外資系の日本法人で必要な英語レベルはどれぐらい?

米系の大企業とスタートアップの両方を経験してきましたが、よく「外資系に入るにはどれぐらいの英語力が必要なのか?」と質問を受けます。

一般的に、大企業ではあまり英語を必要としない職種(営業など)、読み書きは必要な職種(SE/Pre-Sales Engineerなど)、ディスカッションも必要な職種(戦略企画、マーケティング、プロダクトマネージャーなど)といった形で職種によって変わってきます。

なぜでしょうか?

大企業では、トレーニング資料や製品資料なども日本語化されていることが多く、日本法人の顧客は日本企業のため、営業はほどんど英語を利用しません。
一方で、SEなどの技術職は最新の製品情報や仕様の確認など、英語のドキュメントを読むことが求められます(日本語化されたドキュメントは更新が遅れていることもあり、最新の情報は英語が確実)。また、障害時などは本社の開発チームとの英語でのメールのやりとりなどが発生します。
また、会社の中には頻繁に本社や同一リージョン(Asia Pacificなど)の同僚とやり取りをする必要がある職種もあります。戦略企画、マーケティング、プロダクトマネージャーなどがそれにあたります。この場合、ビデオ会議でのディスカッションや出張をしての会議などがあるため、会話力も求められます。

外資系スタートアップの日本法人の場合、日本の社員が少ないため、それぞれの役割の社員が同様の役割の本社の社員とやり取りをする必要が出てきます。そのため、英語力は読み書きだけではなく、会話力も要求されます。あまり英語力が付いていない状況で入社した場合、ディスカッションができるレベルまで上達すべく、入社後にかなり努力をする必要が出てきます。

では、どの様に英語力を上達させれば良いのかステップ毎に見ていきましょう。私も英語がほとんどできない状態からこのステップを踏むことで、海外のMBAへ行ったり、シンガポールにある米系企業で働いたりすることができたので、実行するのは時間もかかり大変ですが、リターンは大きいと思います。

1)英語がほとんどできない、読み書きもできないレベル
まずは英語がどの様なものなのか、雰囲気をつかめるようにする必要があります。これができると、相手の言ってることがなんとなくわかる、こちらの思いを少しだけ伝えることができる、というレベルになると思います。ただ、単語力や読解力がないため、インターネットや新聞の記事などを理解するのは難しいです。

英語を雰囲気で理解するには以下のネイティブスピーカーシリーズがおすすめです。私も大学入学時は英語が全くできなかったので、勉強しようと思いついたときにネイティブスピーカーシリーズを何度も読んで英語の雰囲気を掴みました。

2)ある程度英語には慣れ、コミュニケーションも少し取れるようになってきたレベル

この段階では、「何となく相手の言っていることがわかり、自分の思いも何となく伝えられる」状態だと思います。この「何となく」というのは問題で、意思の疎通に乖離が出てしまうため、このレベルで英語で交渉を行うことはかなり無謀でしょう。また、インターネットや新聞の記事なども何となく理解できた気がするけど、実際に日本語への翻訳をしようとすると、しっかり理解できていないことがわかると思います。

そこで、次のステップは、単語力を圧倒的に増やし、文法力を付けて、読解のコツを掴むことです。
ある調査によると、英語の文章を辞書なしで理解するには98%の単語を理解していないといけないそうです。単語力は重要ですね。

単語はとにかく反復して覚える必要があります。「TOEFLテスト英単語3800」のRank1〜3を完璧に覚えれば単語力がかなり上がります。最近ではアプリ版もあるようなので、スキマ時間で勉強できますね!

アプリ。

読解力をつけるには文法への理解や、読み方を覚える必要があります。以下の2つのどちらか1冊を読めばOKです。

「英文読解の透視図」 

「英文解釈教室〈新装版〉」

また、次に以下のことをやると、文法力・読解力はもちろん、リスニング力・スピーキング力もバランスよく向上します。
「TOEFLテスト基本ボキャブラリー2000語」の文中に出てくる単語を覚え、リーディングを何度もして、文章を頭から理解できるようにする。また、リスニングを何度もして、文章を理解できるようにする。シャドーイングをして、英語の発音に慣れる(シャドーイングをすると、リスニングをする際も聞き取る力が上がります)。

「TOEFLテスト基本ボキャブラリー2000語」

以下のZ会が出している本でも同じことが可能です。自分に合う本でやってみましょう。

中級 人文・社会科学編 

中級 自然科学編

上級 人文・社会科学編 

上級 自然科学編

ここまで行うと、かなり英語力が上がっていると思います。TOEICでは900点以上も出るのではないでしょうか?
この後は、仕事で利用する専門用語を覚えたり、英語での会話・交渉・プレゼンテーションの仕方などを覚えていくことになります。この辺はまた次回に。

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