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【猟犬訓練レポート】全猟兵庫県支部 鳥猟犬訓練会 〜 2019年春
本稿は『けもの道 2019秋号』(2019年9月刊)に掲載された記事を note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。
文・写真|佐茂規彦
2019年春の全猟兵庫県支部 鳥猟犬訓練会
ゴールデンウィークが明け、新緑が眩しくなって来たとある週末、一般社団法人 全日本狩猟倶楽部兵庫県支部の訓練会が開催された。場所は淡路島の某所にある草地。ゆるやかな起伏と膝下の高さの雑草類に覆われ、鳥猟犬の訓練にはもってこいのフィールドだ。
ポインターやセター、ブリタニースパニエルなどの鳥猟犬を連れた狩猟は、猟期中には自然鳥のキジやヤマドリを主なゲームとして狙うが、今回は人工的に繁殖させたウズラを購入し、置き鳥(※あらかじめ訓練フィールドに鳥を配置すること)にして使う。
ウズラは警戒心が強く、犬が近づいても地面を這うなどしてすぐには逃げず、ギリギリまでその場にジッと身をすくめる習性があるため、鳥猟犬の捜索やポイントの訓練には昔から適しているとされているのだ。
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誤解のないよう言及するが、現在ウズラは非狩猟鳥であり、この訓練は犬にウズラを覚えさせ、猟期中にウズラを獲るためのものではない。実猟において犬が自然のウズラを探し当ててしまった場合、フラッシュさせた後に獲物を見極めて射獲しないという判断はハンドラーたる狩猟者が下すものであり、誤射はあってはならない。
出犬は14頭で幼犬は1頭、若犬と成犬で半々ぐらい。快晴に恵まれ、集まったセターとポインターたちも気持ち良さそうにしている和気あいあいとした訓練会だ。
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ただし、あらかじめ決められたコースを辿ること、鳥がいるところにハンドラーが犬を誘導せず犬に鼻を使った自発的な捜索をさせること、前を行く犬をずっとトレースする(追跡する)だけの犬は評価されないことなど、その内容はトライアル(もちろん実猟も)を意識した真剣なものだ。鳥猟犬に限らずフィールドに出た狩猟犬はいつでも全力だ。狩猟犬の育成にはハンドラーにも訓練時から緊張感が求められる。
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ポイントは血がそうさせる
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