THE FIRST SLAM DUNK 書き殴り体験記
THE FIRST SLAM DUNKを今更、復活上映も終了まであと5日だってのに見てきたので感想を書きます。
【前提知識】
→スッカスカ。名言をいくつか知ってるレベルでメイン5人で特徴把握してるのは桜木花道(主役・ド素人)と赤木(ゴリ・テーピングの人)レベル。あと安西先生は知ってるよってレベルのスラムダンクド初見。
なんならバスケすら体育の授業で何回かやったことがあるレベル。基礎的なルールくらいは覚えてるけど……ってくらい。
【なんで見に行ったの?】
→本放映時からスラダン布教してたフォロワーがいたんだけども、そいつからの「ウチの友人がプロメアばりにハマってたぞ!!」が決め手になった。あの、あのプロメテック炎人量産一上映完全燃焼映画「プロメア」にハマった人間がハマり倒す映画なら絶対に映画館に体感しに行かなければならない。4DXや応炎上映に通い詰めた挙句限定版ブルーレイまで買って2桁は見た人間の勘がそう叫んだのだ。
……今回鑑賞したのは特筆すべきこともないショッピングモール内のシネコン、しかも事前に映画を2本ハシゴした上での鑑賞だったが、映画が始まってすぐ、ここまで見てきた映画とは全く違う感覚が私を襲う。鼓膜どころか全身を震わすバスケットボールのバウンド音に、思わずシートの上で姿勢を正すことになった。この鼓膜どころか全身に響く音響、間違いなくこれは生半可な気持ちでは受け止めきれない映画である、こちらも本気で受け止めなければならないそれであると即座に思い知らされたのだ。
そしてシームレスにOPから本編へ突入、始まる湘北対山王戦。この作品に疎い俺ですら結果を知っている、伝説的カードだ。しかし、試合開始直後にその結果はすっかり頭から吹き飛ぶと同時に私の意識はあの体育館のプラチナシートへとガッチリ固定された。時々これがアニメーションであることを忘れそうになるほどリアリティのある選手たちの動き、「この作品の主役はバスケットボールである」と言わんばかりに大きく響く効果音、その両者を邪魔せずに引き立てるbgmの数々、気づけば選手や観客達と呼吸や息を飲むタイミングがシンクロしだす。歓喜、興奮、驚愕。しかしここからこの映画は更にギアを上げ続ける。終わらない。作画や展開に全く中だるみがない、ひたすらに全身全霊全力で克明に描かれ続ける死闘。ピンチに次ぐチャンスからのピンチ、最後の0.1秒まで一瞬たりとも目が離せない試合運び。この辺は名作がなぜ名作であるかという事実を全身で浴びる形で分からされることになった。試合中に敵味方問わず挟まれる回想シーンも全くブレーキになっておらず、私のような初見へのわかりやすいキャラの説明に加えて各々がどんな思いを背負ってここまで来たかをより強く意識させてくれる。少年漫画的なややオーバーな言動や描写も、リアル一辺倒でないケレン味を出す程よいスパイスとして作用しているように私には感じた。というかそういう演出がなかったらこれが少年漫画原作であることを忘れそうな程に没入していた。
―そして約2時間半後。エンドロールと共に第ゼロ感が流れ出す頃には両手は固く握り締められ、額には汗、そして全身が脱力感に包まれていた。今まで自分が見ていたものはフィクションなどではなく、なにか、歴史に残る凄まじい試合を見てしまったのではないか。そんな考えが頭をいっぱいにする中、明かりの点る劇場で感服の表現と脱力の為の溜息を吐くのだった。
「……すごいもの見ちゃった……。」
本当に、本当に何も情報を入れていない初見での鑑賞が映画館で良かったと思わされる映画は久々だった。間違いなく今年最高の映画体験だった、そりゃ流行るよこんなの。