テイルズ オブ ヴェスペリア (PS3版)
(2024年8月31日)
今日から テイルズ オブ ヴェスペリア (PS3版)
(2024年10月6日)
テイルズ オブ ヴェスペリア をクリアしました。
義をもってことを成せ。プレイヤー自身も。
本作には、とても印象的な使われ方をしていた2つのワードがありました。そのそれぞれの観点から感想を語っていきたいと思います。
まず一つは「正義」
初めに本作のジャンル名「『正義』を貫き通すRPG」を見て、漠然と頭の中に浮かんだのは「真っ直ぐな主人公が信念に従って悪を討つ物語」でした。プレイ開始後、ほどなくして親友フレンの存在を知るとますます「この2人が主軸となって、共に切磋琢磨しながら正義の道を邁進するんだろう」との想像が膨らんでいったのですが、これはそんな甘っちょろい物語ではなかった……
どうやら私の想像は的を外していそうだ、と気付かされたのは、トリム港でフレンがラゴウ執政官の主張に折れたシーンを見たときです。フレンは、騎士としての自分の立場が危うくなりかねないとしてもラゴウの罪を追求する生真面目タイプのキャラと思っていたので、あそこで言葉を飲み込んだのは意外でした。そしてハッとさせられる。この物語がテーマとする「正義」とは、青臭い理想を追求して辿り着く単純明快なものではどうやらないのか。目先の「正義」に囚われずもっと大きな理想を抱いているがゆえにラゴウを罰せないフレンと、過去なにかあって騎士団を見限ったユーリ。2人のどちらにも悩める部分があって、どちらも真っ直ぐに歩めていない。これはまさか「正義」を成すことがいかに苦しいかを語る作品なのか……?
そして、こう「ユーリとフレンの理想の差」をまざまざと見せられると、どうしても予感してしまう。これは将来2人が決定的な決別に至るその序奏であったりはしないか。そしてその予感は、ユーリがラゴウに私刑を与えたシーンを見てより確かなものになってしまう。あの瞬間、はっきりと分かたれた2人の道。ユーリとフレンがこのまま別々に歩んでいって、でもお互いの目指す最終到達点が同じだとするなら、いつかまた必ず2人は邂逅するはずだ。そのとき2人は、並んで同じ未来を見据える関係になっているのか、はたまた譲れない自分の信念をぶつけ合って剣を交える関係になっているのか。もしかしたら、フレンはユーリの道の最後に立ちはだかるラスボスという可能性さえありはしないか。
そんな不安とハラハラとを抱えながらのプレイだったので、2人が最後ああいう風にぶつかって、あの爽やかな決着を迎えたのは良かったですね(ただタイマン勝負には負けました。悔しすぎる^o^)。自分がすべきことにもはや一点の迷いもないユーリに対して、フレンの行く先はまだ悩み多いんだろうし、ユーリがザギにとどめを刺したシーンでのフレンの様子を見ても2人の理念は今もって完全に重なっている訳ではないんだろうと伺えるけど、これも併せ呑んで理想の実現に向けて歩んでいくんだろう。まだ、すぐには「共に歩んで」という状態にはならないのかもしれないけど、片やギルド界隈の、片や騎士団の主要人物として、力を合わせて正しい世界を創り上げていくんだろう。2人の正義の道はちょっと違うところにあったけど、でもそのどちらも志を折ることはなかった、とても熱く気持ちの良い友情物語でした。
「正義」と言うなら、ユーリとフレンの関係だけでなく、デュークについても触れておきたい。
第二部以降、人魔戦争や星喰みなどの真実が明らかになればなるほど人間という種の愚かさを突き付けられ、デュークの言葉と決断にも理解できる部分はあるなと考えさせられるがために、最終局面のシーンではどうしても迷いとかためらいが燻ぶったまま戦いが始まってしまいます。そうだ、己の都合で便利に魔導器を利用していた人々すべて世界の毒だと見なすなら、ラゴウやキュモールを誅したユーリと、人間を犠牲にして(=人間に責任を取らせる形で)星喰みを消そうとしたデュークとは、規模こそ違えど実は同じとも言えるのだ。
