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電気のおはなしその27・半導体(1)真性半導体とはなにか

それでは、半導体のおはなしに行きましょうか。

幼少のころ、私は「半導体」の定義にすごく疑問を持っていました。
「半導体とは何か?」というのをモノの本などで見ると、

半導体とは、電気を良く通す導体と、電気を通さない絶縁体の中間の物質である

みたいなことを書いてあるわけですよ。でも、そこで疑問。

じゃあ、10Ωとか100Ωの抵抗器は、「電気を良く通す導体と電気を通さない絶縁体の中間」だから、これを半導体って呼ぶの?

って話です。むろん、抵抗器≠半導体というのは知っていましたから、頭の中で?????となったわけですね。当時小学生。

でも、大人になって分かりました。

半導体というのは、シリコンとかゲルマニウムなどの元素のことで、外観は金属みたいに見えることもあるけれども、明らかに金属よりも電流を通しにくいという性質を持っている。

化学的には、電流を通しやすい銅やアルミニウムなどの金属結合と、シリコンやゲルマニウムの共有結合では性質が大きく異なり、この共有結合をもつ元素のことを半導体と呼んでいる。

ということなんですね。つまり、「電流を通しにくい」というのは結果論であって、

電流を通しにくいから半導体・・・✖
半導体は電流を通しにくい・・・〇

ということなのでした。うーん。すっきり。
ちなみに、シリコンは地球上に事実上無限に存在しているので、資源枯渇の心配はありません。ゲルマニウムは非常に希少な元素です。

さて、このような「共有結合をする元素」であるゲルマニウムやシリコンですが(この他に、GaAsなどの化合物半導体もあります)、100%ゲルマニウムとか100%シリコンの塊のことを「真性半導体」と呼びます
真性半導体は、上にも書いたとおり、共有結合という形で隣接する原子同士が結合し、大きな結晶を形作っています。

図1・共有結合の模式図(隣接する原子が1個ずつ電子を出して結合している)

銅とかアルミニウムなどの金属は、金属結合という形で原子同士が結合して大きな結晶を作っています。金属結合は、もう誰もがお分かりのとおり、その結晶を構成する原子の中の電子が容易に移動する、つまり電気抵抗の値が小さい、という特徴があります。
それに対して共有結合は、隣接する原子が共有している電子が強固に結合しているため、外から電圧を掛けても容易に電子が移動せず、その結果抵抗値が高くなる、という特性を持っています。これが「半導体」という名前のゆえんになるんですね。

では、この真性半導体を加熱したり冷却したりするとどうなるでしょうか。
熱というのは、要するに原子の振動ですから、

(あ。熱とはいったい何なのかを話してなかった。次はその話にするか)

俺氏の心の叫び

真性半導体の結晶が加熱されると、隣の原子同士をつないでいる電子の振動が激しくなり、やがて手が外れて自由に動き回る自由電子が増えていきます。自由電子は電流を運ぶ役目をしますから、

真性半導体は、温度が上がると、電気抵抗が減少する

という性質を持っています。
実はこれは非常に特殊な性質でして、通常は温度が上がると電気抵抗も上昇するものなんです。これも、「熱とはいったい何なのか」と併せて紹介しておきますね。


さて、今回のおはなしをまとめます。

  • 半導体とは、共有結合で結晶を作るシリコンやゲルマニウムなどのこと。

  • 100%シリコンや100%ゲルマニウムなどの結晶を真性半導体という。

  • 共有結合の性質として電気抵抗が大きく、「半導体」と命名された。

  • 半導体は、温度が上がると電気抵抗が小さくなるという性質を持つ。

  • 半導体の代表はシリコン。シリコンは事実上無尽蔵に存在している。

次はP型半導体とかN型半導体の話をしようと思っていましたが、その前に「熱とは何なのか」という話を少ししておきましょうね。

以上。

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