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別世界での変わらぬ日常

どんな状況下でも楽しさを見つける力に満足してる。

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米ニューヨークからアイスランドはわずか飛行機で5時間。コンクリートジャングルであるNYCとは一変、火山、自然温泉、そして氷河などの景色が広がる小さい島。コロナ禍・旅行ピークシーズンを避けているという要因もあるかもしれないが、往復チケットはわずか$350(4万円弱)。アイスランド航空でエコノミークラス、映画が見れる個人画面付きで席はガラガラで足を延ばしたり寝そべって昼寝も可能という文句の言えない環境。たった数時間で別世界が味わえる。

<アイスランドに取り残された1日目>
今回帰国予定だった日に飛行機に乗れないという事情があり、予期せぬことに当初予定より6日間追加で一人で滞在する事になった。1週間一緒に旅した友達はアメリカに帰国して一人取り残された。友達の輪の中にいるとホーム感が強かったせいか、急に一人になった瞬間1週間全く感じていなかった異国感がすごく押し寄せてきた。そもそもいつ渡航許可がおりるのかがわからない中、日々宿を追加で予約したり、航空券をリスケジュールする作業をしなくてはいけなかったのが苦痛であった。結局2回航空券を変える事となり追加差分を約1万円払った。それと6日分の追加ホテル代はさすがに痛かった。飛行機に乗ることができなかった時は、正直いつになれば帰れるのか、その期間学校はどうするのか、大使館いけば助けてくれるのか、など様々な不安が頭をよぎった。初日はさすがにブルーな気持ちでその日急遽見つけたホテルで過ごしたが、なにも自分でコントロールできない時間を不安に過ごしても意味がないと思い、気持ちを切り替えることにした。どんな状況下でも何かしら楽しもうとする力というのは大切だと思うし、自分はこの力に関しては他の人より長けていると自負している。ポジティブな要素を見つけようとすることは、このような状況では特に使える。
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<2日目以降>
携帯電話も10GBのデータプランSIMカードを1700ISK(約1500円)程度で街にあったVodafonで購入。4Gが使えるので街をナビゲートしたり、友達に写真を送ったり、メッセージもできる。キャリーオンのみで渡航したが、PCとスマホを持ってきていたため、ある意味どこからでもWifiと机があれば普段と変わらず作業ができた。

学校へは状況報告をして、授業の録画を自分のタイミングで見てよいという許可を頂いた。あいにくライブ配信はもうやっていないという事であったが、時差も4時間程度なのである意味アイスランドから普通に授業を生で受ける事も可能。おそらくアイスランド史上初(?)の、アメリカの学校をアイスランドから通う日本人となったであろう。アイスランドの朝の時間はまだアメリカの人々は起きていないという時間なので、午前中に美術館、ショッピングモール、街ブラなどをして時間を有効活用した。お昼頃になるとアメリカ東海岸時間の人々の1日が始まる。基本夜はあまりすることがないので、明るい日中に楽しむ事を優先して、アイスランド夜時間に学校関連の作業などをした。日本の興味がある企業とネットワーキングのZoomコールもアイスランドのホテルのロビーから全く問題なくこなせた。

追加滞在2日目に早速お気に入りのカフェ(Reykjavik Roaster)を発見。ブラックコーヒーは500ISKで2つタイプが常備され、お代わりし放題。もちろんWifiがあり、席は基本平日空いている。かなり作業をしている人も多く、一人だけパソコンに張り付いてムードを壊すリスクも少ない。カフェでは、レコードプレーヤーで音楽を流すというシャレオツ感。しかもうるさすぎず、心地よい音量である。

観光スポットでの一人ランチや食事はどうか。アイスランドで観光客などが多く訪れるレストランでは基本3つメニューにある:フィッシュ&チップス、スープ(パンとバター付き)、バーガー。滞在中とにかくスープとフィッシュを食べ続けてきたため、アジア料理が恋しくなった。平日ランチスペシャルが1690ISKのタイレストランを発見。食事が出るのも早いしランチメニューもシンプル。一人で食べているローカル人が必ず数名いるので一人ランチにはとっておきである。あまりしっかり座ってランチをしたくないという日には、アイスランドで人気(?)のホットドッグスタンドで昼を買い町ブラしながらサクッとランチを済ませる事も可能。少し奮発しても良いという時には、ホテルのレストランが想像の倍おいしい。値段は高いが、外に出たくないときはうってつけだ。そしてレイキャビックにある数少ないラーメン店のHi Ramenはカウンター席があり一人でさくっとラーメンを食べるのにはうってつけ。ちなみに味も個人的に満足できる味。

