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電気のおはなしその63・電池以外の方法で電気を作るということ feat.フレミングの右手の法則

電気のおはなしその3・電子が力を受けて移動するということの回で、

「電子が力を受ける」というのはどういう場面かというと、ひとつはクーロン力、もうひとつはローレンツ力なんてのがあるんですね。

なんて話を書き、そして力学入門として運動方程式の話に持っていったわけですが、今回は「電気を作る」、つまり「発電」についてお話ししたいと思います。

発電とは何か。もうお分かりでしょうか。それは、電子に対して何らかの外力を与え、それによって電子に加速度を与え、移動させるための力を起こす、という働きが発電です。乾電池などは、化学的な力で(イオン化傾向とか)電子に力を与えて移動させていました。
それに対して、もう一つがローレンツ力を使って発電する方法です。ローレンツ力というのは、

磁界と電子の相互作用により、電子が力を受けるという現象

のことです。

実はこれはものすごい発見で、本来電場と磁場は別々の物理現象のはずで、電子は電場から力を受ける、磁極は磁場から力を受ける、というものなのに、電子は磁場からも力を受けるし、磁極は電場からも力を受ける、という不思議な作用なんですね。これを徹底的に追求したマクスウェルは、電場と磁場の相互作用により、空間を電気が移動していく電波が存在する、ということを予言しました。(そしてヘルツの実験などによってそれが実証されました)

この「磁場から電子が受ける力」は、有名なフレミングの右手の法則によって表され、

図1・フレミングの右手の法則

このように、人差し指の向きの磁束密度Bの磁界の中を、親指の向きに電線を動かすと、中指の向きに電流を流すような電圧が発生する、という法則です。

これも、もし「電流の流れる向きと電子の移動する向きを同じ向き」だと定義していた場合、「フレミングの左手の法則」になっていたわけですね。
もっとも、「磁束はN極から出てS極に入る」というのも人間が勝手にそう定義しただけなので、「電流の流れる向きと電子の移動する向きを同じ向き」と共に「磁束はS極から出てN極に入る」と定義すれば、やっぱりフレミングの右手の法則は右手の法則のままでした。
いい加減なようですが、案外人間が定義した物理量ってそんなもんだったりします。

この原理を用いて、磁束の中を横切る電線を増やせば増やすほど電圧が大きくなるということから、何百回と電線を巻いたものがコイルなのですね。

このとき、フレミングの右手の法則の言うように、

磁界の中で、電線を動かしたときに電圧が発生する

というのがミソなんです。つまり、磁束があって電線があっても、それを力によって移動させない限り電圧は発生しないんですね。そして、これは力学的な力というエネルギーから電気エネルギーを生み出すことができることを意味します。磁束の中で電線を動かすということは、電線が描くループの中を貫く磁束の正味量が変化する、ということを指します。これを実験したのが、小学生の頃の理科の実験で、コイルの中に磁石を入れるときや出すときに電圧が発生するという現象です。

図2・電磁誘導の実験

今我々が使っている電気は、太陽電池とか燃料電池発電などを除き、全てこの原理を用いて発電されています。水力・火力・原子力・風力・地熱、それらは全て力学的エネルギーから電気を作っていますからね。

というわけで、今回はこの辺にしましょう。

以上。

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