聖剣伝説 VISIONS of MANA
(2024年12月28日)
今日から 聖剣伝説 VISIONS of MANA
(2025年1月18日)
聖剣伝説 VISIONS of MANA をクリアしました(~九章)。
御子が魂を捧げることでマナの循環が保たれ、人々の平穏な暮らしが保たれる。
何らかの犠牲を払うことで世界を存続させる、という物語に出会ったことは過去にもある。そちらの世界で言う犠牲とは、例えば「英雄」であり例えば「贄」であり。また人々の認識は、例えば「尊き献身」であり例えば「痛ましき悲劇」であり。「犠牲」の姿かたちは様々でしたが、その多くに共通する王道の要素として「主人公が悪しき慣習に疑問を抱き、負の連鎖を打破しようとする展開」がありました。
だからまず、本作に触れて違和感を覚えたのは、ヴァルやヒナと私との意識の違いにでした。ティアナ村の人たちが皆、進んで御子に選ばれたがっているらしいことはまだ分かる。ヒナもまた、御子のお役目を至上の名誉と思っていて、再びフェアリーを呼ぶ時期がやってきたことに一片の憂いさえないことも、言わばこれは文化の違いだから理解できる。しかしながら、いざヒナが火の御子に選ばれたとき、ヴァルもヒナも、遠くない将来の別れが運命づけられたことに悲しみもためらいもしないとは思わなかった。笑顔なのだ。「おめでとう」なのだ。この世界の人々にとって御子のお役目とは、想像していたよりも遥かに大きな儀なのだということを痛感した導入でした。
ところで、話は逸れますが、火の御子指名までを見て思ったことがひとつ。聖剣伝説の前提知識がまったくない人から見て、この様子はどう映ったのだろう。得てしてこういう世界には、犠牲の仕組みを強いる黒幕的存在がいたりするものですが、その伝で言うと御子を指名するフェアリーや「誰が御子に相応しいか」の人選を担う大精霊が怪しく見えたとしてもおかしくはない。特に今作は久し振りのシリーズ新作ということで、これが初めての聖剣伝説という人も結構いたと思われ、そうしたプレイヤーにとってはフェアリーや大精霊を密かに疑いながらの旅だったのかなあ、などと思ったりしました。
私はと言えば、これまでにシリーズをほぼプレイしてきて、既に精霊たちに対する信頼感を持っていたのでその辺りを訝しむことはありませんでしたが。あ、いや、正直言うとフェアリーに対してはちょっと思ってました。ごめんなさい^o^
閑話休題。この世界における御子の大事さ、大衆にとってのお役目の重さは理解できた。とは言え、頭では理解しつつもやっぱり歪んでは見えるので「物語のどこかでヴァルの心境に変化を与えるキャラが現れるのだろう」と予想しながらの旅路でした。
が、そんな考えとは裏腹に、旅の中で私が出会うのはしかし、誰もがお役目と真っ直ぐ向き合う者たちばかり。カリナ、モートレア、パルミナ。みんな指名を喜んで受け入れ、真摯に務めを果たそうとし、御子一行の結束と信念はより固まっていき、私とヴァルたちとの意識差は大きくなっていく一方。ただひとりオーリンが、何か重大な事実を知っていそうなことに大きな変化の兆しを予感していたところで、遂に転機が訪れます。
「御子が魂を捧げない世界を見せてやる」というオーリンの言葉。これについてはまず、この話を聞いたヒナの心情がとても印象的でした。
ヒナは、内心では御子の仕組みを疑問に思っていたけど周囲の期待を裏切るまいと平静を装って旅立った「のではない」。確かに指名の時点では魂を捧げることに迷いなんてなかったし、これを喜ばしく思っていたはず。だからこそだ。「御子なのにもっと生きていたい」 自分だけがそう思ってしまっているという事実ひとつを取っても誰かに相談することが憚られるのに、他ならぬ自分さえ少し前までは「御子に選ばれるのは最高の栄誉」と考える人間だったのだ。この心境の変化を受け止めるのにどれほどの葛藤があったか。あの夜、ヴァルに対して本音を吐露するのにどれほどの勇気を振り絞ったか。自分の気持ちに気付いてなお、御子の使命から目を背けるなど許されないという圧力がどれほど怖ろしかったか。想像すればするほど心痛してしまう。
