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クマに襲われて生き延びた人々 〜 九死に一生の理由はどこに?

本記事は書籍『日本クマ事件簿 〜臆病で賢い山の主は、なぜ人を襲ったのか〜』(2022年・三才ブックス刊)の内容をエピソードごとにお読みいただけるように編集したものです。


(編集部注:本稿は『日本クマ事件簿』に収録された、死傷者をともなう熊害事件エピソードに対し、生存者に関するエピソードをまとめたものとなります)

本稿では『人身事故情報のとりまとめに関する報告書』(日本クマネットワーク)より、2000(平成12)~2010(平成22)年にかけて国内で起きた人身事故から、タイプの異なる事例をピックアップしている。

被害者はいかにして助かったのか。リアルな状況報告は、事故に遭わないためのケーススタディとして参考となるはずだ。

ケース1|朝の散歩中に背後から襲われ左目を失明

  • 石川県金沢市森本

  • 70代女性|重傷

2010(平成22)年7月23日午前6時30分ごろ、金沢テクノパーク工業団地にある幅12mの車道を、近くに住む女性が朝の散歩で坂を下り、自宅へ向かっていたとき、目の前をネコほどの動物が横切った。と思った瞬間、背後で獣の吠える声がして振り返ると、坂道脇の藪に体長1mほどのクマが立っていた。

驚き逃げ出した女性は転倒。そこにクマが飛び乗り、顔面を爪で切り裂かれ重傷を負った。女性は2カ月間入院したが、左目を失明した。

ケース2|クマが勝手口から室内に侵入し住人を襲う

  • 京都府与謝野町石川

  • 70代女性|軽傷

2010(平成22)年9月14日午前4時30分ごろ、開いていた自宅の勝手口を閉めようと、住人の女性が扉に向かうと、突然クマが室内に侵入。女性の左腕を引っかき、左脇腹に噛みついた。同居する夫が大声を上げると、クマは逃げて行った。

勝手口の前にはキャットフードが置かれ、土間に頭部を噛まれ死亡した子ネコが発見された。また、外の柿の木の実にクマによる食害も確認された。

ケース3|新聞配達員が民家の玄関先でクマと鉢合わせ

  • 鳥取県

  • 60代男性|軽傷

現場は標高600mほどの山中にある民家。2010(平成22)年7月23日午前4時40分ごろ、新聞配達員の男性が県道に車を停め、そこから徒歩で事故現場となる民家へ向かった。玄関先には雪囲いが立ててあり、男性は、そこで立ち上がった状態のクマと鉢合わせとなった。

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