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「集まって練習しようよ」
夏休み明け
毎年クラス対抗のバスケの試合がある

誰が言いだしたのか
20人ほどのクラスの女子が
体育館に集まった

苦手なんだよ
ドリブル!
中1のはじめ
背が高いというだけで
先生からバスケ部に入れよ、と
言われた
それなら、と体験入部はしたものの
足上げ
ランニングにとてもついていけず
先輩後輩の上下関係に
気おくれして
すぐにやめた

まぁまぁ早い決断だった

その後もその先生には
よく声をかけてもらったが
指導するのは
先生だけじゃないのだから
部活って
大変なんだよね、と
気楽な
先輩のいない部活に入った

先輩に
可愛がられるタイプというのがある
お兄ちゃんがいる、というのも
その一つの理由になる
返事がハキハキして早い、というのも
リーダー格の先輩からは
気に入られやすい
そのまた仲良しの友達、というのも当たり障りなく入っていける 

私は
クラスでは
ハッキリものを言う方だったし
無条件に人の言いなりになるのは
無理だ、と思った
ただルールも
何も知らなかったからだけなのだけど
好きでもないスボーツのルールを
始めから知っている人なんていない

両親が
スポーツ好きかどうかでも
違っていたと思う

知ってか、知らずかは別として
そんなに運動が得意でなく
努力もしたくない
しんどいのはちょっと、
それが本音だ

大人びた気だるさを持った碧海さんは
そのどれでもなかったが
バスケ部ではいつも笑顔でがんばっていた

そんなにうまい方ではなかったと思う
ドリブルも
私と同じで
子供のお手まり遊びか、そんなに
かっこいい感じではなかった



ダッダッダッダッ
左手で
相手の動きをガードし
低い姿勢でのドリブルをする
プロ選手のような素早さ
みんなを左へ右へ交わしながら
ゴールに向かってダッシュする
碧海さんを見た

えっ!?えーっ
なに??

いや、そんな
普段の碧海さんじゃない

バスケこんなにうまかった?
あっけにとられていたのは
私だけではなかった

その瞬間
ボールを抱え込んでペタンと
しゃがみこみ
動かなくなった

碧海さん?




「誰だったんだろうね、あれは」




夏の日の学校シリーズ化決定(☉。☉)!
振り返るのが怖いものを振り返ります

次回は
『朱』潮時を知る
をお送りする予定です

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