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【密着取材】ポインターで獲るキジ猟
本稿は『けもの道 2019春号』(2019年4月刊)に掲載された特集記事『日本の鳥猟犬界』を note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。
文・写真|佐茂規彦
全猟チャンピオン戦の取材から約1ヶ月後、レザーブ賞のマイク(登録犬名シーフィールド・マイク)を輩出したシーフィールド犬舎(大阪府)主催のキジ猟に同行した。
そもそも英ポインターなど鳥猟犬の猟芸はトライアルのためのものではなく、実猟下においてハンドラーとともに狩りをするためのもの。チャンピオン戦で見た素晴らしい猟芸の数々は、現代日本の猟場でもしっかりと輝きを放っている。
とはいえ、筆者を含め今では鹿や猪狙いの大物猟から始め、鳥猟犬を使った実猟を見る機会の少ない狩猟者も多いと思う。一方で、鳥猟家たちからは、猟犬を使った鳥猟こそ狩猟の醍醐味、犬の素晴らしさ、犬と人とのパートナーシップの尊さを感じられるという声を聞く。
今回のキジ猟は、まさにそんな鳥猟家たちの声を代弁するかのような猟芸を見ることができた。
ポインターがいる猟景
この日、猟場ではベテラン犬の「エース」、そしてレザーブ賞を獲った有望犬の「マイク」という2頭のポインターを交互に放した。
エースは7歳で、猟芸は熟練の域に達したベテラン犬。ハンドラーたちの足元からはほとんど離れず、非常に近い位置で捜索している。
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捜索は勢いに任せた乱暴なものではなく、要所を突いたテンポの良いもの。捜索からさらに藪に入ってガサガサと始めたと思いきや、1分も経たないうちにハンドラーは「おらん。次、行こ」と言って、「ビビッ!」と笛を吹いてエースを呼び戻し、再び移動を開始する。
短時間でエースがポイントに入らなければモノはいないという証なのだ。一見して、効率の良い狩り方であることは明白だ。すでにモノがいないような小さいニオイにはほとんど反応せず、次々と狩り場を移動することができる。
また、猪や鹿の跡はかなり多い場所だが、まったくと言っていいほどそれらには反応しない。明らかにキジ、ヤマドリなど地上の鳥を捜索している。
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マイクは5歳になるが、エースに比べると荒削りだ。徐々に落ち着きを見せたものの、1回目の放犬時は興奮が優って、かなりのスピードで猟野を駆け巡った。
ハンドラーが頻繁に呼び笛を吹いたり、「マイク! マーイク!」と名前を連呼して呼び戻す場面もしばしば。ただし、この呼び戻し自体も訓練の一環であり、ハンドラーたちから常に離れ過ぎないようにするためのものだ。
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