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会計の世界史ー500年の物語

幅広い会計に関わる歴史を紹介

先週、「会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語」(田中靖浩著)という本を再読しました。ビジネス本としてはベストセラーになった本ですが、ストーリーも非常に分かりやすく、楽しめながら読める本だと思います。

いわゆる近代簿記はイタリアのルネサンス、また大航海時代から始まった、という簿記の勉強でよく出てくる話から、減価償却費は鉄道事業とともに生まれ、管理会計や事業部制などは複数事業の経営(GE等)から生まれてきた等、会計の様々な制度がどのような経緯から生まれたのかがよく分かります。

例えば、なぜ減価償却費が生まれたのか

例えば減価償却費。これは簿記、会計の始まりからあった訳ではありません。鉄道事業等、多額の投資を伴う産業が生まれた時、投資した金額を全て損益計算書(PL)に計上してしまうと、投資時の株主は全く配当がもらえない一方、投資後の株主は非常に多額の配当がもらえることとなってしまいます。これでは投資時に出資してくれる株主が現れません。

その為、投資のタイミングに関わらず公平に配当を得られるようにしたのが減価償却費なのです。このように現在ルールとして当然のようにあるものも、元から当然にあった訳ではなく、必要に応じて作られたことが分かります。

会計は固定的なものではなく、必要に応じて生み出すことができる

そうであるならば、今後の会計、財務会計はグローバルルールがあるので難しいものの特に管理会計については、企業経営の必要性に応じて独自のルールを作って、それを元に運用してもよいのではないかと思います。

ドラッカーも「現代の経営」で次のように書かれています。
「明日の経営管理者は、多様な手法を習得しなければならなくなる。しかもその多くは彼ら自身が開発しなければならない。彼らは事業の重要な領域について、自らの仕事ぶりと成果を測定するための尺度を必要とする。また長期の未来について、意味ある意思決定を行うための手法を必要とする。そして意思決定に関わる新しい方法論を身につけることを必要とする。」

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