Kelly: 弟の企み
私たち三姉妹には、年の離れた弟がいる。
「末っ子長男、姉3人」と言う、女子だったら絶対に近づきたくないタイプの弟を持っている。
ところがその弟は、私達3人をよく見ているのか、頭脳明晰でスポーツ万能な全く失敗しないタイプの「坊や」なのだ。
私の姉は最強に頭が硬い。オタクを通り過ぎた超・ド・真面目な人で、今や家族の誰も太刀打ちできないタイプ。
2番目の私は、言いたいことは、なんでも言う、型にハマったことを好まず、周りからは無意味に怖がられる、こんな感じの自由人。
妹は、末っ子時代が長かったせいで、世間知らずで、チヤホヤされることに慣れてしまい、超ワガママで、ダメ人間の極みである。
年齢の近い三姉妹の、7歳も離れた弟。両親だけでなく、両祖父母たちも含めた待望の男の子。蝶よ、花よと言わんばかりに育てられた。騒がしい私たちとは正反対で、賢い上に大人しく穏やかな性格だった。私たち姉妹は、もの静かな弟のことを「何にも言わないつまらんやつ」と呼んでいた。チヤホヤされている弟に対し、人生そんなに甘くないんだから、いつか痛い目にあうんじゃないかと、勝手に心配していた。
そんなアクの強い姉妹が取り囲む弟を選んで、私たち家族の仲間入りしてくれた、たくましく、勇気ある若い可愛い女の子。この環境だと知りながら弟と一緒になってくれた、本当にありがたい存在である。
それなのに…
その弟のお嫁さん、抱きしめてあげたことなかったっけ。
次の年末、冬休みに帰ってきた時、ちゃんと「ありがとう」と言ってあげよう。抱きしめてあげよう。
そんな彼女は、若くて可愛い。
言いたいことも、ちゃんと言う。さらに、皿一つ洗わない。指摘しなければ玄関で靴もならべない。親のお金は水のように使う。
それでも、(色々あった)大切な弟を忍耐強く待ち、私たちと対等にテーブルにつける勇敢な嫁なのだ...
ありがたい、ありがたい...