この時点でもう、ヒナの揺れ動く心に私自身もかなり揺さぶられていたので、直後のあの展開はかなりのショックを受けました。この物語は「ヴァルがヒナに魂を捧げさせまいとする想い」が最終的なテーマになっていくと思っていたので、まさかここでいなくなるとは。そしてオーリン……そっちの方へ進んでしまったのか。ここまでの旅で唯一「この世界を変えよう」としていた、つまりもっとも主人公然としているキャラクターだったから、私も完全に信じていたのに。手段さえ誤らなければヴァルとも分かり合えたはずだし、何か違った道があったのではないか……
その日はプレイをやめて、しっかりひと晩かけて気持ちを立て直し、旅を再開したのでした。
その後も予想を裏切る展開続き。特に、ヒナのこともそうでしたが、物語のラストまで重要ポジションでいるとばかり思っていた人物が相次いで脱落したのが大きな衝撃でした。ヒナを失ったヴァルは、ライザを救うことが新たな旅の目的になっていくと思っていたが。或いは、オーリンはラスボスなのかと思っていたが。
光の御子指名のくだりにも驚きました。これで初めてヴァルが「御子」ヒナの心境を真の意味で理解する流れになるのかなとも思いましたが、そうもならない。何故ならヴァルもまた、御子に選ばれたならば、世界のため未来のために進んで魂を捧げる決意をする者だからだ。決して「ヒナの代わり」や「ヒナへの償い」などではなく、純粋にそれを「成すべきこと」と分かっている者だからだ。
未だに、御子の宿命を「犠牲」としか捉えられていない自分が、卑しいというか、恥ずかしく思えてくるようでした。
こんなにも徹底してヴァルたちのお役目にかける想いを描いてきただけに、七章からの「それぞれの御子が考えを新たにする転機」のイベント群は際立って見えましたね。本作プレイ開始当初に私がやんわり想像していたものとなんて比べてはならないほど重大な決意。
これを口に出すことが、従来ならばいかにあり得ないことだったか、すなわちそこにどんな大きな決心があったか、今なら分かる。
そしてヒナの手紙がもう。大泣きでした。自分の方が重い運命を背負っているのに、その先を生きていくヴァルにかける気遣いが響く。弱音を打ち明けてくれたあの夜のことを思い出してしまう。ああそうだ、何でこんなに感情を揺さぶられるのかって、あの日を境に見られなくなって寂しく思っていたヒナの独白演出が見られたからじゃないか。そう言えば、レナスの祭壇での一件があって、ヴァル(と私)が再び前を向いたあの日から、ヒナの声と姿って回想という形でさえ一度も登場していなかったのではないだろうか。うわー、思ってたよりもずっと悲しく感じてたんだな。だからこんなに泣ける。これはもう何があっても、ヒナの魂石をマナの樹へ送り届けなければ。その思いを新たにしたシーンでした。
物語の最後、想いを一つにした御子たちによって「御子が魂を捧げない世界」が実現されました。
ですが、間違えてはならない。これは悪しき慣習に終止符を打つ物語だったのではない。ディロフォロスの呪いに端を発する世界の理は「変えるべきもの」だったけれど、御子のお役目が「捨て去るべきもの」だったのではない。それは「人間が自らの意思で選び取ってきたもの」「想いを継いでいく掛け替えのないもの」「未来を紡ぐもの」として最後の瞬間までみんなの芯に存在し続けていた。仮に、聖剣も女神も復活が叶わず「御子が魂を捧げない世界」が実現不可能だったとしたなら、彼らは誰ひとり「嫌だ」なんて思うことなく前向きに魂を捧げただろう。
御子の想い、色褪せず。お役目は消え去ったが、それからも「御子」という存在は役職として、人々の精神的支柱として長く残ったのではないかな。そんな想像が膨らむ良いエンディングでした。
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んん!?
余韻に浸ってゲーム起動時デモを眺めていたらこれは!!?
