黑世界~雨下の章~感想
昨日、配信にて雨下→日和と一気見をキメまして、無事に重度の繭期の中におります。
視聴後の書き殴りをベースにしておりますので、まとまっておりませんが、感想を書いたので、投下しておきたいと思います。
→10/3 2回目見たので追記・編集しました。
日和の感想はこちら
まずは時系列を整理。
リリーがヴラド機関で実験されてた→シュカが解放した、シュカはリリーと一緒に回収されていたウルを摂取して100年不老で生きた。
シュカが不老にしかなれなかったのはLILIUMでのウルの効能と同じ。(ソフィが殺してみる実験で生き残ったのは皆無)
しかしヴラド機関での実験では繭期越えてから適合する人はいなかった、みんな変質して死ぬだけだった。シュカだけだったんですね。
また、リリーの血からはウルはつくれなかった。
リリーとともに回収されたウルは、シュカにとって「希望」となった…。あああああああ。まさにそれがその言葉の原義ですよ…。スーとウルの故郷の言葉…。
解放したリリーをまたヴラド機関が狙ってた、麻酔銃で眠らせ捕獲しようとしていた。
だからシュカはかつての同僚を殺し、両親との夢の中にいるリリーを目覚めさせた。
ここ、マーガレットのことを真っ先に両親に話し始めたところでなぜか泣いた。そりゃ印象深い生徒だろうけど、なんか、ああみんなが生きてた頃の話だ…!ってなって、そしてあんなに無敵に見えたマーガレットさえも、もういないんだ…ってなって。そしてたぶん、マーガレットと親衛隊は、最後まで自分たちをお姫様と親衛隊だと思って死んだのかなあ、と思って…。
あのLILIUMの最後、リリーのイニシアチブは、どれだけ本当のことを知らせたんだろう。ここがソフィによる疑似クラン、と知らされたんだろうか。でもリリーのイニシアチブでもきっと、お姫様妄想は解けないだろうから、お姫様のつもりで死んだ…?妄想が解けていてもいなくても、あの舞踏会の日々があんな形で断たれるしかなかったことが、なんか、哀しくて…。
「我は守護者なり、と言いたいが、傍観者だ」
ねえクラウス聞いてる!?あとソフィも!!!自分が解き放った不死者を、自分が不死にしたわけではないのに、しかも自らは限りある命だというのに、それを10年の苦痛(身体がウルに適合するまで)を越えてなお見届けようとした者がいたんですよ!!??
まあもっとも、シュカには、ひどい実験をしてしまったという罪の意識があるからであって、
正気だか狂気だかよくわかんないクラウスとソフィには、そんな意識はないんだろうよ、、、
個人的には、クラウスは正気がもう擦り切れてなくなってしまってて、
ソフィはもうあのクランをやり始めたときから自ら狂気に堕ちているってイメージ。
リリー、幻覚をチェリーと呼ぶんですよね。チェリーはクランに行く前からの幼馴染だから。クランの外でもチェリーと一緒にいることは、違和感がないというか、チェリーの名ならばクランの外でも使えるというか。
でもスノウは違う。スノウは、あのクランで出会って、そしてあのクランで殺した。リリーにとってスノウは、あのクランの象徴。あのクランでの日々の象徴であり、失ったもの…壊したものの象徴。だからその名前をクランの外で軽々しく使うことはできない。
まあ、リリーが呼んだというより、幻覚が勝手にチェリーの名をもらうわって言ったんですが。やめろ名前をもらうとこのシリーズ、ロクなことがないぞ…!チェリーの名を継いでしまったってことは、ずっとリリーを心配し続け、最後には、リリーに、殺される…?まあ、リリーの幻覚だから殺すとしたらリリー自身か…。
しかし、このチェリー(仮)、「さながらあなたの〇〇〇」って口パクで言うんだけど、ここ、アーカイブで何度口の形を見てもわからなくて。誰か読唇のできる方はいらっしゃいませんか…aの音2つと、tyu,syu,みたいな「ゅう」で終わる音のような気がするんですが、該当する単語が思いつかん…
→2回目見たら、_a_u_u、みたいに見えました…全然わからん…
リリーの旅装束がめっちゃソフィ。その帽子の形が、4000年後にあのクランを再訪したときのソフィと同じ。
シュカがリリーに見せたのはスノーフレークの花。花言葉は純潔。
これ、変わってるんですよねー!?
