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越冬穴に気づかずヒグマ飛び出す 営林署作業員襲われ死亡|北海道・下川町|昭和51年
本記事は書籍『日本クマ事件簿 〜臆病で賢い山の主は、なぜ人を襲ったのか〜』(2022年・三才ブックス刊)の内容をエピソードごとにお読みいただけるように編集したものです。
はじめに
本稿では、明治から令和にいたるまで、クマによって起こされた死亡事故のうち、新聞など当時の文献によって一定の記録が残っている事件を取り上げている。
内容が内容ゆえに、文中には目を背けたくなるような凄惨な描写もある。それらは全て、事実をなるべく、ありのままに伝えるよう努めたためだ。そのことが読者にとって、クマに対する正しい知識を得ることにつながることを期待する。万一、山でクマに遭遇した際にも、冷静に対処するための一助となることを企図している。
本稿で触れる熊害事件は実際に起こったものばかりだが、お亡くなりになった方々に配慮し、文中では実名とは無関係のアルファベット表記とさせて頂いた。御本人、およびご遺族の方々には、謹んでお悔やみを申し上げたい。
事件データ
発生年:1976(昭和51)年12月2日
現場:北海道下川町
死者数:1人
営林署作業員が死亡
越冬中のヒグマに襲われる
冬眠中の時期にあっても、ヒグマによるアクシデントは起こり得る。それを証明するかのような事例が、1976(昭和51)年12月2日、北海道下川町で起こった事故だ。
下川町は道北に位置付けられ、真夏には30℃、真冬には−30℃を記録するような、寒暖差の激しい地域だ。北海道の中では積雪が少ないが、12月にはかなり冷え込む。
営林署作業員のA(54歳)は、足下に越冬穴があることに気づかず除伐作業を行っていたところ、ヒグマが雪の下から飛び出してきた。
Aは手持ちの刃渡り28cmの鉈鎌で反撃したが、致命傷を負い死亡した。
事故後の検証によると、ヒグマは母グマで、巣穴には10カ月の子グマが2頭、潜んでいたという。そのため、この攻撃は子グマを守るための排除行動だったことが窺える。
(了)
本エピソードは『日本クマ事件簿』でもお読みいただけます。明治から令和にかけて死傷者を出した熊害事件のうち、記録が残るものほぼ全て、日本を震撼させた28のエピソードを収録しています。
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