あまりの驚きに声が出ました。いろいろ頭を駆け巡りましたが、クリア後要素に関わる演出の可能性があるのであれこれ考えるのは一旦保留にしておいて、まずは続きをやろうと思います :)
バトル面で苦戦したところはほぼありませんでしたが、エレメントボードの使い方についてはずっと悩んでましたね。EPの蓄積ペースから判断すると、ボード全解放は到底無理そうだからいずれかの精霊に特化して成長させるべきという話になるはずですが、そうなると精霊器すべてを集め終わってボードの全貌が明らかになるまでは迂闊にEPを消費できないという結論になってしまう。
実際そういうプレイになって、ほとんどボードのお世話にならないまま、特技やスキルじゃなく「積極的に戦い開発側想定より高めで推移するレベル」に頼って打開していくスタイルになっていきました。間違いなく、推奨されないプレイだったと思いますが、しかしEP枯渇の不安に打ち勝つことはできなかった…^o^ (後に女神の天秤の存在を知ることにはなるのですが、それも結局は有限アイテムなのでプレイスタイルを変えるほどの安心を得るには至りませんでした^o^)
あと、今回もできるだけ出費を抑えるべく「装備は宝箱から手に入ってくれないかなあ」なんて思いながらケチ旅を敢行していたら、ある時期を境に5人全員から「だいぶお金が貯まってきたからそろそろ装備を新調しよう」と口々に言われるようになってしまいました。あれって、ちゃんと装備を買い与えてたら流れないボイスだったのかな。だとしたらホントすみません……^o^
(2025年1月22日)
十章までクリアしました。
あのキャラ、どこかでまた登場するだろうと予感してはいたけど、まさかこんな重大なイベントでとは。ただの小悪党とばかり思ってましたが、とんでもない悪でしたね。以前「そうは言っても勝手にカギ開けるのはマズいか…」と一度とはいえ考えたことをここに撤回します^o^
ボスも初見撃破! さしもの災厄もLv80超えの猛者たちを前にしては成す術なく敗れ去るしかなかったのであった。やはり「全敵シンボルに最低1回はぶつかろう」のパワー型プレイスタイルに勝る戦略なし^o^
そしてそして、あの裏ボスも倒しました。
悪名高い例のアイツですが、そう言えば私は会うのも今回が初めてだったんじゃなかったかな。さすがの猛攻に初めはまったく歯が立ちませんでしたが、ここで遂に、これまで温存しまくったEPを惜しげもなく注ぎ込んで勝ちをもぎ取りました。女神の天秤を1個も使うことなくここまで来れたのは、かなり達成感がありますね :)
精霊の住処も全制覇! 調子に乗ってLvを上げまくっていたら試練内の敵のLvも上がっちゃって、よもやの詰みかとなるところでした。
(大)の方はほぼ、サラマンダーの精霊器をMAXまで育てたカリナの独壇場。ありがとうカリナ、君の必殺技特化スキルがなかったら多分あきらめてただろう^o^
最後に、本編クリア後の特大演出について少し。
クリア後要素だけに向けての変化ではなかったようなので、本作全体にかかる文言(本作全体がそうである)ということなのだと思いますが、クリアまで伏せていたのにはどんな意図があったんでしょうね。一つ考えたのは、聖剣伝説シリーズは海外においてはタイトルがナンバリングでないらしいので、「タイトル展開を世界共通にしたい思いがあってそうしたが、開発陣の気概としてはナンバリングさせるに相当する一作なのでシークレットとして盛り込んだ」のだろうか?というもの。考えてはみましたが、全然確証はない。どこかのインタビュー記事で言及されてないかなあ。
伏せられていた理由はともかくとして、「本作はそうである」ことに関しては「今回の物語/世界が外伝的な位置付けじゃなく、時代は隔てていても過去シリーズとのつながりが確かにあることを意味しているもの」と捉えましたが、これは果たして。つながっててほしいなあ。作中でファ・ディールの単語が登場したときとか、急激に体温が上がったもんなあ。最後まで、明確につながりが見て取れるようなセリフなどはありませんでしたが、ちらほらと「これはあのことかな?」となる要素が散りばめられていたので、想像が膨らみました。
かねてより「まだまだシリーズ展開してほしいなあ」と思っていましたが、これによって、次作があるときにはどのような位置付けで登場するのか、かなり気になるようになりましたね。あまりにも気の早い願望ですが、更なる動きがあることを夢想しながら、攻略本読んだりサントラ聞いたり、あれこれ想像したりします :)
(書き終わった後に思ったんですが2周目をやると何か変化がある可能性もあるか? とにかく攻略本を読もう)