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電気のおはなしその67・三相交流(1)三相Y結線
今回はまず、私を電気の道に引きずり込んだ「学研の図鑑・電気」から。
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保育園児の頃、新宿の紀伊国屋書店でこれを買ってもらったのです。
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このページ「蛍光灯の仕組み」の図の中でも、特に「点灯管(熱で曲がるバイメタル)」が好きだったんですね~。「てんとうかん ねつでまがる バイメタル」575にはなっていませんが、妙に語調が良くてですね。
そして、この図
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で三相交流というものを覚えた私は、保育園に行って園庭にこの図を描き、友達に「これがさんそうこうりゅうっていうんだよ」と解説したのを覚えています。大平正芳が急逝するちょっと前位のお話。保育園で「おおひらしゅしょうがしんだみたいだね」とか友達に話した覚えもありますもん。
ね?気持ち悪い保育園児でしょ?
…というわけで、今回は三相交流その1です。
三相交流というのは、発電・送電に広く用いられ、また大工場の電力供給用としても広く用いられている方式です。鉄道の変電所にも三相交流で配電され、直流電車の区間では変電のうえ整流して直流にして電車に与えています。交流電車の区間では、スコットトランスなどを用いて単相交流を作り、電車に与えて走らせています。
まずは、三相Y結線の成り立ちについて。
3個の単相電源と3個の負荷を合計6本の線で接続した、何てことのない回路がスタート地点です。
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電線を節約するために、1本の線を共通化します。
ここで、下図に示した共通線(赤い線)には、3つの電源・3つの負荷に流れる電流の合計の電流が流れることになります。
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どうにかして、3つの電源の合計電流が常にゼロになるようにしてしまえば、この赤い線は取り外すことができるようになります。
そんな上手い手段があるのでしょうか?・・・はい、それが存在するから三相3線式がこれだけ流行った訳です。その答えが、3つの電源をそれぞれ120°ずつの位相差として、同電圧・同電流つまり完全に三相平衡状態にしてしまえば、合計電流がゼロとなるわけです。この証明は、図巻では
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こんな感じで説明してありました。ベクトルで説明すると、
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こんな感じになります。120°ずつの位相差のベクトルの和を取ると、ちょうど正三角形を作って原点に戻ってくるため、常にゼロとなります。
このように、電流の和がゼロとなってしまうことを(消極的にですが)利用しているのが、単相3線式の負荷平衡時です。
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このように、上側負荷の電流I1と、下側負荷の電流I2が完全に同じであれば、中性線に流れる電流がゼロになります。もし平衡していなくても、中性線には、上側と下側の電流の差が流れるだけですから、単相3線式は「100Vと200Vの両方の電圧が得られる」という利点のほかに「電線のジュール熱で消費される電力の面から見ても高効率」という隠れ利点もあるのですね。
むろん、送電できる総電力と電線に流れる電流、そして電線で消費されるジュール熱の関係を数式にして求めてみると分かりますが、最も少ない電線数で最も効率よく送電できるのは、三相3線式であるということは数学的に証明されています。
三相交流には、この他にもコイルを接続すれば回転磁界が得られるなどの特徴もあるのですが、それは次々回あたりにしましょう。
相電圧・相電流とか線間電圧・線電流とかは、「電気のおはなし」ではなく、別シリーズを立てて書いた方が良いかなと思ってますよ。
以上。