「どちらが正義でどちらが悪とは言い切れない」という図式は過去シリーズでもよく登場したものですが、だからこそ今回は強く感じました。かつてなかった「ラスボスと"またな"で別れる」あの幕引き、あの清々しさはとてつもない感慨だったと。ザギとは異なり、芯の部分では同じ望みを抱いていたからこそ殺し合うまでには至らず最後には理解し合うことができ、お互いに生きてこれからの世界を見据えていく結末になったのが素晴らしかった。
人間は愚かだから、デュークの言う通りいつかまた過ちを犯す者が現れはしてしまうんだろうが、願わくばそのときには人間みずからがその過ちを正さんことを。
そしてもう一つ、ユーリ個人に見る「正義」の話も。
「人殺しは罪」だとはっきり自覚していてなおラゴウ、キュモールに手を下したユーリの決意の重さよ。これって、キャラの性格によっては理想と現実のギャップに思い悩んだり、光の道を行くフレンに対しての自分の行いを後ろめたく思ったり、いわゆる闇堕ちルートがあり得る修羅の道だと思うのですが、彼はそうはならず、揺らぐことなく自分の意思を貫き通したのが格好良かった。敵は本気で殺しにくるけど自分は敵を殺さない(殺せない)主人公キャラも多い中、必要なことと決めたならば冷静に冷徹に邪道へ堕ちるこのダークさが非常に魅力的だった。
こうなると、今のユーリを形作った騎士団時代の出来事が垣間見れるのかもしれない劇場版「The First Strike」を見たくなってきますね。チェックしておく :)
二つ目のワードは「けじめ」
主にギルド絡みのシーンに関連するこのワードですが、その話の前にまずギルドの命名シーンがめちゃめちゃ良かったですね! シリーズ最大級に作品タイトルがフィーチャーされたギルド名を聞いて「うおお」と声が出ました。あそこでプレイヤーにとっても強く馴染みのある言葉が選ばれたことは、自分自身も凛々の明星の一員であると認識し帰属意識を芽生えさせる強力な促進剤として機能していたように思います。
さて、だがしかし、その凛々の明星も初めから一枚岩だったのではない。ギルドとして発足した瞬間から皆が参加した訳でないことは劇中で描かれていた通りだし、はたまた参加しているメンバーもその全員が、ギルドの理念にはそぐわない思惑や行動原理、或いは苦悩や葛藤などを密かに抱えていて、とてもじゃないが固く結束していると言えるものではなかった。
そんな彼らが、様々な形で訪れる試練や壁を乗り越えたり、秘めたる思いを打ち明けたりして、自身が「ギルドの一員」へと、仲間が「頼っていい存在」へと変わるその転換点の場面でのセリフによくこの「けじめ」が登場していて、とても印象に残ったのでした。
中でも特に良かったなーと思ったのは、ユーリが言った
です。直前にラゴウ、キュモールを殺した事実が仲間にも知れ渡ったタイミングで、もしかしたらここでユーリは自らギルドを脱退して孤独に歩むことを選択するのではないかと心配したところで、第一にギルドとしての指針を示したというのが感慨深い点でした。ユーリにとってギルドって、決して何となくじゃなく、カロル先生の決断に成り行きで乗っかっただけでもなく、しっかり「大事な家」という自我を持って参加しているものなんだなと感じられた、とても良いセリフでしたね。
あるキャラに苦難や転機が訪れて、それをきっかけに仲間との絆を深めるという構図は多くのゲームにあるものですが、本作は「ギルド」という明確な枠によってパーティーが規定され、そして各キャラそれぞれにおいてギルドとの向き合い方を見直す契機が「けじめ」のような言葉で表現され、つまり「登場人物が真の仲間になる瞬間」を言語化可視化していることで彼らが団結していく様子をより強く肌で感じられる仕組みになっていたのかな、というのが今振り返ってみての所感です。
そしてこの方程式が当てはまるのはゲーム内のキャラ達にのみあらず。私もまたそうであったと言えます。
