げんしけん二代目、完結!!
さすがにこれは、さすがにこれは大事件だから感想書く。
しばらくブログ書いてない間にかくしごとの二巻が発売されたり巨娘が復活したりサンデーが凄く良い感じになったりしてましたね。
まあいいや、色々いいや。げんしけん二代目が大団円ですよ。さすがに喋りたい。
勿論ネタバレしたくないって人はこっから先は読まんでね!あと記憶や勝手な読みで言ってるから全部真実とは限らないぞ!
そろそろ大丈夫かな?書くぞ!
やーまずはね、そうかぁ、スーに落ち着くかぁ!って感じ。とりあえずあらすじから
二代目のキモとも言える班目ハーレム物語に決着がついた最終巻。班目が一人で出した答えは「誰も選ばない」でした。一人一人コムズカシイ理由をつけて開幕で断りきっちゃう。
さすがヘタレ!いっそ貫禄すら感じます。十二巻も続けといてSOREKAYO!
ただそんなヘタレ決断もすべては春日部さんに対する諦めきれなさからでした。高坂くんの策略の結果白日の下に晒された事実です。
そしてスーに対しては悪く思ってない事を春日部さんに看破されます。その上告白させられちゃいます。
皆に良い様にされて、さすがヘタレ王班目さん!愛されてる!
そして歴史に残る名告白シーンが生まれます。
「班目晴信はスザンナホプキンスをーーーッ!! あ アイシテルかどうかはわかりませんが・・・でも 激萌えです 余裕でブヒれます!スー ブヒィィィイイィイ
萌えと好きは違うという輩もいるけれど 俺は春日部さんに激しく萌えてたから 俺にとってはそんなに違わないと思う 萌えという観点から見ればスーはハーレムメンバーの中でも突出してるよ
他の3人に萌えがないわけじゃないけど どっちかっつーとあっちはエロだと思う いやエロと好きがそんな違うわけでもないけど!
・・・でも俺は 萌えの方を信じたい 萌えあってこそのエロだと思うしオタクとしてそうありたいと思う
・・・ほんと今さらだけど 旅行の時の返事を 人から言われないと何もできないどころか気付けもしないやつだけど・・・どうだろう
つ つき 付き合ってみる?」
ヤツハトンデモナイモノヲ盗ンデイキマシタ
班目はとんでもないものを盗んでいきました・・・スーの心です!
なんて最高なんだ・・・
まとまってないから言いたい所から行くと「萌えの方を信じたい オタクとしてそうありたいと思う」ってかっこよすぎるぜ。
班目さんってのはオタクの代表なんだ。
ただオタクだって人だ、恋愛感情もあれば肉欲もある。女の子になりたい夢から友人と飲むビールが生き甲斐だったりする。
だからこそ二代目の物語「班目ハーレム」はうじうじして中々決着がつかなかった。
そのうじうじが班目さんの魅力なんだけどね。
だからこそこの告白はかっこいい。普通なら「オタクである前に人」なんだけど、この告白は「人である前にオタク」だからオタクの価値観で俺は生きるって言ってて最高にかっこいい。
多分、それまでの班目さんはオタクである事に負い目を感じてたと思う。春日部さんには自分は合わないよなって勝手に納得したりしたあたりから想像できる。
だから班目さんは周りから見られて浮いてないかとかを気にしてあんな(可愛い)ヘタレ人間になってしまった。
だけど、今回の告白は「自分がオタクである事に自信を持って行動の軸にした」。だからいままでうじうじして可愛かった班目さんが、堂々としてかっこよくなったんだ。
で、思うんですけどこれはげんしけん初代で笹原くんが完遂した「俺に足りないのは覚悟だ」ってテーマにも繋がると思うんですよね。
初代で笹原くんはげんしけんに入る時に怖がりながらも一歩踏み出しました。オタクとののしられてもエロゲーをやりたがりました。他者を拒絶する荻上さんにも好意を以て踏み込みました。
対して班目さんは告白すらせず恋する春日部さんの写真を裏で買ったり四年間お疲れさまでしたって言うのが限界だったり(実は処女だったら萌えだヨネーとか言ってみたり)全くなんにも踏み込んでない!
