バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子 (GC版)
※本記事は、作品プレイ当時にXへ投稿した文章の転記です
(2024年5月9日)
今日から バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子 (GC版)
(2024年6月17日)
バテン・カイトスIIをクリアしました。
前作をもう一度やりたくて仕方ない。
何しろ、念頭にあるのがあの前作である。パッケージ裏にも気になる言葉が書いてあった。いつどこでどんなどんでん返しが待ち受けているか分からないぞと思いながらプレイして、実際とんでもなくやられたのですが一旦それは置いておいてまずはメインシナリオの話を。
本作序盤で思ったことがひとつ。旅の動機が少しおぼろげに感じる。
サギにとっての最初の大きな目的であった「打倒オーガン」は自身の意図しない形で幕が引かれ、その後に関わっていく対バアルハイト派との戦いも突然降って湧いた話に乗りかかったもので、本人の信念からくる決断と行動という風にはまだ見えなかったからです。いきなり突き付けられたスケールの大きな話を戸惑いつつも受け止めたのは、ただ正義感ひとつが成さしめた決意だったのか? これが初めの内は解釈できていなかったのでした。しかし今にして思えば分かる気がする。サギは、ネロが同じ精霊憑きだったことに寄る辺を求めて彼の依頼を承諾したという側面もあったのではないか。サギには精霊(=私)を疎んでいた時期もあったと終盤で明かされますが、「精霊憑きサギ」に協力を乞うているネロに応じることで、自身が精霊憑きであることに確固たる意味が見出せる。世界を守るという大義名分もあるが、何よりこれは自分自身の救いでもある。ここに思い至ったときに、サギへの感情移入度が一気に高まりました。そう捉えると、つまり「世界を守る」は重要だがあくまで二の次だったと考えるなら、各地のマキナ化にことごとく失敗した後、もはや任務を放棄してもよかったのにそれでも「マキナ化は絶対に止めなきゃならない!」と奮起したひと幕がひときわ感慨深くなりますね。「各地を旅して様々なことを知った」以上の成長と変化があそこにはあったんだと。
それから、サギが精霊憑きとなった自身の境遇を憎み、「精霊憑きネロ」を救いに思っていた(かもしれない)と考えると、「バアルハイトと理解し合える未来」を失ったことが一層の悲劇に思えてきます。精霊憑き同士としてきちんと話せる機会がもしあれば、大きなものが得られていたはずだな…。あと、精霊憑きを騙っていたネロの邪悪さも際立つばかり。ネロに対してぶつけたあの怒りの声にいかなる思いが込められていたか、想像すればするほどあの叫びが真に迫って聞こえてきます。この辺りのサギの心情に注目して、またプレイしたくなりますね。
今作は前作よりもパーティーメンバーが少なく、(私がプレイした範囲では)序盤から最後までサギ、ギロ、ミリィの3人旅で固定でしたが、人数が少ないぶん各キャラ同士の関係性が色濃く描かれていてその点でも大満足でした。一番グッと来たのは最後のギロのシーン! 中盤で四角関係の話が出て、あの時はちょっと笑いながら「ギロのサギに対する接し方いいなあ」と思ったりして、それから要所要所でサギの決意を後押ししたりする展開を挟んでのあの展開あの言葉でしたでしょう。ずっと口喧嘩してたミリィとのやり取りも良かったし、けだし名シーン。
キャラの関係性に関して、プレイを終えた今思うのですが、プレイヤーを含む彼ら4人って個々の繋がりが前作の面々とは比べ物にならないほど強いですよね。サギを中心として、サギとプレイヤーが離れ離れになる展開はまったく想像できないし、サギとミリィもそうだし、サギとギロもやはりそう。ED後、ギロもあそこを脱出したと解釈するなら、4人はその後ミラで本当にいつまでも一緒に暮らしたのかもと思いを馳せるばかりです。あれからたった20年、前作のミラのどこかに彼らもいたのだろうか?