私に訪れた転機とは、エステル奪還作戦において、力を制御できなくなったエステルとユーリが1対1で戦う場面。エステルの悲痛な願いに対し、ユーリが剣を抜いたあの場面。
ある種の覚悟を感じさせる作戦直前のフレンの言葉が思い出される。
いつかの日、キュモールの件を知った上でなお優しく呟いたエステルの言葉が思い出される。
更にメタ視点で言えば、エステル離脱の期間が結構しっかりあった(=プレイヤーのエステル依存を解消する意図があるようにも見えた)ので、これらを踏まえると、本当にエステルと離別する展開もあり得るのではないか。
重大な分岐点の可能性を感じた私は、かなり悩んだのですがどうしてもエステルを倒すことができず、自ら敗北を選びました。そして流れるゲームオーバー画面。ここで思い知ったのです。私にはユーリほどの覚悟がまだ無かったんだな。殺さなくてもどうにかなってくれるんじゃないかなどという甘さがまだ残っていた。「オレはもう選んだんだぜ」あれはフレンに向けられた言葉であると同時に、私を刺す言葉でもあったのだ。
これではいけない。私がこんなことでは。私も「覚悟」しなければならないのだ。そう奮起した私はエステル復帰後、術技を使うことが彼女の命に関わるという話を聞いて、ならば術技は使わせまい、と決めました。同行すると決意したエステルは止めまいが、ならば彼女には最も安全な形で旅に同道してもらう。最高峰の治癒術士を戦わせないことによりパーティー全体のリスクが高まるのは承知の上だが、プレイヤーの裁量で戦闘への参加は控えてもらう。ゲームシステム的には術を使っても本当に寿命が縮んだりはしないなんてもちろん分かっちゃいるがそんなことは関係ない。
そう決断して以降、アレクセイ戦を挟み、第三部入りし、ウンディーネ誕生でエステルが身体の危険から解放されるまでの間、1行動もさせずに進めました。誘拐されるまでは常時パーティに加えていたほど治癒術のお世話になりっぱなしだった私が。エステルの覚悟もユーリの覚悟も真っ直ぐ受け止め切れなかった弱い私の、これがけじめだ。敢えてゲーム内のキャラになぞらえて言うなら、これを覚悟したあのときが私の「凛々の明星メンバーになった瞬間」だったと。
サブイベントはかなり膨大でしたねー。しかも「同じ状況に見えるのに、さっきは発生しなくて今は何故か発生した」みたいな、非常に細かな条件が設定されているものも多かったっぽいので、一応は世界情勢が大きく変わる度にすべての街を一通り巡ってはいたけれど、そんな程度の探索じゃ制覇には全然及んでないんだろうなと感じています。ジ アビス のときも攻略本を読んだとき未発見イベントの数に驚きましたが、今回もずいぶん取りこぼしてそうだ……
発見できたサブイベントの中でのお気に入りを挙げますと、まず絵本作家のイベント。あれはエンディングにも密接に関わってくるのでぜひ見られたし。あと単純に可愛い :)
それからエステルとリタが親友になるイベントも良かった。リタって、両親がいない話とか魔導器しか信じられるものがいないとか、断片的には話が聞けますが、過去なにがあって今の人格を形成するに至ったのか具体的な経緯は明かさない(もしくは関連イベントを私が見逃している)ので、かえって気にかかる存在になっていったんですよね。なので、アイフリードのことでメンバーに迷惑をかけていると気に病んでいたパティへ、リタから「仲間でしょ」と鼓舞する言葉をかけたあの歩み寄りがとても嬉しかったり、件の親友イベントにめちゃめちゃ感慨深さを覚えたりしたのでした。
バトルは概ね苦戦しませんでしたが、今作の特殊要素として武器スキルがあり、スキル修得のためにはなるべくすべての武器を買いたいと思ったので、そのしわ寄せが防具の買い控えという形で表れてこれで苦しんだ場面はちょくちょくありました^o^ 序盤なのにライフボトルを7~8本使ったボス戦とかあったからな……エフミドの丘のガットゥーゾとか。いや、あいつは防具を揃えてても強敵だったか……?
