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電気のおはなしその53・交流の性質(5)おまけのタンジェント

三角関数といえば、サイン・コサイン・タンジェントと3種類で一組にされますが、sinとcosが同じものを見ているのに対して、tanはちょっと違う立ち位置になっています。

図1・よくある三角関数の定義の図と式

これまで話してきましたように、斜辺Aは太陽と地球の間の距離で、これを1とすればCやBの長さがそのままsinやcosの値になりました。
…はい、定義から分かるように、

tanというのは、「ある角度における、sinとcosの値の比」

ということになります。

tanが最もよく使われる例としては、ビルや山などの高さを間接的に求める場合ではないでしょうか。図1において、Cをビルの高さ、Bを自分の立ち位置とビルまでの距離、θをビルを見上げる角度とすれば、直接Cを計ることができない場合でも、BとθからCを求めることができるということになります。

ところで、今回は「電気のおはなし」ですから、tanが電気でどのように応用できるのか?という話になるわけですが、正直、

tanはあんまり使いません…

…そうなんです、sinとcosで用が足りますので、正直tanじゃないと困る場面というのは少ないんです。敢えて言えば、電験3種やエネルギー管理士などの国家試験において、電力や電気機器の問題の中で、有効電力と無効電力の比、つまり力率を求めたり力率改善のためのコンデンサの容量を求めたりする場合に使う程度です。
どういうことかというと、回路に流れる電圧や電流の値を円周上の点に落とし込んだ場合、cosの値が有効電力、sinの値が無効電力となるわけですが、

有効電力・無効電力・力率の関係については、多分そのうちに解説する機会が来るのではないかと思います…

この、有効電力に対する無効電力の値、つまりcosに対するsinの値が改善すべき無効電力になるため、現在のcosの値から直接sinの値を求めるときにtanを利用することがある、といった程度です。

これも、cosの値から斜辺の長さ(皮相電力)を求め、その皮相電力に対するsinの値を求める、という二段階を踏めば、別にtanを使わなくても答えは出るわけです。

tanについては、もう書くことが無くなってきてしまいました。
最後に、例の円周上を反時計回りに回転する円に対して、tanはどこの値になるかという図を示しておきますね。

図2・単位円とtanθの関係

このように、反時計回りに取った角度θに対して、円の中心から円周上の点に向けて引いた線をそのまま直進させ、x=1の直線と交差した点のy軸の座標がtanθの値となります。
このことからも分かるように、

tan(θ+180°)=tanθ
tan(-θ)=-tanθ

…などという関係式が成立することも見て取れるかと思います。

ここまで1135字書いたし、さぁて〆るかと思いつつ
そういえば力率ってのも、電気の勉強をしていて分かりにくく、挫折する人が多い単元だなぁ…と思っております。特に無効電力はどこに行ったの?とかね。その辺りも、そう遠くないうちに話ができるのではないかと思ってますよ。

以上。

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