マリーゴールドでは、ヘンルーダが「スノードロップの花言葉は、けがれなき心」って歌っています。
ちなみにSPECTERでクラナッハが花の名前を列挙するところでは、スノウ、としか言っていない。これはこの列挙がLILIUMのナンバー「秘密の花が綻ぶ」準拠だからでしょうかね。
調べてみると、スノーフレークの花言葉が「純潔」「汚れなき心」で、スノードロップは「希望」らしいですが…マリーゴールドで「希望」を使うとガーベラと被っちゃうけど、じゃあスノーフレークで通せばよかったのでは???逆に希望で重ねるためにスノードロップにわざとズラしたのか??謎はつきません。
リリーはクランの全員を殺した。
クラウスはかつて不死の命を仲間のファルスたちから奪い、
ソフィはあのクランで実験を繰り返してシルベチカやピーアニーを殺した。
さあ、誰がいちばん多く殺しているんだろう。
リリーは、あいつのようになりたくない、その一心で正気を保ち続けた。
でもきっとそれだけじゃない。
不老不死になる前の二人がもう違い過ぎて。
生まれ持った素質、置かれた境遇、本人の努力、どれ一つ欠けても、リリーは今のリリーにはなりえなかっただろう。
恵まれている上にさらに努力した、それがリリー。
ソフィはもう、性格から境遇から、何もかもの噛み合わせが悪すぎて。もちろん噛み合わせを狂わせたダミアンもいて。
リリーが正気を失わなかったことは本当にすごいことで、
だからといってソフィを弱いと責めることもできないなあ、と。
日和でも、思い出を作ろうとしない、思い出にこだわらない(こだわれない)リリーは、スノウみたいだなって思ったんですが、雨下のリリーもスノウみたいですね。狂った方が楽なのに正気を保ち続けている。
記憶操作が効かなくなって、みんなと同じ夢を見れなくなってもあのクランでたった一人正気のままいつづけたスノウのように、リリーもまた、狂ってしまった方が楽なのに、正気でいる。だからスノウのように孤独。
でもシュカがいてくれてよかった。彼もまた、ヴラド機関の実験場という狂った世界で、同じように狂うことができず、正気を保ち続けた人だから。
本当にリリーがあのときの「まるで何かを諦めたみたいにどこか悲し気な」スノウと同じようで、あまりに高潔で冷徹で。
ソフィのしたことを考えると、てめえこのやろう…ってなるけど、ソフィ基準でリリーを見ると、もうちょっとわがままになってもいいんだよ…?って思っちゃう。
シュカが光のスト―カーでよかったです。これはコリウスを越えたかもしれない。リリーにとってはほんの100年だけど、その100年だけでも寄り添おうとしてくれる人がいてよかった。やっぱりリリーの資質と努力がそうさせるんでしょう。クラウスやソフィには到底無理だし、同じ努力をしろとは言えない。
というか、シュカを見ていたら、仮面ライダーエターナル:大道克己のことを思い出してしまうじゃないですか…。松岡充さんが10年前から何度も演じてくださっている、ダークヒーロー…?いや、そんな言葉では説明しきれない人。
永遠の名を背負った充さんが、永遠の少女のために、自らもまた永遠を求める役を。
その永遠は、一度死んだあとに母に望まれたもので、でもそれは終わりを告げる。その二度目の死を受け入れるとき、彼は恐れるどころか、不敵に満たされたように微笑んで死んでいくんですよ…。枯れゆくシュカを見ていたらそれを思い出してしまって…すごく満足げに死んでいくじゃないですか…。
あと、エターナルは、たった一人の少女のために、組織一つ潰したことがあるんですよ…。まさにリリーのためにかつての同僚を殺したシュカと同じ。美しすぎて圧さえ感じる風貌をしているのに、その奥底に、優しさがある。
とにかくシュカが、充さんが好きです。6話前半、ずっとシュカの一人語りと歌ですけど、そこにぐっと引き込まれる。
なんだかシュカのことを書いてたら1,6話の感想になっていたので、
以下、2~5話の各話の感想を。
「ついでいくもの、こえていくこと」
クラナッハ…。1ミリも彼の名前など言及されないのに、なんかクラナッハのことを思いました。
永遠、って、普通は誰も手に入れられなくて、ただその願いを、「つないでいく」ことに託す。鬼滅の刃思い出すなあ。人の思いはつながって永遠になる。
もしかしたら、そうやって永遠を夢想するだけ夢想して、託して死んでいく方が、幸せなのかもしれない、って、親方を見て思いました。
鬼灯という和名を持っているのはやっぱりハンターだったからなんですね。
小説集にたくさんハンターが出てくるけど、彼らもやっぱりみんな、思いをつないで散っていく。やっぱりヴァンパイアハンター、めっちゃ鬼殺隊(鬼滅の鬼狩り組織)だな…
でも死んでいく人、みんな幸せそうで満足そうなんですよね。
そしてクラナッハもそうなんだ。枯れない花を、という願いをソフィに託して死んでいく。自分が刺されても意に介さなかった彼が、ソフィを守るために最期に戦うのが好きなんです。
えーと、つまり、何が言いたいかというと、永遠というのは、手に入れることのないまま遠くから夢想して、次の世代に託して満足して自分は死んでいくから、綺麗に見えるものであって、
実際に永遠を手にしてしまった人々が何をやらかすかっていうのを、俺たちはさんざん見せられているわけで…実際に手にしてしまえば、永遠なんてロクなもんじゃない。
ノーザンクロスもサウザンクロスも夢想することはできない、って歌われていたけど、まさにそう。
永遠に輝く星を夢想して、次の世代に託してある意味自己満足の中で死んでいける方が、きっと幸せ。親方やクラナッハのように。
託された弟子もまた、次の誰かにつないでいくのだろうから、きっと彼も幸せ。
でも、託されてしまって、なおかつ、自分の番をいつまでも終えることのできないソフィは?
