モモンガの1日
モモンガの朝はおそい。
太陽がじゅうぶんに昇りきってから、もそりと起きだす。
今日も青空がまぶたの裏に透けそうなほどの快晴である。
木のうろの端には枕がひしゃげて寄っていた。
寝相が悪いのはいつものことだけど、その薄汚れた枕を見て、
「ああ、そろそろ返さなきゃなあ」
とモモンガは思った。枕はずいぶん昔にリスから借りたままだったのだ。
とはいえ、同じ木の下のほうに住んでるリスは、いつも早起きで、帰りも遅いから、顔を合わせることがなかなかできないのだった。
だから「返さなきゃ」と思うのはこれで何度めかわからない。その繰り返しでずいぶん経ってしまった。(つづく)