幻の屋久島犬が魅せる残すべき姿芸
文|佐藤未歩
写真|いなたまきこ
屋久島のヤクシカ猟朝から雨だ。
猟期終了間際の3月4日、屋久島の南部、世界遺産登録地域を横目に山へ入る。勢子の屋久島犬保存会会長、若松さんが犬を入れ、しばらくすると甲高い声が響く。剣(雄4歳)と妹のビビ、甥っ子のバルが鹿の匂いをとり、追い出した。
犬の声が近づく。待ちの江口さんにとっては狩り慣れた山で、鹿が逃げてくるルートを全て予測していた。
犬の声が止まった。どうやら鹿は畑の網の破れたところから逃げたようだと、江口さんが迎えにきて