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【猟犬訓練レポート】熊野山本猪犬訓練所 猪犬訓練会 〜 2019年春
本稿は『けもの道 2019秋号』(2019年9月刊)に掲載された記事を note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。
和歌山県山中に猪犬猟師が集結
猪犬猟師の春のレクリエーションのひとつである熊野山本猪犬訓練所主催の猪犬訓練会が今年(2019年)も4月14日(日)に行われた。東は群馬、西は佐賀から、東西に散らばる猪犬猟師たちが和歌山の山中に集まり親交を深めた。
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猪犬猟師たちの会話は昨猟期の猟果自慢をさておいて、愛犬たちの活躍ぶりや猟芸のほど、新しい仔犬の出生などがもっぱらのメインテーマになる。猪犬の世界の住人たちは、犬と猪に向けられる飽くことのない好奇心と探究心に満ち溢れている。
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2頭掛けの妙
猪に犬を掛ける場合、その数によって単犬掛け、2頭掛け、2頭以上の複数頭掛けに大別できる。狙う猪によって、地形によって、あるいは狩猟者自身の嗜好(単犬にこだわりたいとか、複数の犬の連携プレーを見たいとか)などによって犬を掛ける頭数は違ってくる。
一般的には、犬は1頭よりも複数頭いる場合の方が猪に対する総合的な対応力が増し、猪を獲りやすいと思われている。しかし、犬同士の興奮がさらなる興奮を呼び、それが警戒心を上回ってしまい、結果として猪は獲れても犬が受傷することが多くなってしまうことがある。
ただし、2頭掛け(あるいはさらに多いパック)でも受傷しにくい犬はいる。単犬掛けの場合と猟芸が変わらないとか、犬が増えても安易に口を掛けにいかない(咬みにいかない)などの犬たちがそれである。
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