親方や弟子にとっては永遠にも思える石橋が崩れる時までを見ることのできてしまうリリーは?
きっと彼らにとっては、永遠なんてくそくらえ、なんだろう……。
親方は最期にきっと、リリーの嘘に気づいていたと思います。
それでも笑って死んでいったのは、橋の完成(嘘)が嬉しかったんじゃなくて、その嘘をついてくれたリリーの心遣いに対して、じゃないかと。
「求めろ捧げろ待っていろ」
これが中屋敷さんってことにびっくりしてるんですが!?作家トークで性癖出たって言ってたけど、まあ、そうか、うん…!?と、よく考えてみると自分、中屋敷さん演出作は見たことあっても、オリジナル脚本のを見たことがなかったかも…。こういう感じなんですね…!?
自らの心臓を貫くことのできるマルグリッドうらやま…とかで終われなかった。なんやねん。雷山(表記はこうかな?)は偽物のハンター、とか、ないですよね?ギルトでも出世株、って言ってたし、一応ちゃんとギルトに所属してるんですよね??日和のガヴィとは違いますよね?
いや、山に繭期の吸血種がっての聞いて、いやそれ雷山の自作自演では?実は雷山こそが繭期の吸血種なのでは?って思ってて。
それこそ、これが妄想だったらと歌うリリーたちじゃないけど、雷山の中二言動がマジの繭期すぎて、お前だろ???ってなってました。
でも最後にな、キャーーーー♡って聞こえてくるからな、ああ、いっちゃってるのはそっちだったか…ってなりました。いやそれにホイホイ出ていく雷山もどうかと思うけど。やっぱりお前繭期じゃないのか???
ハンターがスペクターを退治して回ってるっていう、TRUMP世界観をちゃんと遵守した上で、特にイレギュラーな設定とか使ってないのに、こんな変な話が書けるんだなあ…すごい…。
雷山を演じた池岡くんはD2版の臥萬里/ピエトロで、臥萬里が転入生としてみんなの前で自己紹介をする無茶ぶりシーンを彷彿させましたね…(笑)ずーっと無茶ぶり状態…
いやでも、自らの身体を斬りつけて待っている女たち、っての、どうしてもスティグマ事件を連想させますね。あれはTRUMPにダンピールの心臓を捧げていたわけだけど。イケメンハンターに来てもらうために自らの体につける傷、ってもうなんかそれもスティグマと呼んでいい気がする。それは愛の証なのか狂気の果てなのか…。
「少女を映す鏡」
これ、本当に5倍速で年を取る人のようにも、本当は本当に老女だけど少女だと思い込んでる人のようにも、どちらにも見えるのが怖い。実年齢はちゃんと75歳だけど、その年まで繭期が明けずに狂気を引きずってしまった、とか?
小説の信用できない語り手問題じゃないですけど、なんかこういうのって、設定から疑いたくなっちゃうんですよ…。
両親がいなくなってしまった、ってわざわざ2回も言われるんですよ。育てるのを放棄したとしても、まあ物騒な世界だから事件や事故で死ぬことはあるだろうけど、でも、15歳で両親ともいないってのは、めちゃくちゃに当たり前、では、ないよな…?つまり、普通に両親は老衰でとっくになくなっていて、自分もそれ相応の年で…っていうことも十分に考えられる。
18歳=90歳になって繭期が明けて解放した、でももちろん筋は通るけど、リアルに自分の死期を悟って、なのかもしれないし。
そしてそれは、そう、誰かに好かれたら救われるようなものじゃなくて、もう自分の中にある鎖だから、自分で解かない限り解けないんですよね。
恋がしたい、って言ってたけど、恋、してたじゃん、って思いました。
老いさらばえた私を見ないで、って。それ、シルベチカがキャメリアに言った言葉。だって、恋してるから、そう言うんでしょう?
