電気のおはなしその29・「熱」ってなぁに?(2)
前回、ボルツマン定数とか面倒臭そうなことを言ってしまったので、ちょっと失敗したかなと思いつつ、あくまでも「電気のおはなし」という主題に沿って出来るだけ易しく話をしていこうと思っています。
前回、
ってなことを書きました。
では、電気っぽい話に戻り、「抵抗はなぜ電力を消費すると温度が上がるのか」という話をします。
電流というのは、電子の流れでした。この電子の流れが、抵抗器の中に入っていくことを考えます。
抵抗器の中にある電子は移動しにくくて、流れてくる電子に体当たりされてもその場に留まろうと踏ん張ります。
すると、流れてきた電子と激しく衝突して第1ラウンド開始体当たりされた電子は衝撃によって激しく振動することになります。
しかし、外部から流れ込んできた電子は、容赦なく次々とぶつかってきます。そのたびに、抵抗器の中の電子は衝撃を受け、どんどん振動が激しくなっていきます。つまり、温度が上昇するわけです。
「抵抗が大きい」というのは、電流を通しにくい、すなわち「電子が移動しにくい」という性質ですよね。外部から流れ込んできた電子に体当たりされても動きにくい電子は、衝撃を受けてどんどん振動が増す、つまり温度が上がっていくという現象、これが「抵抗器に電流を流すと発熱する」ということなのです。
では、もうちょっとミクロな世界のお話です。
外部からの衝撃によって激しく振動している電子について考えます。
電子というのは「電気の性質を持った粒子」でした。そして、電子が移動するという現象が電流でした。
激しく振動している(=温度が高い)状態の電子は、激しく「移動」していると見なすことができます。
普通の電流のように、電池から送り込まれる電流のように長い距離を移動することはないものの、上下左右の距離の間を振動するというのは、微小な電流が流れていることといえます。
電流が流れると、その周りには磁界が発生します。その磁界によって電流が流れ、その電流によって磁界が発生し…を次々繰り返していく現象が電磁波なのですが、これらの現象から分かるのは、
ということなのですね。すなわち、
ということです。炎に近づくと熱を感じるのは、炎から放射される電磁波(赤外線ってヤツですな)を人間の肌が吸収し、それによって肌の表面の原子も振動するため熱を感じるわけです。また、昨今のコロナ禍によって
なんていう体温計が店の入り口などによく置かれていますが、あれは、
なのですね。そういえば昔、パ〇ウェ〇ブでしたっけ、電磁波が人間に悪い!とか言って白い垂れ幕かなんか張っている集団がありましたが、そもそも人間の体そのものが熱により電磁波を放射している件についてはどうなんでしょうね
電気回路の話に戻すと、例えば電線一本、抵抗器一本のレベルで考えても、その電線や抵抗器を構成している原子が(絶対零度でない限り)振動していますから、その振動によって電流が流れる、つまり電圧が発生しているんじゃないの?という疑問が湧きますが、
はい。その通りです!
そうなんです、電圧を発生するのは発電機とか乾電池とかしか無いように思ってますけど、実は抵抗器一本あればその内部の原子の振動によって、電圧を発生しているのです。嘘みたいな話ですが、これ本当です。
このような雑音のことを「熱雑音」と言いまして、電気回路を作れば必ず発生する雑音なのです。電気を用いて通信を行う場合、信号というのは伝送途中に絶対に劣化するのですが、その劣化の大きな要因がこの「熱雑音」です。
この雑音理論を掘り下げると、かなり難しい話になってしまうので、この位に留めておこうかと思いますよ。ちょっと興味がある方は、ステファン・ボルツマンとかで検索してもらうといいと思いますよ。
以上。
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