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どうすれば心理的安全なチームにできる?


読書ノート「心理的安全性のつくりかた ~ 「心理的柔軟性」が困難を乗り越えるチームに変える~」 石井遼介著

チーム作りで迷ったらまた手に取るので、ここに自分用としてまとめておきます。

「効果的なチームには、どのような共通点があるのか?」について、Googleの社内プロジェクトで研究した結果、
「誰がチームのメンバーであるか(有能なメンバーがいるか)」よりも「チームがどのように協力しているか(チームのカルチャーやメンバー同士の関係性)」が重要であった。
特に、「心理的安全なチーム」は、離職率が低く、収益性が高く、多様なアイディアを効果的に活用することができるという。

では、実際のビジネスの現場、特に自分のチームやコミュニティーにおいて、どのようにすれば「心理的安全なチーム」が作れるのか?

以下、本書で紹介されている理論と実践方法についてのメモ。

心理的安全なチームとは?

▶ 心理的安全なチームというのは、外交的であることでも、アットホームな職場のことでも、単に結束したチームのことでも、すぐに妥協するヌルい職場のことでもない。
▶ 心理的安全なチームとは、メンバー同士が健全に意見を戦わせ、生産的で良い仕事をすることに力を注げるチームや職場。
▶ 心理的安全性は、組織・チームの「関係性・カルチャー(または風土・文化など)」であり、メンバー同士の行動の集積によって作られるチームとしての行動パターン。

何もしないと心理的安全なチームを作るのは難しい?

▶ ほとんどのチームや職場に自然と生じてしまう「対人関係のリスク」が、心理的安全性を阻害する。
▶ 「対人関係のリスク」とは、チームの成果のためや、チームへの貢献を意図して行動したとしても、罰を受けるかもしれないと感じること。自分の発言やアウトプットについて、チームの他のメンバーから「こんな風に思われるかもしれない」とか、「こういう仕打ちを受けるかもしれない」と不安になる状況。
▶ 行動すると罰せられるのであれば、行動しないほうがマシだから、心理的「非」安全な職場では、メンバーは必要なことでも行動しなくなる。

対人関係のリスク (ハーバード大、エドモンドソン教授の分類)
「無知」だと思われたくない
 →必要な事でも質問をせず、相談をしない
「無能」だと思われたくない
 →ミスを隠したり、自分の考えを言わない
「邪魔」だと思われたくない
 →必要でも助けを求めず、不十分な仕事でも妥協する
「否定的」だと思われたくない
 →是々非々で議論をせず、率直に意見を言わない

「対人関係のリスク」が生じないようにすれば、心理的安全なチームができるのか?

▶ 著者らの研究チームが、エドモンドソン教授の研究を参考に約6,000人、約500チームの心理的安全性を計測した結果から、日本版「チームの心理的安全性」として、4つ因子を導き出した。
▶ 日本の組織では、これらの因子があるときに心理的安全性が感じられる。

日本の組織における「心理的安全性」をつくる4つの因子 (著者らの研究結果)
1.話しやすさ
2.助け合い
3.挑戦
4.新奇歓迎

▶ 上記4つの因子はいずれも、「関係性・カルチャー(または風土・文化など)」であり、行動の積み重ねによって形成される。
▶ 「対人関係のリスク」がない状態を目指すのではなく、上記4つの因子がある状態を目指す。

「心理的安全性」をつくる4つの因子は、どうすれば増やせるのか?

▶ 4つの因子を育む行動を増やしていくことで、心理的安全なチームのカルチャーが醸成される。

心理的安全性の4つの因子を育む行動
1.話しやすさ「何を言っても大丈夫」
 話す、聞く、相槌を打つ、報告する、目を見て報告を聞く、雑談する、報告という行動自体を(内容とは切り分けて)ほめる
2.助け合い「困ったときはお互い様
 相談する、相談に乗る、問題を見つける、自分一人では対応できないことを認める、トラブルを楽しむ、ピンチをチャンスに変えるアイディアを出し合う、解決のためのアイディアを広く募る、個人ではなくチームの成果を考える
3.挑戦「とりあえずやってみよう」
 挑戦する、機会をつかむ、機会をつくる・与える、試す、実験する、模索する、仮説検証、改善する、工夫する、新しいことをする、変化を歓迎する、世の中・顧客の変化に直面する、挑戦自体をほめて歓迎する、失敗を歓迎する、現実のフィードバックを受け入れる、常識を疑う
4.新奇歓迎「異能、どんと来い」
 個性を発揮する、個性を歓迎する、強みに応じて役割を与える、常識に固執しない、ステレオタイプを避け 本人の行動を見る、月並みを拒否する、批判を一時脇に置く、自分自身のものの見方をフラットに共有する・される、違いを良い悪いではなく ただ違いとして認める