そして、怖い、って。なんかその、得体のしれないような恐怖もまた、恋するときに一緒に生まれてくるやつ、なのでは?って。
最後に少年がやっぱり綺麗だって言ってくれてよかった。
でも、そうか、あんな境遇でも心が綺麗ってことはやっぱり、狂気に堕ちたリアル老女ではなく、ほんとに5倍速で年をとった少女…?だとしたら、その境遇で心が綺麗ってすごいな…。運命を呪うとかしなかったんですかね…。
「馬車の日」
いやこれ怖い。ここでもまた、設定疑う病を発揮しますけども。
何がって、全部シダーが操ってるようにも見えることが。だってイニシアチブ取ってるんでしょ????どこまでがメイプルの狂気でどこまでがシダーのイニシアチブ???シダー、メイプル、リリー、チェリー()で歌ってるとき、シダーが上の段に立って振りをリードするような動きをするんですよ。さながら共同幻想ユートピアで指揮をしていたファルスのごとく。怖い。
タイがうまく結べていなければいいんじゃないの、と言うリリーに、それではダメだって言ってたのも怖すぎる。ヘイゼルは14歳でなければならないんだと。つまり、わざとタイのことをきっかけにしていちいち夢から醒めさせて、また14歳の別のヘイゼルを連れてきている。
「夢から醒めるタイミングが早まったか」なんて言ってたけど、別に、夢から醒めるなと一言命じれば、そうなるはずなのに。なんでそうしないのか。
もしかしてそれは、シダー=ヘイゼル自身が、14歳のときからやり直したいと思っているからでは???
だって、そう、自分を探して狂った母親に一言、もう狂うな、完全に忘れろ、と命じれば、それで済む話なのに。そうしないのは、ヘイゼル自身が、母にずっと自分を求めていてほしかったからなのでは??
リリーにも、夢の中に閉じ込めるなんてひどい、って言われてたけど、そう、まさに、シダーの意志で閉じ込めていたのでは???
そして、5話終わりにメイプルとシダーで歌う歌が怖すぎます。
リリーの去り際に、シダーは「お母様を一人にするわけにはいかない」って言うんですよ。そのあと二人のデュエットになって、でもこの時点でメイプルは死んでるから、シダーは後追いしたのかなって…
でも、その、言ってみれば死後の世界?でも、メイプルは、シダーがヘイゼルと名乗っても、違う、って言う。ようやく夢から醒めたかと思ったのに、ようやく本当の親子の名乗りができると思ったのに。
そして歌は、まだメイプルが夢の中にいる前提で進む。そして極めつけは最後の会話。あなたもタイを結ぶのが下手ね、とシダーに手を伸ばす?メイプル、そして昔雨乞鳥の話をしてくれたね、と思い出を語るシダー。そこでメイプルは、表情を硬直させる。夢から醒めるときのように。まるで、シダーがなんでそんなこと知ってるの?あなたはヘイゼルじゃないのに、とでも言いたげな。
ああ、もう、死後だろうと、どこまでいっても、もう、シダーは、自分がヘイゼルだと認識してもらえることはないのかな…と思ってしまって。最後の最後まで狂気としんどさたっぷりでした…
ちなみに、作家の降田さんがTwitterで、木言葉が意外にぴったりしてびっくりした、みたいなことを書かれていたので簡単に調べてみると、
シダー(杉):君のために生きる
メイプル(カエデ):大切な思い出
ヘイゼル(ハシバミ):仲直り、調和
ヘイゼルはちょっとぴったりくるのかわからなかったけど、実は仲直りしたかった、とかなのかなあ…と深読み。
音楽について。
末満さん、Twitterでnoライネスって言ってたのに、確かに本家のライネスはかかんなかったけど、がっつり純潔のライネスかかってるじゃないですか…。シダーがメイプルを撃ってしまう前と、シュカがリリーを解放して自らもウルを摂取したと語っているとき。どちらも、愛ゆえの、というか、切実な思いがあっての、やらかし、だよ…。
最初と最後の斉唱の膨らみがすごかった。D2版やLILIUMではそれぞれ、若い男の子と女の子だけで、そうやって揃った声も好きなんだけどまた違って。あと、マリーゴールドでは、人数の圧による厚みがあるんですよ。でも、あれほど人数がいるわけでもないから、厚みという点ではそりゃ人数の多い方に軍配が上がる。でも、なんというか、幅広い人たちが集まって、いろんなバラバラな声がバラバラのまま集まって歌っている、っていう感じの、膨らみ、としかいいようのないあの感じが好きです。芯の鞘師とエツ子先生がしっかりしているからこそなのかも。
とりあえず来週もおかわりしたいなと思います。→しました。配信バンザイ!
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