さて、ここからは劇中の衝撃的だったシーンについて。まず挙げたいのが、マルペルシュロの出自です。あの彼らが「俺たちは一心同体」だと強調した辺りまで、つまりチーム名が決まるほんの少し前までまったく予感していませんでした。邪神マルペルシュロって、言ってみれば他の神々にも手が付けられない問題児で暴れん坊で、それが暴走してとんでもないことになったという印象でしたが、まさかこんな悲壮な決意を背景に生まれた存在だったなんて。敵に対しての策も無い猶予も無い、限界まで追い詰められた末の決断だったというのが殊更に辛い。世界のために自分を犠牲にした彼らが、守りたかった人々を手にかけて大地汚染の原因にもなり、のみならず後の世で野心ある者たちに目を付けられて利用されるというのもこの上なく惨い。これを知った上で前作を再プレイしたら、感じ方がかなり変わるに違いありません。かつては邪神マルペルシュロを「敵」と見なして対峙した私でしたが、そうではない、あれは倒すのではなく鎮めるべき存在だったんだな。
ちなみに、彼らの決断シーンで最後に自分の意思を問われたとき、私は限界まで拒否の方を選んでしまいました。過去に飛ばされている(と思っていた)サギが過去時間軸でマルペルシュロと化してしまうともはや取り返しが付かなくなるのではと考えたからです。あの時点では、私はサギの進む道を示す者のつもりであそこにいたと。あの時点では。
本作最大の衝撃はその後に訪れました。千年前にマーノと呼ばれていた者が実は私であった。そのマーノはマルペルシュロとなった。つまり、この私こそがマルペルシュロであった。この仕掛けは震えました。もちろん今作も精霊のつもりでいた私は、何も疑わずプレイヤー名に前作と同じ名前を付けて「カラスに憑く20年前にサギと旅してたんだなー」などと思っていたのに、そうではなくこの私は、その前作で戦ったあのラスボスだったのだ。もっとも、サギに憑いた「遺児」たるマーノ(=私)と前作の「シュ」とは、もはや別個の自我を持つ異なる存在と言えるかもしれないのだけれども、それにしたって元は同じマーノだったことに変わりはないのだから、あのマルペルシュロも私だったと捉えていいだろう。前作をプレイし終わったときには強く「再プレイしたい」と思ったものでしたが、この事実が今その思いを更に強くしています。会いに行きたいものね、自分に。
そしてもう一つ、私自身が邪神であったことに関連して語らずにはいられないのが、サギと私、どちらがどちらに憑くのか決断するシーンです。
これはどちらを選ぶかでその後の展開が大きく変わる選択なのでは…? 前作でもカラスの離脱まわりの展開で「別ルートがあったり…?」と想像しつつも、後に攻略本を読んでどうやらそんなルートは無かったらしいことが判明しましたが、今回は本当に分岐する重大な局面という予感がありました。メタ視点にはなってしまいますが、マグナス一覧に「ちょうど1人分くらいのまったく開示されていない武器マグナスゾーン」があって、追加メンバーがあと1人いるのではないかと予想していたからです。その「あと1人」がサギを憑かせたマーノの可能性は十分にある。だとすると恐らくやり直しのきかない決断である。かなり悩んで、私は「サギに憑いていく」を選びました。
そしてここが重要なのですが、当然もう一方の展開も見たかったところ、断腸の思いでセーブデータを上書きしました。これは気軽に後戻りできてはならない、そのくらい固い決意であるべきと思ったからです。もう一方を選んだ場合の展開は時間さえあればもう1周やって確かめたいところですが、ちょっとそれは叶いそうにないので攻略本を読んで確かめましょう。楽しみ。
前作譲りの要素として、精霊がらみのギミックに痺れた場面が今作にもありました。ダイモンの登場シーン。あの選択肢ウィンドウを見せる演出ね! プレイヤーに一発でそれと分からせ、同時に「あれ、じゃあネロは?」とも思わせるのが見事でした。勘の良いプレイヤーなら、ダイモンの存在と「同じ時代に精霊憑きが2人いることは珍しい」「自分は伝説に言われている精霊ほどの力を持っていない」という話から、自分が精霊であることを疑うところまで辿り着いたりするのかな。私はまったく思い至っていませんでした^o^ あと、ここまでメタ演出にこだわりのある作品なのだから、ダイモンさんは実際こちらの世界に存在する人物なのではとも思ったのですが、これはどうなんだろう。スタッフロールをもっとしっかり見ておくべきだったな。
システム面からも少し。マグナスをベースとして前作からは多くの部分が変わりましたが、中でも「バトルマグナスは時間経過で変質しない」ルールは個人的に最も有難かった部分でした。かつて大量の食べ物を腐らせた人間が、今回は好きなだけ探索とバトルを堪能し尽くしたという^o^
また、戦闘終了時にHPが全回復する仕様になっていたことから、前作と比べて通常戦闘の難易度が上がっていそうと予想していたところ、初任務の初戦で何と2連敗…「これはちょっと」と絶望しかけましたが、終わってみれば、全敵シンボルに最低1回はぶつかりに行くプレイスタイルが功を奏したか、「これどうやって倒すの?」というレベルの戦いには出くわすことなくクリアできました。戦場アトリアのワイズマン(あれは任意イベント?)も倒したし、闘技場も全カテゴリを制覇したし。できることはほぼやり切ったはずですが、ゲオルグから依頼された「心の器」の件だけが、完成した器を返した先にまだ何かありそうで気になる…あれは前作に至る経緯を単に匂わせたもので、あそこで終わりなのだろうか? あ、あと月騙しの森の泉も分からず終いだ。これも前作を想起させるに留まる要素? 実は裏ボスとかいたりしない? その辺りも攻略本を読んでいくのが楽しみです :)
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