ちゃんと泣けない

あの日 もっとお話すればよかった
あの時 もっともっとそばにいればよかった
でも 病室に長居するのは 父の寿命を受け入れしまう怖さがあった
これまでの入院と同じように また 家に帰ってくると信じてた
だから いつものように顔を見て ちょっとお話して「またね」って帰っていた
「お母さんを頼むよ」 いつも帰り際に言われた
最後まで お母さんの事を心配していた
「ひ孫に会いたいな~」って言いながら 亡くなる2日前にはひ孫を含む妹家族と 大阪に住んでいる孫2号とテレビ電話をしていた
前の日には 私はいつものとおりお仕事の合間で顔を見に行っていた 
でも 長居はしなかった 
「明日も来るよ」 「ああ、気をつけて」 最後の言葉だった

亡くなった日 お仕事に行った 
家に帰る手筈をととのえてから 母を叔母夫婦にお願いして いつも通りに
翌日もお仕事だった
妹は 父の枕元で泣いた 姪っ子たちは泣きじゃくった
私は・・・ちゃんと泣けていない
小さい頃から 父親大好きで 「よく似ている」と言われて 議論するのが好きだった
音楽も映画も美術も本もスポーツも みんな父から教えてもらった
一緒に料理するのが好きだった 思考も嗜好も本当に似ていた

泣いてしまったら 父が遠くに行ってしまう気がして
だから ちゃんと泣けない

#itakoto   #家族の心のこり




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