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2025年の米国利下げ予想に変化!トランプ氏勝利とFRB議長発言が背景に

2025年に向けた米国の金融政策が、ウォール街のアナリストたちの間で話題となっています。米大統領選でのトランプ氏の勝利、FRB(米連邦準備制度理事会)議長パウエル氏の発言を受け、利下げのペースに関する予測が修正されました。いくつかの大手銀行が利下げの予想を後退させたこの動向、背景にはどのような要因があるのでしょうか?



予測の変化:利下げペースが鈍化する理由

FRBは2023年後半から金利引き下げを実施し、2024年も年末に向けた利下げが続くと予想されていますが、2025年については一部の銀行が利下げペースを緩める見通しを示しました。この変更には、米国政治とインフレ見通しが影響しています。

トランプ氏の政策がインフレリスクを高める?

バークレイズやトロント・ドミニオン銀行(TDバンク)は、トランプ政権下で移民規制が厳しくなる可能性と、輸入関税の引き上げを懸念しています。これらの政策は物価の上昇をもたらし、FRBに利下げを躊躇させる要因になるかもしれません。特に、経済成長の維持とインフレ抑制というバランスが難しくなり、FRBはより慎重な対応を迫られるでしょう。

債券市場も敏感に反応

最近、米短期債の利回りが上昇し、金利先物市場も2025年の利下げペースが緩やかになるシナリオを織り込んでいます。特に、TDバンクのオスカー・ムニョス氏とジェナディー・ゴールドバーグ氏は「利下げが一時停止される可能性がある」と指摘しています。これは、トランプ氏の政策による経済の影響を慎重に見極めるためです。

各銀行の見解:FRBの今後の対応について

各銀行のエコノミストやストラテジストたちは、FRBが利下げをいつまで続けるのかに注目し、予測を次のように修正しました。

バークレイズの予想

バークレイズは、2025年の米国のインフレ率が上昇すると予測し、GDP成長予測を引き下げました。これにより、25年の利下げ回数予想を3回から2回に修正しています。物価上昇が続くことで、金融緩和のペースが抑制されると見ているためです。

ゴールドマン・サックスの慎重なアプローチ

ゴールドマン・サックスは、パウエルFRB議長の発言を受け、「適切な停止ポイント」を見極める必要があると強調し、利下げペースを慎重に進めるべきとしています。これにより、2025年3月までの各会合で0.25ポイントの利下げを行い、6月および9月の会合で最終的な利下げが実施されると予想しています。

JPモルガンの四半期ごとの利下げ予想

JPモルガン・チェースは「政策の不確実性」を理由に、各会合ごとの利下げではなく、四半期ごとに0.25ポイントの利下げが適切と予想しました。これは、トランプ政権の政策による経済の変動を慎重に評価するためです。

投資家視点で捉えるポイント

金融政策の予測が変更されることで、株式市場や債券市場にはさまざまな影響が出ます。投資家としての注目ポイントをいくつか挙げます。

  • インフレリスクへの対応:トランプ氏の政策によるインフレリスクがあるため、FRBは緩やかな利下げを進める可能性が高まっています。このため、物価上昇に強いセクター(エネルギー、生活必需品)に注目が集まるでしょう。

  • 利下げ鈍化による債券市場の動向:金利が急激に下がらないと見込まれるため、長期債よりも短期債に資金が流れる傾向が予想されます。これにより、短期債やそれに連動するファンドへの投資が増えるかもしれません。

  • ドル安と輸入品価格の変動:輸入関税の引き上げによる輸入物価上昇は消費者心理や企業のコストに影響を与え、ドル安トレンドの要因にもなります。これを見越して、ドル安を活かす海外資産やドル建ての輸入品価格の影響を受けにくい企業の株価に影響が出る可能性もあります。


まとめ

2025年に向けたFRBの金融政策に変化の兆しが見え、ウォール街も予測を修正しています。トランプ氏の再任やパウエルFRB議長の発言により、利下げのスピードが緩やかになる見通しが強まっており、投資家にとっても戦略を見直すタイミングといえるでしょう。インフレリスクや短期債利回りの上昇など、経済環境の変化に対応する柔軟な視点を持つことが重要です。

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