モモンガの1日(9)
相変わらず柱時計は狂っていて、部屋は散らかっていたけれど
モモンガは久しぶりに少しすっきりした頭になって、
上気した頰で部屋に入った。
定位置に座ってまっさきにかわらばんを取り出したが、
手を止めて部屋を見まわした。
「少し片付けてから読もう」
そして机上のかわらばんをチラチラと横目に見つつ、
「もう少しだけ、もう少しだけ」と普段より熱心に片付けをして、
軽く拭き掃除までした。
それが終わるとようやくかわらばんを手にとった。
いつものように最下段から目を通した。
いちばん楽しみにしているのは、ねずみの編集後記だったのだ。
本編とはまったく関係ない話が自由に書かれている。
日々のことや季節のこと、ねずみが面白いと感じたこと。
最近は徐々にその欄が大きくなってきていた。
モモンガは今日ばかりは、常に新しいことを探して駆けまわるねずみの姿を
かわらばんの向こう側に鮮明に思い浮かべて、いつもよりも長い時間をかけて読み終えた。
(つづく)