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【当世猪犬見聞録】紀州系猪犬に半生をかけた猟人

本稿は『けもの道 2017秋号』(2017年刊)に掲載された記事を note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。


今回の猟人:出頭忠康氏(茨城県鹿嶋市)

文|八木進

出頭忠康 〜 紀州系猪犬に半生をかけた猟人

「紀ノ國」和歌山県は古来より「木ノ國」とも言われ、良質の檜・杉の産地として名高い。その豊かで秀麗な紀伊山地を源とする銘河川も多く、古くから川筋ごとに名猟師・名猪犬を輩出している。

中でも熊野山地の最深部を源とする「古座川」は、名紀州系猪犬の産地としてつとに有名であり、中でも上流部の支流「西川」付近から出た「古座川黒」は、特に秀でた希少な猪犬として猪猟師の垂涎であった。

※本稿中「古座川黒」とあるのは正式名では無く、本来は「●●黒」(●●には人名が入る)であるが、個人名の表記は控えることとする。

茨城県鹿嶋市在住の出頭忠康氏(69歳)は狩猟歴46年である。

当初の数年間は紀州犬を使役してのヤマドリ猟であったが、猪猟への転向を思い立ち産地の和歌山県へ猪犬探訪に出かける。

古座川筋で猪犬探しをするも、なかなか良犬に巡り合えなかったところ、偶然、現地のある猟師から山梨県の猪猟師が「古座川黒」系を所有しているとの情報を得る。

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