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ホンマでっか!? なカラスの話 〜 意外と知らない狩猟鳥

本稿は『けもの道 2020春号』(2020年4月刊)に掲載された記事を note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。


みなさん「カラスなんてただの駆除対象」……なんて思っていませんか? カラスは昔から狩人との関係も深く、観察するのも面白い鳥。知れば知るほど、山歩きが楽しくなること間違いなし!

文・イラスト|吉野かぁこ

01. 無邪気なブト・職人肌のボソ・旅行ツアー好きのミヤマ

世界中にカラスの仲間は40種類ほどいる。日本で生息するカラスは5種類で、その中で狩猟ができるのはハシブトガラス、ハシボソガラス、ミヤマガラスの3種類……というのはハンターなら周知の事実。「どれも似たようなもんでしょ?」と言われがちな彼らだが、よ~く観察するとキャラクターが違っていてとっても面白いのだ。

ハシブトガラス

まず無邪気な少年キャラなのが、都会にも多いハシブトガラス。クチバシが太くてアーチ状、カァカァと澄んだ声で鳴く。オデコの毛はふんわり逆立っていて、人間の髪型に例えるとソフトモヒカンのようだ。肉食の傾向が強いと言われ、エサの捕り方も「見えた物にそのまま飛びつく」真っ向勝負なスタイルである。

ハシボソガラス

一方、器用な職人肌なのが、田舎に多いハシボソガラス。クチバシは細くて直線的、ガァガァとしゃがれた声で鳴く。髪型……いや、オデコの毛はペタッと寝ていてオールバックと言ったところか。クチバシをピンセットのように使って落ち葉や石をどけながら、下に隠れている虫などを食べる。

ミヤマガラス

そして、団体旅行が好きなツアー客そっくりなのが、ミヤマガラス。ハシブトやハシボソは日本に一年中いる留鳥だが、ミヤマは中国大陸から冬の間だけ群れで渡ってくる渡り鳥なのである。ハシブトやハシボソより小柄なカラスで、成鳥はクチバシの上に生えている毛(嘴毛しもう)がないので、鼻の穴が丸見えなちょっぴり恥ずかしい見た目となっている。

とは言え、見る角度や状況によっては、研究者でも迷うほど似ているカラス三人衆。遠くからでも見分けるヒントは、鳴き方の違いだろう。

ハシブトは体を水平に倒しながら、尾羽をピコピコと下げて鳴く。ハシボソは頭を振り上げながら、全身を震わせるようにして鳴く。ミヤマは、数十羽~数百羽の群れでいることが多く、クチバシが石灰化して白っぽいので双眼鏡で見ると分かりやすい。だが若鳥はハシボソとそっくりなので、一般人が区別するのは難しいだろう。

「あれはブト? いやボソかも……」カラスを目で追ってしまうようになったら、あなたも立派な「カラスソムリエ」の仲間入りだ。

02. 猟犬の鳴きマネや人間のモノマネができる!?

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