自分のチームやコミュニティーで参考になりそうな 声かけや仕組みの実践例

声かけ
「良い企画にする上で、もっとこうした方がいいと言う改善点や、何か懸念点やリスクを思いつく人はいますか?」
「担当する上で不安な点を教えてください」
「もっとこうしてくれた方が、〇〇さんの生産性が上がるとか、より相談しやすいと感じる事はありますか?今でなくても、また聞くので、思いついたら教えてください!」
「ご意見ありがとうございます。他にも懸念点がある人はいますか?」
「あの先方との会議で言ってくれた一言で、商談の流れが変わったね。ありがとう」

「困ってることある?」
「ちょっとでも気になっていることあったら、すぐ聞いてね」
「僕の依頼で、どうしたらいいか分かりにくいところなかった?」
「今、手が回らないな〜って後回しになってるところあったら、教えてね」
「悪いニュースある?」
「ともに問題に取り組み解決するために、報告・相談をしてほしい」
「早めに教えてくれたら、燃え広がる前に鎮火できるから」
「もし10分手が止まったら教えてね」
「手が止まりましたって言って、声をかけてくれたら、どこで手が止まっているのか、私が質問するから、1つずつ教えてね」
「もし、私が忙しそうにしていて、話しかけづらかったら"手が止まりました"って1行書いてメール送ってくれれば、こっちから声をかけにいくね」

「どこで、何が起きたのか教えてもらえますか?」
「何が大切だと思って、これを最初に実行したんですか?」
「営業プロセスのどこを改善すると、打率が上がりそうですかね?」
「あなたが抱えている問題について、話してください。うちのチームメンバーは、みんなでともに問題について考えてくれますから」
「ちょっと面倒なリクエストをうまく処理していてナイスでした。ありがとう」
「作ってもらったあの資料、お客様に好評でした。ありがとう」

「失敗してもそこから学ぼう」
「この本・この記事に、こういうやり方でやってみるといいと書いてあって、ちょっと2週間くらい試してみようと思うんですけど」
「今週は、こんな面白い取り組みを〇〇さんが始めました」
「〇〇さんのアイディアのおかげで、みんなが試行錯誤する機会をもらっています。ありがとう」

「このチームで、ぜひ自分自身の強みを発揮して欲しい」
「チームメンバーの感情や仕事への敬意は忘れず、けれどもあなたらしく働いて欲しい」
「もし、強みを阻害されるような依頼やアサインがあったら、相談してもらって構わない」
「強みを発揮しようとしてくれて、ありがとう」
取り入れたい行動や仕組み
・理由をつけて感謝を伝える
・叩き台となるアイディアを自由に気兼ねなく持ち寄れる「3割レビューの会」
・朝礼や会議の冒頭などで「心理的安全宣言」する
 (意見を言っても大丈夫、質問しても大丈夫、失敗・間違いを認めても大丈夫、自分らしくいても大丈夫)
・プロジェクトの初期にチームで「大切なこと」を明確化する
 (このプロジェクトは誰に何をもたらすものか?)
 (それには、どんな意味や大義があるか?)
・すぐに解決できない困った報告があっても、問い詰めたり逃げたりせず、一緒に困ってみる
・「こういう時に意見言いにくくなる」や「こうやって促してもらえると話しやすい」をチーム内で共有する時間を定期的に作る
・「やらなかったら罰を与える」制度があればやめる
・「やったら褒める」制度をつくる (チャレンジ自体を称える賞などを設立する)
・結果をチームで振り返り、みんなで学ぶ
・一連の挑戦を事例として組織内に周知する
・個性を発揮する余地を残す
・強み/弱み、得意/不得意などの個人差を勘案してアサインする(悪い意味での平等主義に陥らない)
・言われたことをやっただけよりも、工夫してやったことを評価する
やらないこと、避けること
・上位役職者の頭の中にある「正解を当てるクイズ(質問)」をしない
・できない理由、難しい理由、考えられるリスクを並べない
・他社事例や成功事例を過剰に聞かない
・「本当にうまくいくのか?」「失敗しないか?」と聞かない
・小さな施策を試す段階では、費用対効果を追求しない
・課題を報告してくれた人が、その処理までやらされ(面倒な仕事が増え)ないようにする
・失敗したら責任問題となるかのような発言をしない
・細かい手段やプロセスにこだわって指摘しない
・上位職の意見だからという理由だけで決定しない
・イエスマンや太鼓持ちを評価しない
・異質を拒否したり、「常識で考えろ」と言わない
マインドセット
・なんでもできなければいけない自分は手放す
・過去の失敗などについて自己開示する
・相手よりも一枚薄く鎧を着る
・目的の達成や実現を重視する
・〇〇(職位や職種)は「こうあるべき」という思い込みをなくす
・経過やプロセスを見守る
・メンバーの考えを理解できないときでも、対話を諦めない

以上。

1,800円で、色々取り入れたい知見が多くわかりやすいステキな本でした。
ありがとうございました。

#読書ノート #心理的安全性のつくりかた #石井遼介

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