屋に気づいた。
ガムテープで目張りされているはずのドアは厚いビニールのカーテンのようなものに変わっていた。

まずい!と俺は思った。
見るからに「何か封印されてます」という部屋だ。
こいつが開いたら面倒なことになる!

カーテンがゆるりと開いた。
布の帽子と体操着を着た半ズボンの男の子の幽霊が出てきた。

俺は全力で逃げた。

途中、車の整備工場があったのでそこで作業をしているモジャモジャ髪型の年若い整備工に子供の幽霊を押し付けてやろうとした。

そこで目が覚めた。
三時半ごろだった。

やな夢だったなぁ、と思いながら電子タバコを吸う。猫が起きた俺を見に来た。

なんだったんだあれは、と思った瞬間3つの部屋でピーンと来た。
あれは…俺の顕在意識と潜在意識と無意識か。
あの目張りの「ヤベェ部屋」は俺の無意識…に近い領域なのか?

うそ、うそでしょ?
やるの?無理だって。既に鳥肌立ってんじゃん。夢を見ていた脳波なら最適…いやマジ無理って!

ええい!やるんだよ!
解っているだろう。あの奥に何かある。
クソッタレが、行ってやる!

アクティブイマジネーション。
眠りに就く前のように首の付け根や肺を意識しゆっくり呼吸をする。
呼吸をやめないで意識を身体感覚に集中させ、同時に弛緩する。
遠くに行くように。体全体に自分の意識を染み渡らせるように。
研ぎ澄まし、内側を解放するように。
体の奥に沈み込むように意識を雑念から切り離し、浮かんで来るイメージを待つ。
瞑想状態と似たもの。ただし理性は残す。
言うなれば人格を二つ用意し、片方を瞑想状態に移行させもう一方を現実に置く。
理性のみがイマジネーションに飲まれそうになった意識を現実に引き戻す錨になるからだ。
生涯「No.2」というもう一人がいたカール・グスタフ・ユング流の瞑想術。

子供の幽霊。
真っ先にいた。全身が粟立つ。
戻りたい。
いや進むんだよ。
あの部屋の中に入るんだ。

部屋の中は真っ暗だった。
ネットの怪談フォークロアの怪異が次々想起される。
壁に血のりがついていた。流血したまま崩れ折れたのだろうか、手形の血糊は床に向かって擦れながら薄くなっている。
壁一面にそれがある。この部屋の主は血を流しながら何度も立とうと努力し倒れた。

部屋の片隅に目をやる。
ご飯茶碗とお椀、小皿には腐った惣菜。
お盆に乗せられたそれは山ほど積まれていた。
それを目に見えない誰かがギチギチムシャムシャと音を立てて食べている。

二の腕がブルっと震えた。

床。
床一面に裸の赤ん坊がいる。
皆無表情だ。こちらを一斉に見た。
子供の幽霊が俺の手を握った。

逃げるな!
この先に行くんだよ!
自分を鼓舞した。

子供の幽霊を見た。
体操服、半ズボン。
これは…俺だ。

保育園の服だ。
俺は保育園を退園になるくらい手の付けられない子供だったらしい。行く時は泣き叫び、さまざまないたずらをして、昼寝の時間も寝ない。そのくせ一つ年下の女の子によくキツい事を言われて泣いていたな。

赤ん坊は他の寝ている園児だ。
盆の飯を食べてるのは?
俺だ。髪を伸ばし切った青年期の俺。
ガツガツと手づかみで腐った飯を食っている。
子供の頃に出された飯を今更…もうそれは腐ってるんだよ。

嫌な体感。
腰と背中の違和感。
俺は…保育園の布団部屋に閉じ込められている。寝ないからだ。
そうか。
俺はここでも「閉じ込め」られていた。

子供の幽霊が笑った。
思い出したよ。俺はあんな事をされていたんだな。
「もういいの」と小さい俺は言った。
「もういいのか?」と聞いた。
「君は虐待を受けているんだぞ?」

「もういいんだ。ありがとう」と子供の幽霊は言った。
じゃあ俺の中で休むといい。

餓鬼と化した俺も消えた。
そして…寝ている園児たち、部屋一面の赤ん坊は俺になった。

彼らは俺の「忘れていた記憶」たちだ。
ここで意識を浅い場所に戻す。

まだこんなにも解離記憶があると言う事か。
調子がいいから俺は彼らを無視しようとしてたんだな。

済まなかった。
まだしばらくおまえさんたちを引っ張り出す努力を続ける事にするよ。

食道か嚥下近くにえづくような身体感覚がある。
時たまあるこれは…俺の「パーツ」だったのか!

悪夢は嫌なものだ。
だが…悪夢に立ち向かうと得られるものがある事が解った。
悪くない収穫だ。

今。
子供の幽霊。保育園児の俺が嬉しそうに俺に登った気がする。
おまえ危ないからそういうのやめろ。
そうやってすぐ調子に乗るから怪我すんだよ。

ちなみに目をつぶるとなんだか怖かったので今日は3時から起きている。

ちょっと眠い。

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