ともかく、従来シリーズに比べて出費がかさむであろうシステムだったので
敵シンボルには積極的に当たりに行く(クリア時点のエンカウント数は2158でした)
もちろんセフィラは常時装備
といった金策に励んだプレイとなりました。その結果、全編通してお金に困ることはなく、そればかりか温泉郷に100万ガルド落とすのも余裕なくらいの金満パーティーが誕生しましたとさ^o^
さあ、この後は攻略本を読みます。やり切れそうなイベントはやっておきたいですが、少なくとも犬マップはコンプリートしたい。マップは真っ青になったはずですがイベントを完結させる条件が分からなかった。毎日毎日、犬マップを確認して赤くなってたら急いで現地に飛んでいく生活をやっと終わらせるんだ……^o^
(2024年10月11日 追記)
魔装具をコンプリートしてのラスボスを倒しました。
ジ アビス の「惑星譜術の触媒武器」と同じ位置付けのサブイベントかと思いきや、まさかメインシナリオに絡んでこようとは。いや強かった……これ、偶然集め切っちゃってクリアが絶望的になった人とかいたりするんじゃないのかな^o^
打開後、さっそく覚醒魔装具を装備してみたところ、ユーリの攻撃力が一気に7000近くまで跳ね上がりました。これもずっとユーリを使って、積極的に敵へぶつかりに行った賜物である。こんなの見せられちゃうと、使いたくて使いたくて堪らなくなってきますが、ひとまず1周目のプレイはこれで区切りにしようかと思います。いつかこれ担いで各地へ暴れ回りに行こう :)
(2024年10月12日 追記)
劇場版「The First Strike」を見ました。
公式の見解として、ゲーム本編との繋がりに関しては「映画として成立させるためにわざと矛盾させた部分もある」とのことらしく、しかしながらそれは一旦承知の上でそれでもあえて正史として解釈するのですが、フレンの見え方がかなり変わりますねこれは。
どうしてフレンはガリスタに斬りかかることができたのか。それはガリスタがナイレンのみならず父の仇でもあったからで、まだ若かりしフレンは、つまり騎士としてまだ成熟しきっていなかったからこそあの瞬間は一個人一青年としての感情の方が爆発したのだろうと思いました。ゲーム本編ではすれ違っていることの方が多かった2人の心は、このとき重なり合っていたのだと捉えると、かなり感慨深いものがある。
そしてどうにも想像せずにいられないのは、あのラストから、いったい何を経てゲーム本編のフレンになったのか、です。潔癖とも言えるほど罪を憎む人間となって、ラゴウ、キュモールのことでユーリの行いを責めたからには、自身が犯した「罪」に対する贖罪のエピソードがあったはずだ。或いは、騎士としての自意識が確固たるものになればなるほど罪の意識に苛まれたという苦悩のエピソードが。時には心を殺してでも模範的騎士であることの方を優先するあのフレンの人格は、この苦悩を振り払った結果(言わば振り払った代償として)獲得したものなのかな、とか、光の道を歩んでいるとばかり思っていたフレンこそが実は闇堕ちしていたのかも、とか。想像すればするほどフレンの人物像が複雑になっていって、魅力が増していきます。
(でもこれは、やっぱり考え過ぎかな。パラレルワールドはパラレルワールドとして、ゲーム本編とは切り離してシンプルに楽しむのがいいかもね^o^)
それから、ユーリの武醒魔導器ですよ。あんなに大きな思いの込められたものだったとは。これ、ゲーム本編で言及したときのセリフが
なんですよね。あんな辛い出来事があったとは一切思わせない軽い口振りとあの素振り。ナイレン隊長の言葉と思いは自分の心の中だけにしまっておいて、簡単にこぼしたりはしないところが「ユーリらしいな」と思いました。
あとはやはり、ゲーム本編をプレイしててずっと気になっていたラピードの話が描かれてて良かったー。言葉で感情を表現しないがゆえに、今でもあのキセルを大事に持っているということが、より泣けてくる。
そもそもは「今のユーリを形作った出来事が見れるかも」というところから興味を持った本作でしたが、ユーリはこの頃からあのユーリでしたね。多分、少年時代にはもうあの自我を確立していたんだろうな。筋が一本通っておりまったく揺らがない様を見て、改めてユーリを輝かしく思う一作でした。
