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電気のおはなしその46・コンデンサー(1)コンデンサーってなに?

コイルの次はコンデンサーにお話にいきますよ。

身近なもので「コンデンサー」というと、イチゴに付けて食べるコンデンスミルクですね。コンデンスミルクは、ミルクをギューッと濃縮してベタベタにしたものですが、実は電気回路のコンデンサーも同じで「回路に流れる電流をギューッと濃縮して貯め込むための部品」なのです。電流の正体は電子の粒ですから、要は電子の粒を濃縮して貯め込むことができるわけです。

コンデンサーの基本的な構造は、次の図の通りです。

図1・コンデンサーの基本構造

このような対向させた電極(金属板)に電圧を掛けると、一方の金属板には電子が流れ込み、他方からは電子が抜けていく現象が起こります。つまり、一方がマイナスに帯電、他方がプラスに帯電します。
そして、極板どうしはクーロン力によって引き合う力が働き、極板間の空間には電界が発生することになります。極板の中の電子は、対向した極板の逆符号の電気と吸引しあうことによって、外部の電源からさらに電流を引き込む役割をするんですね。
どこまで電子が流れ込めば電流が止まるかというと、極板の間の電圧が電源電圧と同じ値になったら止まります。
このとき、流れ込んだ電荷の量に対して、 どのくらい電圧が上がるか?という指標のことを静電容量と呼んでいます。これはちょうど、水槽に水を入れたとき流れ込んだ水の量と、その時に上がっていく水位の高さと全く同じ関係と考えることができます。水槽とコンデンサーを比較すると、

水槽の底面積=コンデンサーの極板の面積
水槽の上がった水かさ=コンデンサーの極板間の電圧
水槽に流れ込んだ水の量=コンデンサーに流れ込んだ電荷量

と対応させることができます。

電験2種や大学の電磁気学の授業などでは、対向した2枚の極板ではなく、真空中に浮いた球体の静電容量を求めよ、なんて問題が出題されることがあります(というより、定番問題です)。
これは「その球体に一定の電荷を与えたときに、その球体が持つ電位がどれだけ変化するか」という観点、つまり電荷量と電位の比例関係で静電容量を定義します。電位の基準点は無限遠です。
この計算は、理屈が分かっていれば難しくはないのですが、この場ではこれ以上触れないでおきます。

ところで、金属や抵抗体などに電流を流す場合、電流の流れやすさというのはその物質の性質によって異なります。例えば、銀や銅であれば、ちょっと電圧を掛けるだけで大量に電流が流れますし、炭素棒などであれば余り電流が流れません。言うまでもなく、前者は電流の流れやすさが大きい物質、後者は小さい物質です。この電流の流れやすさの値を「導電率」、その逆数で電流の流れにくさを表す値を「抵抗率」と呼んでいるわけです。

これと同様に、ある電界をかけた場合、表面に電子が発生しやすい物質と、しにくい物質があります。この値を誘電率と呼び、その性質を利用するために挿入される物質を誘電体と呼びます。誘電率が大きい誘電体を利用すると、極板間に小さな電圧を掛けただけでも、極板に多くの電荷を貯め込むことができるようになります。

電界をかけると表面に電子が大量に出てくる現象を誘電分極と呼びます。

これを水槽に例えると、水槽の中に非常に吸水性が高いスポンジを挿入した場合に似ています。ある水かさの水が溜まっている水槽に吸水性が高いスポンジを入れると、水はスポンジに吸い取られ、水かさが減ることが想像できます。これと同じ原理で、極板間に誘電体を挿入すると、極板間電圧が低くても大量の電荷を極板に貯め込むことができるようになり、その結果静電容量が増加することになります。

スポンジの給水性と水かさの例えは、よく考えるとちょっとおかしい面もあったりしますが、イメージをつかむこと優先ってことで勘弁してくだせぇ。


まとめ。

  1. コンデンサーは、対向させた極板を電極とし、間を絶縁したもの。

  2. 流れ込んだ電荷は極板上に溜まり、極板間には電位差が生じる。

  3. 流れ込んだ電荷のエネルギーは極板間の静電気力(静電エネルギー)として蓄積される。

  4. 極板の面積が広いほど、そして間隔が狭いほど静電容量は大きくなる。

と言ったところでしょうか。まずは、基本的な構造と原理をイメージできればOKでしょう。次は、回路素子としての挙動などを掘り下げていきたいと思います。

以上。


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