オタクの中の班目さんはめちゃくちゃ強い。同人誌も値段を見ないで端から買うストロングスタイルだ。ただ一般人の中に投げ込むと(久我山さんや田中さんと比べても遥かに)とんでもなく弱い。
この告白はそんな班目さんが「どんな中にいても俺はオタクだ それで堂々と生きる」と言ったように聞こえて、それは覚悟を持って生きるって事だと思うし、それはやっぱり初代から続くげんしけんのテーマだよなあって思いました。
さて、こんなに熱をあげて語りたくなる(いや本当は二代目は矢島さん推しなんで矢島さんの話もしたいんですけど)げんしけん二代目ですが最終巻を読むまであんまり好きじゃあありませんでした(いや矢島さんは大好きなんですけどね?)。
というのも僕の好きなげんしけんっていうのは、恋愛どうこうじゃなくて、心地よくナカーマとだらだらできる居場所だったからです。そこは僕らの最高の友達「班目さん」がいて、過ごしたい青春と過ごした青春が重なる夢のような空間でした。
対して二代目はなんだ!女オタクは良い、腐女子もキャバ娘も良い。だけどそうじゃないだろ!そんな青春僕は過ごしてないよ!なんなら過ごしたい青春でもないよ!
名前ばかり引き継いだげんしけんは班目さんの為に作られたエセの空間にしか見えず、これだけ愛されるキャラになってしまった班目さんへの木尾先生なりの恩返しなのかなあ、どうでも良いなあと思っていました。
ただ最後まで読んで考えは変わりました。
確かにこれは班目さんへの恩返しかもしれない。だけど安易な幸せなんて木尾先生は描けるわけがない!二代目は班目さんがただの愛されキャラを卒業するため、皆の人生のモブから主人公にする という壮大な恩返しだったのだ!と考えました。
だからこそ班目さんに真実の萌えを見つけてもらうために、フィクションフィクションした波戸くんや現実現実した笹原妹など多くの魅力が必要だったんだなあと。終わってみればすっきり納得しちゃって、それまでの二代目の違和感は気にならなくなっちゃいました。
ここから先は妄想で色々語ります。
班目さんというキャラクターは、おそらく笹原くんの憧れの先輩として、そして楽しい仲間として 笹原くんと読者が仲良くできるように作られたオタクの代表の役割だと思っています。
だからこそげんしけん初期メンバーの男子勢の中で班目さんと笹原くんだけ絵も描けず服も作れない無能キャラです。
笹原くんは主人公だからガンガン成長して良いけど班目さんが成長して変わってしまったらゆるいオタクを許せる集団だったはずがゆるいオタクがいなくなってしまう。
だからこそ初代げんしけんで班目は停滞していないといけなかった。
またげんしけんという作品は木尾先生がシリアスになりすぎないように相当注意して作った作品だと僕は思っています。4年生やヂゴプリを読むと感じられると思うのですが、木尾先生はキャラクターの行動を制御できてないと思います。これは悪い意味ではなく、キャラクターが完全に自立してしまい、キャラクターが必然性のある行動しか取らない=物語の為にキャラクターを動かす事ができずキャラクタ−が動いた結果物語が生まれる タイプの作家だと思います。だからこそ木尾先生の物語にはリアリティが強く感じられ、なお且つ暗い展開になる事が多いのだと僕は思っています。
そして、シリアスになりすぎないように班目さんは無能のオタクの役割を強調して描かれる事になったのではないでしょうか。というのも、そこを強調しないで普通に木尾先生が描くと多分居心地の良いげんしけんは壊れるような展開になったのではないでしょうか。だってオタクの初恋だぜ?!思い出せばわかるだろ!
ただ、木尾先生の中で班目晴信というキャラクターはもう生まれてしまった、どうにも恋をしてしまった、だけどその方向で動かしたら物語が破綻してしまう。その動きたいけど動けないもどかしさが班目さんのヘタレの魅力に繋がったのだなと思います。
また、以上の事から木尾先生としてはげんしけんという空間を維持するために班目さんの成長の目を潰していたと言っても過言ではなかったと思います。だからこそ二代目という延長戦を用意して、もはやげんしけんという空間を壊してもいいから、班目さんの成長を描く必要があったのではないかと考えました。
だからこそ、げんしけん二代目のメンツが初代と大きく異なった(それまでのげんしけんを壊した)のではないでしょうか。
そして、無事 班目さんはオタクの自分を肯定するという成長を遂げ 卒業し 今回大団円を迎えたのだと思います。
また、これは少し蛇足なのですが 矢島が次の会長になった事は素晴らしい希望だと思います。
矢島というキャラクターは二代目のキャラクターにしては珍しく、デブ体型、絵が下手、叶わなそうな恋をしている等々コンプレックスが大量にあるキャラクタ−です。
そしてげんしけんの中に居場所を感じています。
というのは正当な、初代から続くげんしけんメンバーの血が矢島に流れていると僕は考えます。
班目さんの為にげんしけんは一度壊れました。ただ、そんな矢島さんが会長になるって事は げんしけんはまた復活する。そんな希望だと思います。
僕らの青春はまだまだ終わらない!