テイルズ オブ ザ テンペスト
※本記事は、作品プレイ当時にXへ投稿した文章の転記です
(2024年4月23日)
今日から テイルズ オブ ザ テンペスト
(2024年5月6日)
テイルズ オブ ザ テンペスト をクリアしました。
一番身近な人の大切さを知るRPG
種族(民族)間の意識差、格差、差別を扱った話は過去シリーズにもありましたが、主人公が迫害される側の種族というのは本作が初めてだったのではないでしょうか。この一事だけで、これからカイウスに課せられる試練が想像できてしまう。彼の「生まれの事情」が序盤に明かされたその時点で、私はおぼろげに今後の展開を想像したのですがしかし、物語はまるで異なる方向から私を殴ってきました。つまり私は、カイウスが行く先々でリカンツと罵られ蔑まれ、それでもめげずに立ち上がりやがて「自分はレイモーンの民としてどう生きるのか」に辿り着くのだろうと思い描いていたのですが、どうも少し違って見える。予想に反して、カイウスと各地の人々との衝突といったことは起こったりしない。ただこれは実はもっともな話でもあり、レイモーンの民は(例えばリバースのガジュマたちとは異なり)獣人化の能力を発動していない間はヒトと同じ姿をしているので、切迫した状況に追い込まれでもしない限りはレイモーンの民であることを暴かれようがなく、カイウスもいち旅人として扱われるばかりなのです。この点は、予想外ではあったものの、捉えようによっては「レイモーンの民」という世界設定を真摯に描いている(=「カイウスを苦しませるシーン」を作りたいがために無理矢理に彼を人前で獣人化させたりはしていない)とも考えられるので、納得感のある展開でした。
…しかし、ならば、カイウスにとっての「ヒトとレイモーンの民との軋轢」はどの側面に表れるのか? 或いはカイウスは最後まで、「ヒトに恐れられる者」にはならず独り葛藤し克服していく者なのだろうか? そんなことを思う中で起こったのが、ルビア誘拐事件です。あそこでルビアが我々のもとへ戻ってくるのをためらったとき「うわ、そういう展開かー…」と思いました。
個人的に結構ショッキングな出来事で、これはルビアの長期または永続の離脱を連想したからだと理解してましたが、今にしてみればこれは、ルビアが作中で初めてかつ唯一「獣人カイウス」を忌避したからこそ生じた衝撃ではなかったか。今まで直接的にはヒトに嫌われてこなかったカイウスが、よりにもよってルビアに避けられる。考え得る限りの最も大きなダメージ。これを踏まえると、前述した「各地の人々との諍いはなかった」ことも明確な意図があっての演出という気さえしてくる。とても効果的にプレイヤーの心を抉る珠玉のイベント。そういう狙いだったのかどうかは分かりませんけど、私には効きました。誰かに遠ざけられて自分が傷つくのに、人数なんて要らないのだ。1人で十分だったのだ…
救いだったのは、この一件が2人の間に溝を作らなかったことですね。でも本作が据置機ハードのボリュームで描かれていたらその掘り下げもあり得たと考えるとああ怖い…^o^
あと、あのシーンは「あ、自分ってカイウスとルビアの関係性がこんなに好きだったんだ」と自覚した瞬間でもありました。いや良いコンビだった。物語を通してちょっとずつ関係が変化してはいくんだけど、結局最後まで素直になり切れないところとか、結局最後までルビアがリードしてたところとか、良いなと思いました。今日もどこかでケンカしてるんだろう^o^
もう一つ印象的だったところと言えば、物語上の重要人物がかなりあっさり死ぬ容赦の無さでしょうか。具体的にはナトウィック司祭とその妻、ラムラス、教皇のことですが、彼らはカイウス、ルビアの近親者という非常に重大な位置付けのキャラクターであったにもかかわらず、そのすべてで「親子の別れのやり取り」というシーンを一切挟まないまま死んでしまうことに驚くばかりでした。これは携帯機だから演出が淡白めだった?のか、別の意図があったのか、詳細は不明ですがそれはともかくロミーの残虐さを際立たせるのに一役買った演出だったことは間違いありません。どんどん溜まっていくロミーへのヘイト。テイルズというシリーズには、敵側のキャラにもそれぞれの過去と背景があって一方を善、他方を悪と単純には区別できなかったりすることがままありましたが、ロミーにはそんな温いことを言っていられない、特段の事情を慮るべからざる邪悪であった。まあロミーもスポットに侵食された者な訳で被害者ではあったんですが、侵食される前と後ではもはや別人と考えると我々が出会ったロミーに汲み取るべき思いは無かったと言えるので、可哀想な存在とは思いながらしっかり敵討ちとして剣を振るいました。
敵側の事情という観点で言うと、アレウーラ王はどうだったのだろう。「別世界」の話が判明しないままだったので想像するしかないけど、印象通りの自分本位で他者を顧みない人物だったのかな。「異なる世界からやって来て、こちらの世界を壊滅させてでも目的を遂げようとする」というところに、他シリーズで戦った宿敵をちょっとだけ思い浮かべながらも、やはりここも真っ直ぐな勧善懲悪と捉えて思い切り戦いました。多分、本作には全体的なコンセプトとして「物語をシンプルにまとめる」があったのではないかと思うので、この想像は大きく外れてはないんじゃないかなと思っています。
そして今作では! これまでプレイしてきたテイルズオブシリーズで初めてのゲームオーバー0回を達成しました! まあ、短編ボリュームの作品だったので全然偉業ではないのですが、過去2度にわたって全滅1回を記録し悔しい思いをしてきたのでようやくの思いです。もっとも、ラスボス戦で結構ヒヤヒヤしましたけどもね! ピンチになってもなかなか回復術を使ってくれない誰かさんのせいでね!^o^
(2024年5月7日)
テンペストのサントラにスペシャルドラマが付属してたの嬉しい。今作はハード的な事情でボイス有の掛け合いを聞けませんでしたからね :)
想像してた通り、2人がやっぱりケンカしてて和みました^o^
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