電気のおはなしその82・電場と磁場の相互作用
だいぶ前になりますが、「電気のおはなしその11・クーロンの法則と電場(電界)の定義」で、「電場というのは、電気を持った性質どうしのあいだで力が発生する場所のこと」だと書きました。これは、磁場や重力場と同じで、
ということになります。ここで重要なのは、重力場は質量の間でのみ力が発生し、電場は電荷の間でのみ力が発生するということです。例えば、きわめて強力な磁場であるMRI装置の中に人間が入ったとしても、人間の体を構成する物質(質量)との間には力が発生しないため、人体が直接MRI装置に吸引されることはありません。
このように、「場」というのはそれぞれの物質や性質どうしの間でしか力が生まれないはずなのですが、電荷と磁化については、何故か相互作用が発生することが分かっています。
というのは、
これは小学校の理科の実験でもおなじみです。エナメル線でコイルを作りって電流を流すと、磁界が発生して電磁石になり、クリップがくっつきます。巻き数を増やしたり、電圧を上げて電流を増やすと、磁力も強くなります。また、コイルに高感度の電流計を接続し、コイル内に磁石を出し入れすると、磁石がコイルの中に入ったり出たりする瞬間に電流が流れる現象が観測できます。
これらの実験は、小学校の4年だか5年だかで行いますが、実は物理学的に極めて本質論的な実験なのですね。すなわち、本来は磁界を作る磁石と電界を作る電流は別々のものであるのに、それらを移動させたり増減させたりした場合に限り、互いに相互作用は発生するということです。この現象があるからこそ、発電機を回転させることで電流を作ったり、あるいは電磁波を作り出して電波として送受信し、電気を用いた通信を行うことができるようになったわけです。(電磁波についてはまたそのうち書きます)
これらは、小学校の実験で行うくらいですから「そんなの当たり前」とスルーされてしまうような現象ですが、電気とはいったい何なのか、電流とはいったい何なのか、そして発電機でどうして発電することができるのか…等々、身近な物理現象を理論的に解き明かしていくときのキーポイント、ということでございます。
今日も疲れました。書き散らかしですが、この辺でいったん〆。
以上。
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