ミニシアター『Stranger』にAT THE BENCHを観に行ってきた
記念すべき新年1本目の映画は、奥山由之さんの
『AT THE BENCH』となった。
映画の感想はネタバレ防止を含めて
(1)その日に行ったミニシアター『Stranger』の話(ほぼ日記)
(2)AT THE BENCHの感想(エピソードで小分けかも)
の、二部構成にしようと思う。
最近ハマってよく聴いている雑談系Podcastの『上京ボーイズ』のお2人(ミントさんと小太りさん)が試写会で見た『AT THE BENCH』の感想を話している会で大絶賛していたので、『Stranger』というミニシアターに足を運んでみた。
場所:都営新宿線 菊川駅 A4出口 徒歩1分半蔵門線 都営大江戸線 清澄白河駅 徒歩13分
住所:墨田区菊川3-7-1 菊川会館ビル1F
電話:080-5295-0597
しかも、学生の頃に知った奥山由之さんの作品!
奥山由之さんの写真の世界観が映画になるなんて!というか、映画まで手掛けてたなんて知らなかった!
10年の時間の長さを彼のキャリア変遷でしっとり感じる。実にエモい。
好きだった"カルチャー"とその頃の自分に一瞬で引き戻される。
Googleで、Strangerの場所を確認しつつ、口コミを見てみる。2022年9月にクラウドファンディングにより発足した映画館らしく、内装も綺麗で椅子がふわふわ、あとサンドイッチが美味しいらしい。
せっかくカフェ併設なら、早めに行って本を読んじゃおう。と思って着いた時間は、まだ暗くなる前の16:30頃だった。
奥に2人掛けの席が4つ、その反対側にサインが書いてあるテーブル1つ、カウンターの反対側に2人掛けが2つ。
とりあえずカウンターでホットコーヒー500円を頼んで、合わせてチケットもレジで購入。事前にネット予約も出来たけど、早めにいってその場で買いたい気分だった。
サインがでかでか書かれた席に座ると『AT THE BENCH』のポスターが見える。
私が席に着いたとき、1番奥4席はお一人様で埋まっていた。時間が過ぎるにつれポツポツ人が増えてきたかと思ったら、どうやら私が観る映画の1つ前の上映が始まるようだった。QRコードをかざし、次々館内に人が流れていく。待合スペースに残った客は、ついに私1人となった。
映画が始まってからは、手持ち無沙汰になった映画館スタッフの女性2人と男性1人のお喋りがわいわい続く。
暫くして気づく。
あ、ちょっと気まずい。いや、なかなか気まずい。
コーヒー1杯で映画1コマ分も長居すんなよ、とか思われてないだろうか。そういう人は少ないのだろうか。気づかなかったらなんとも思わないのに、一度気づいてしまうとそのことばかり気になるこの現象に名前はあるのだろうか。と肩身の狭い居心地の悪さを勝手に感じていた。
これは、ミニシアターならではのデメリt…状況すぎる。
客単価の低さを気にしていることを悟られないように本に目線を落とす。加えて、錦織圭とジョコビッチのラリーのような怒涛LINEを友達と交わして気を紛らわすことに必死だった。あぁ、お友達ありがとう。仙台の美味しいお店リストもありがとう。
1人でも来客がきたら流れが変わるはず…!と思いながらそこにいるスタッフの誰よりも来客を待った。結局そのあと1人来るまで20分そこそこだったと思う。お喋りをしていたスタッフの誰よりもいい顔の『いらっしゃいませ』に、『心よりお待ちしておりました』をアレンジで付け加え、心のなかで大歓迎した。
上映していた映画が終わった頃、どっと人が流れてくる。瞬間風速的に、カフェスペースの人口密度がぐっと高くなる。ピークは過ぎているが人の多い時間帯の大江戸線がフラッシュバックした。車掌さんが押し込むほどではないが、『この辺酸素薄そう』と思えるくらいの混雑具合。
出てきた多くの人が"ぼくのお日さま"のブックの前に並んで、手に取っている。つい、そんなに良かったのかな、観るべきかなと自分の中のミーハー心が顔を出してしまう。若い人よりは年上の大人の人のほうが多い印象だったから、きっと落ち着いたヒューマン系映画なのかな。ぞろぞろ人が減り、きっと同じ映画を見る人が数人残された空間になってホッとする。
6時を過ぎた頃、お腹も減って喉も乾いていた。開演は7時10分、サンドイッチと飲み物を買うかどうかでぐるぐる10分くらい悩んだ気がする。
なぜ悩むかというと、その日はオーバーオールにニットを重ね着という、トイレに行くのが死ぬほど億劫な服装だから。しかしコーヒー1杯500円で耐え忍んでいた私の口の中はもう限界砂漠であり、ここから更に映画を見ると思うと、オアシスを買い与える他なかった。
持ち込みもできると聞いたので、結局、ハニージンジャーティーを買う。
扉が開き、QRコードで入場する。ちょっと感動するレベルのふわふわ座席に身を任せてみると、軽率に家まで持って帰りたくなる。座席は前から2番目でも、箱が小さいので普通の大型スクリーンよりだいぶ見やすい。程よいサイズ感でアットホームな雰囲気が日常系の邦画を観るのにぴったりだと思った。
少し冷ましたハニージンジャーティーを口に運ぶ。
喉の渇きと一緒に1時間前の気まずさを払拭できた気がした。