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Palantir株が急伸―AIブームと強気の見通しが後押し

データ解析ソフトウェアを提供するPalantir(PLTR)の2024年第4四半期決算は、市場予想を上回る売上高と2025年の強気のガイダンスを発表したことで投資家の注目を集めました。特に人工知能(AI)分野での需要増加や商用分野へのシフトが奏功し、株価は時間外取引で大きく上昇しています。本記事では、決算のポイントと今後の展望を整理します。



2024年第4四半期決算ハイライト

売上高は前年比36%増の8億2,800万ドルとなり、アナリスト予想(Visible Alphaのコンセンサス)を上回りました。これは、同社が強化を進めている人工知能向けプラットフォームの需要拡大が寄与したとみられています。

一方、純利益(GAAPベース)は7,901万ドル(1株当たり3セント)と、前年同期の9,339万ドル(同4セント)から減少しました。この要因にはストック・オプションなどの一時的費用が含まれています。ただし、調整後利益は3億4,195万ドル(1株当たり14セント)と前年同期比で80%増となり、アナリスト予想を上回りました。

CEOアレックス・カープ氏のコメント

CEOのアレックス・カープ氏は「当社はAI革命の中心で存在感を深めており、ビジネス実績はそのことを裏付ける」と述べ、AI分野での優位性を強調しました。また株主向けのレターでは「ソフトウェアの巨人へと成長した」と自信をのぞかせています。


2025年ガイダンスと株価動向

Palantirは2025年の売上高を37億4,000万~37億6,000万ドルと見込んでおり、アナリスト予想(35億1,000万ドル)を上回りました。さらに、2025年の調整後フリーキャッシュフロー(FCF)は中央値で16億ドルとされ、こちらも市場の想定(約12億8,000万ドル)を上回る見通しです。

こうした強気の見通しが評価され、決算発表後の時間外取引で株価は一時15%以上の急騰をみせました。株価は2024年に340%上昇しており、2025年も既に10%ほどの上昇を記録しています。1月31日には史上最高値(終値ベースでは83.74ドル、日中取引では85.22ドル)をつけ、まさに絶好調といえます。


事業別のパフォーマンス

商用部門の加速

元々官公庁向け契約が強い同社ですが、近年は商用セクターへの注力を強化しています。第4四半期の米国商用売上高は前年比64%増の2億1,400万ドルと大きく伸びました。Third Bridgeのシニアアナリスト、ジョーダン・バーガー氏によれば「商用部門へのピボット(方向転換)はここ1年で加速しており、短期契約の締結プロセスもスピーディーになった」と評されています。

官公庁向けビジネスの堅調さ

一方、従来の強みである政府関連事業も好調を維持。米国政府向け売上高は前年同期比45%増の3億4,300万ドルを達成しています。軍事やテロ対策などの分野で同社ソフトウェアを活用してきた実績は確固たるもので、引き続き安定的な成長を見込めるとみられています。


AIプラットフォームの展開

Palantirは2023年初頭に「Artificial Intelligence Platform(AIP)」をローンチしており、ヘルスケア、エネルギー、製造業など幅広い分野の需要を取り込もうとしています。AIブームが続く中、AI関連銘柄としても注目されるPalantirは「生成AI」分野での活用にも力を入れており、これが同社の成長ストーリーをさらに後押ししているようです。


投資家視点で捉えるポイント

商用市場へのさらなる拡大

商用部門の売上増加ペースが続けば、今後も大型契約(7~8桁規模)を獲得する可能性があります。従来は官公庁向けに特化していたPalantirが、民間企業向けの導入実績を拡大できるかが重要なポイントです。

強気の2025年見通し

2025年の売上高ガイダンスは市場予想を大きく上回りました。フリーキャッシュフローの見通しも好調であり、財務基盤の強化と成長投資の両立が進められるか注視したいところです。

株価指標とAIテーマ

株価の上昇により、各種評価指標も高水準にあります。同社株はIBD(Investor’s Business Daily)のコンポジット・レーティングでは最高点の99を獲得し、機関投資家の買い需要を示す累積分配レーティングでもBを維持しています。AI銘柄としての人気や、さらなる上値余地があるかは投資家にとって引き続き大きな関心事となるでしょう。


まとめ

Palantirの第4四半期決算は、AIブームや商用部門の拡大を背景に市場予想を上回る結果となりました。特にAIプラットフォームを中心とした成長が売上に大きく寄与しており、2025年の売上高やフリーキャッシュフロー見通しも強気な数字が示されています。官公庁向けだけでなく商用ビジネスの momentum(勢い)が継続するかどうか、そしてAI分野でのシェア拡大が今後の最大の焦点となりそうです。投資家にとっては、同社が掲げる2025年の目標達成とAI市場の拡大を同時に楽しめるかどうかが判断の分かれ目となるでしょう。

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