ユーリ、フレンの若さゆえの未熟な部分とか、熱さ、向こう見ずさを伺うことができるのもかなりの見どころです。酒場のシーン最高^o^
そして、いやー、泣けた。格好良いお話でした。
(2024年10月19日 追記)
ドラマCD「The First Strike Episode 0」を聞きました。
「ユーリは騎士団時代からあのユーリだった」ことは劇場版「The First Strike」を見てよくよく分かっていたつもりでしたが、それでもやはり、面接だろうが配属初日だろうが微塵とも礼儀正しく振る舞ったりしない問題児っぷりには笑いました^o^
新人業務である掃除にも装備の手入れにも、或いは日々の訓練にも愚痴をこぼすばかりの困り者ユーリ。ですが、その中で「こんなんでいいのか。もっと、この街の人のためになるようなことをするとか」と言っていたのが印象的でしたね。騎士団を志望した理由について、面接という改まった場では「上手く言えねぇな」となってましたが、さりげなく出たこの「人のため」という言葉に思いが集約されているなと。雑用には文句タラタラだけど、休日返上で住民の引っ越しを手伝うのには二つ返事でOKするのとかもユーリらしさ全開で「これだからニクめないんだよなあ」となってました。
いやしかし、それにしても、うむ、同期としてフレンは苦労したな……^o^
(2024年10月25日 追記)
小説「金の満月」「青の天空」「銀の明星」を読みました。
それぞれエステル、リタ、カロルを中心としてヴェスペリアの物語を描いているもので、中でもリタ編の「青の天空」が飛び抜けて刺さりましたね。リタの幼少期のエピソードを読むことができるんですが、我々は後の彼女に「魔導器は自分を裏切らないから楽」とまで言わしめる何らかの出来事があったのだろうと知っている訳で、読みながら「まさかこの後」と先の展開を予想してしまい、そして案の定それが起こり、ひたすら心痛してました。特に第二章の最終節が切なすぎる……あそこの描写すごかった。泣きました。ゲームクリア時の感想に「リタが気にかかる存在になっている」と少し書いてましたが、リタへの思い入れがグンと深まるお話でした。本当、読んでよかった。
ほか2編も印象深かったシーンがありまして。エステル編「金の満月」だと、リタとお友達になるシーンがまず挙がります。前段として「城を抜け出すまでの軟禁生活」がどんなだったか少し触れられているので、友達ができるということがいかに特別なことだったか、より真に迫って感じられました。そしてあそこの心の声がとても微笑ましい :) あと、描写としてはほんの少しですが、アスピオでのトート探しで一旦ユーリたちと別行動になったときの一幕にもほっこりしました。うん? いずれもリタ絡みだな。そうです。このわたくしがエステル⇔リタ大好き人間です^o^ ヴェスペリアで一番好きなコンビ。
カロル編「銀の明星」だと、これはやはり幼少時エピソードでしょう。ナンとどんな関係だったかが詳しく分かり、これを踏まえるとテムザ山での対ナン戦の見え方がかなり変わりましたね。単に「幼なじみと戦わざるを得ない」こと以上の意味があそこにはあったんだなと。毅然と戦ったことそれ自体もだけど、ナンを前にしても、ナンの言葉にも圧されることなく「始祖の隷長は悪じゃない!」と強く言い切ったのが、更に格好良く見えました。
この小説3編は「ヴェスペリアのノベライズ版」とは少し違って(ゲーム本編のノベライズ版は別に出ている)、あくまで「人」を主軸にしたものであり、必ずしもヴェスペリアの物語を時系列に沿って語る構成にはなっていません。これはつまり、明らかにゲーム未体験の人へ向けた作品ではないということであり、だからこそ、ゲームクリア済の人に、とりわけ「エステル、リタ、カロルを好きになった人」にはぜひとも読んでもらいたいなと強く思いました。
私の一押しはやはり「青の天空」なのですが、先に触れたリタ幼少期のエピソードもさることながら、ゲームED後のリタ⇔エステルのやり取りが描かれてるのも必見です。めちゃめちゃ良かったです。全世界のリタ⇔エステル好きはみんな読もう^o^
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?