●テニス コミュニティテニスプレイヤーとは

この1年間のテニス活動を振り返るとー
自分のテニスを追求すること以外に、地域の中のコミュニティの中で小中学生たちを教えるようになった。この経験は自分のテニスや生き方に大きな影響を与えることになった。

これまでは大学生や一般プレイヤーに対してテニス理論を説いてきたのだが、割とうまくコーチングできている。その理由の1つに、相手のもつ言語世界や身体感覚の中に入り込むことを前提とした理論を用いているからである。
しかし、小中学生の場合にはそううまくいかない。なぜなら、まだ言語を十分に理解できないし、身体感覚も発達していない。まして身体も発育していない。
相手が持っていない感覚を新たに教えることはすごく難しいことなのだということがよく分かった。

どうしたら子どもたちに教えることができるのかと悩んだ。このまま子どもたちは上手くならないままになってしまうのではないかと心配もした。しかし、そんな心配をよそに、子どもたちは身体の成長とともに、できなかったラリーもできるようになり、試合もできるようになった。もちろん、テニスクラブのコーチや保護者の教えの成果であることは間違いない。しかし、それ以外にも身体や精神の発達の影響がこれほどまでに大きいとは知りもせず、筆者にとって大きな発見であった。

子どもたちのスピーチにも同様の発見があった。心身の発達とともに用いる言葉や文章の構成がしっかりしてくる。

3−4月は進学・進級・卒業を迎えるシーズンである。このコミュニティでも、子どもたちが新たな人生のステージを迎えるためのセレモニーを行なった。それはもう、子どもたちの成長が愛おしく感じられ、本当に胸が熱くなるセレモニーであった。

この季節の行事に触れて思う。コミュニティの中でテニスをすることは、単にテニスをしたり教えるだけに止まらず、子どもたちの成長を近くに感じて大人同士で喜び合い見守ることなのだ。そして、この小さな仲間たちがやがて独りの力で社会に巣立つとき、その社会を今より少しでも良くすることが大人の責任なのだ。プロやコーチと違って、そうした意識を持つのがコミュニティテニスプレイヤー、なのだ。

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