あまり何もする気がない日は、ホテルの一階にあるバーのハッピーアワーでビールを飲んだりした。
一人でただ美味しいビールを飲む幸福感。友達と飲むのも楽しいが、ただ美味しい冷えたビールを飲みたい時や、一人で何も考えずにビールを飲みつつ人間観察するのは意外と最高なひとときである。まさに一人の「ハッピーアワー」。なぜ普段からやってないんだろうと思った。おそらく友達や知り合いがいる環境で一人でビールを飲みながら座っている事に対して、何か言われたりするのが嫌だからであろう。別に一人でビールを楽しむ事に何も悪い事はないが、他の人がどう思うかなどちっぽけな事を考えてしまうのであろう。しかし、アイスランドであれば全く関係ない。
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<帰国後>
わずか一週間という短い期間であり、レイキャビックという一つの町にしかいなかったが、私はこの経験を通して改めて、なんて世界は小さくて便利なんだと実感した。小さいというのは、ある意味さくっと別世界感が味わえて、他国人たちの日常に少し溶け込めるという事。どこにいようが、自分なりの日常を手に入れて新しい環境で過ごすことがここまで簡単になったのかと自分なりに発見であった。もちろん超短期であればこのようにある意味楽しく刺激的な体験が可能だが、1年ぐらいの期間だとそれなりに飽きであったり、ホームシックになるであろう。中長期ではそのチャレンジを超えてかなりローカル並みの楽しみ方や新たな景色・日常が生まれてくるのではないであろうか。

もう一つ思ったのが、新しい環境での楽しさに唯一かけていたのがコミュニティだ。最初は一人でも楽しいが、それを共有する友がいないことが心苦しかった。すごくおいしい料理を「おいしい」と言える相手がいなかったり、どこか新しい場所に冒険に行くときに一緒に行ける人、何か助けが必要な時に頼れる人がそばにいるかいないか、などコミュニティがあるかないかでは相当生活基準やライフクオリティが変わるなと思った。

これは母国の日本でも同じことだと思う。日本には学校の友達や家族がいるが、働き始めて毎日会う人は会社の上司や同僚のみで忙しいときは凄い孤独感を感じた事を覚えている。東京ほど人口密度が高く、自分が生まれ育った町にもかかわらず孤独感を感じるというのは非常に不思議であったが、やはりより自分からプロアクティブにコミュニティで活動をしてコミュニティの一部になる事が大切なんだなと思った。仮に自分がアイスランドに一人で移住や駐在することとなったらどうするかなーと滞在中考えた時があった。おそらくほぼ問題なく心地よく過ごせるだろうが、今回と違う事が一つあるとすれば、コミュニティを探すという事だと思う。例えば日本食レストランのオーナーに話しかけてみるのもいいかもしれない。「最近移住しました」コミュニティをSNSで探したり、外国人コミュニティを探すのもあり。そしてローカルの人たちとの接点を作り、コミュニティから「得る」事ばかりではなくどうやって「Give Back」できるかを考えるであろう。例えば日本語を学びたい人が数名ぐらいいるとすれば週末日本語学習・会話レッスンを無料で提供してローカルのそもそも接点のない人つ繋がるなんてのはシンプルなアイディアとしてあるだろう。他に趣味やスキルなど他の人より長けているものがある人であればそれを使ってコミュニティに入ることもできるのではないだろうか。

町や人にとって自分が求められている、真の意味でウェルカムされているという実感こそが、新しい環境での日常を手に入れる際のチャレンジであり、より充実した暮らしを築けるヒントなのではないかと。小雨が降りまだ人波が少ない平日朝、レイキャビックの町並みを眺めながら考えたのであった。

お わ り

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