Amazon.co.jp勤務時代の面白エピソード12選
アマゾンジャパンでの勤務は、そのスケールの大きさだけでなく、内部の文化や働き方が他社とは一線を画しており、日々の業務の中に驚きや笑い、時にカオスさえも感じられるような、ユニークな体験の連続でした。
過去記事は以下から。
そんなアマゾンジャパンで働いていると、まるで「これ、本当に現実?」と思うような面白いエピソードが数多くあります。ここでは、私が経験したものや同僚が経験した物をいくつかご紹介します。
1. 「アマゾンでの面接は、まるで知恵比べ」
過去の記事でも何回か紹介しましたが、アマゾンの採用プロセスは、世界的にも有名な「リーダーシップ・プリンシプル」に基づいています。この採用基準は、企業の成長と成功に大きく貢献しており、面接時にこの原則に基づいた質問が投げかけられます。私がアマゾンで面接を受けた時のことを思い出すと、まるで「知恵比べ」のような感覚を味わいました。
通常の企業での面接では、過去の経験やスキルについて話すのが一般的ですが、アマゾンの面接は一味違います。ある面接官は、私に「あなたが新しいサービスを企画するなら、どんなものを提案しますか?そして、それが顧客にとってどれほどの価値があるか説明してください」と質問してきました。何の前情報もないまま、即興で新しいサービスを考え、しかもそれを論理的に説明しなければならなかったので、かなり緊張しました。
もう一つ印象に残っているのは、「あなたが直面した一番困難な状況と、それをどう乗り越えたか?」という質問です。リーダーシップ・プリンシプルに基づき、ただ問題を解決するだけでなく、「オーナーシップ」(責任を持つ姿勢)や「バイアス・フォー・アクション」(素早い行動)がどう発揮されたかを問われました。このように、アマゾンの面接は自分がいかにアマゾンの文化にフィットするかを証明する場でもあり、非常にユニークでした。
2. 社内ロボットが突如暴走!物流センターの大混乱
アマゾンジャパンの物流センター(FC:フルフィルメントセンター)では、最新の自動化技術が導入されています。中でも「キーヴァ」という自動ロボットは、商品棚を動かしてピッキング作業を効率化する役割を担っています。通常は完璧に動作しているこれらのロボットですが、ある日予想外の事態が起こりました。
ある大規模セールの準備中、キーヴァロボットが突然暴走を始め、商品棚をあちこちに運びまわって大混乱に。オペレーションマネージャーがその状況を目撃し、「これ、ロボットの反乱か?」と冗談を言いながら、すぐにエンジニアチームが対応しましたが、しばらくの間物流センターは大騒ぎになりました。このようなハイテク環境で働くと、技術が便利な反面、思いもよらぬハプニングが起こることがあるのです。
その後、ロボットの動作不具合はすぐに修正され、物流業務は元に戻りましたが、現場のスタッフ同士で「いつかロボットが人間を支配する日が来るかも…」と冗談を言い合うなど、しばらくはその話で持ちきりでした。
3. アマゾンジャパンの「プライムデー戦争」
「プライムデー」は、アマゾンの大規模セールイベントで、全世界のアマゾン従業員にとって一年で最も忙しい時期です。この時期は、通常の業務量が数倍に膨れ上がり、特にカスタマーサービスや物流部門は、常に緊急対応が求められます。私は、この「プライムデー戦争」とも言える激務に巻き込まれた一人でした。
プライムデーの前夜、物流センターでは準備が進められていましたが、商品在庫の急激な増加に加え、予想外の大量注文が発生。各所でトラブルが相次ぎ、社内全体が一丸となって対応に当たりました。オフィス勤務のスタッフも全員出動し、倉庫で商品ピッキングや梱包作業に参加しました。私もデスクワークを終えた後、夜遅くまで倉庫内を走り回って、出荷準備を手伝いました。
その日は、普段は物流現場に関わらないエンジニアやマーケティング部門の人たちも一緒に作業をしていて、普段とは全く違う空気が流れていました。あるエンジニアが「俺のコードがミスしなかったら、ここにいなくて済んだのに…」と笑いながら梱包作業をしている姿は忘れられません。夜が明ける頃には、全員がへとへとでしたが、無事に大量の注文を処理できた時の達成感は格別でした。
プライムデー終了後、オフィスには「プライムデー戦士」としての称号を得たスタッフたちが笑顔で集まり、互いにねぎらいの言葉を掛け合っていました。この忙しさを乗り越えたことで、チーム全体の結束力が一層強まったことを感じました。
4. 会議中の「リーダーシップ・プリンシプル」テスト
アマゾンでは、先に述べた「リーダーシップ・プリンシプル」が業務のあらゆる場面で重視されますが、面白いことに、日常の会議の中でもそのテストが自然に行われることがあります。ある日、私は重要なプロジェクト会議に参加していましたが、そこには突然の「リーダーシップ・プリンシプル」クイズが待っていました。
プロジェクトの進行中、上司が突然、「この状況で適用されるリーダーシップ・プリンシプルは何だと思う?」と問いかけてきたのです。一瞬驚いたものの、私たちは冷静に議論を進め、「バイアス・フォー・アクション」と「インベント・アンド・シンプルファイ」(創造し、シンプルにする)を適用するべきだと答えました。こうしたクイズ的な会話が自然に交わされるのが、アマゾンの面白いところです。
さらに、その後の会議では、「地球で最も顧客中心の企業である」というビジョンを踏まえて、「このアイデアが本当に顧客のためになっているのか?」という問いも頻繁に出てきました。このような厳しい質問がある一方で、逆にそれがチームメンバー同士のコミュニケーションを深め、より良いアイデアが生まれる場面も多くありました。
5. 社内ハロウィンパーティーでの「サプライズ」
アマゾンジャパンでは、社内イベントとしてハロウィンパーティーが毎年開かれます。このパーティーは、普段のビジネスの真剣な顔とは裏腹に、全社員が楽しむためのカジュアルなイベントで、様々な仮装がオフィス中に溢れます。
特に忘れられないのは、ある年のハロウィンで、上司がアレクサのデバイスに仮装して登場したことです。彼は段ボールで手作りした巨大なアレクサの衣装を着ており、近づいてきた社員が話しかけると「すみません、それについてはわかりません」というフレーズを真似て返答していました。オフィス全体が笑いに包まれ、その日は厳しい仕事の緊張感が一気にほぐれました。
さらに、その日は「最も面白い仮装をした人」には豪華な商品が贈られるというサプライズもあり、社員たちは全力で仮装に挑戦しました。普段は厳格なビジネス環境の中で働いている仲間たちが、こうしたイベントでリラックスし、クリエイティブな一面を見せる瞬間は、アマゾンならではの温かい社風を感じるものでした。
6. ベゾスに直訴?!「ダイレクトメール伝説」
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