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日本株は底堅く推移へ 米新政権の関税政策と日銀利上げが焦点
1月4週(20ー24日)の日本株は、米国の新政権による関税政策や日銀の金融政策を巡る不透明感が徐々に薄らぎ、底堅く推移するとの見方が示されています。ただ、トランプ大統領就任後の具体的な関税策次第では輸出関連株への警戒感が強まる懸念もあり、投資家の様子見ムードが広がりやすい週になりそうです。以下では、日本株の見通しや注目点を整理していきます。
米新政権の関税政策とマーケットの反応
カナダのトルドー首相は、トランプ大統領が北米で貿易戦争を始めるような関税政策を実行に移した場合、報復関税で対応する用意があると表明しています。こうした対立が激化するシナリオでは、自動車などの輸出関連株が打撃を受けるリスクがあり、日本株市場にも悪影響を及ぼす可能性が否めません。
一方で、トランプ大統領が現実的な政策対応にとどめるなら、マーケットへのショックは限定的との見方もあります。就任直後の具体的な政策発表で一時的な株価変動が予想されますが、政策内容が極端なものでなければ、投資家はリスクオンに戻る余地も残されているでしょう。
日銀の追加利上げ観測
日銀は23、24日に金融政策決定会合を控えています。トランプ大統領就任に伴う金融市場の大きな混乱がなければ、追加利上げに踏み切る公算が大きいとみられ、金利スワップ市場では8割超が織り込んでいる状況です。
通常、利上げは円高要因となり、輸出企業をはじめ日本株には逆風とされます。しかし今回は、すでに市場の織り込みが進んでいるため、実際に利上げが決定したとしても「材料出尽くし感」から株式相場が反発する可能性があります。実際、1月3週の東証株価指数(TOPIX)は週間で1.3%安と3週続落したものの、そうした警戒感をある程度織り込んでいると考えられます。
個別銘柄と国内イベント
23日にはニデックやディスコが決算を発表予定で、ハイテク株全体の物色動向に影響を与える可能性があります。また、24日は通常国会が召集され、石破茂首相の施政方針を含む政府4演説が行われます。政策面で新たな材料が示されれば、関連銘柄の動きにも注目が集まりそうです。
市場関係者の見方
アセットマネジメントOne・中野貴比呂アナリスト
「トランプ氏が大胆な関税策を打ち出すと株価にはマイナスになるが、現実的な対応であればむしろポジティブにもなり得る。
日銀の利上げは円安の流れが後退する点で短期的には株価の重しになる可能性はあるものの、内外イベント通過後に不透明感が晴れることで大崩れもしないだろう。」
大和証券・柴田光浩シニアストラテジスト
「トランプ氏の就任直後に相場が動く可能性があるが、やがて落ち着きを取り戻すだろう。
日銀の利上げはすでに織り込みが進んでいるため、踏み切ったとしても波乱は起きにくい。週後半には安定するのではないか。」
投資家視点で捉えるポイント
1. トランプ新政権の政策リスク
就任後すぐの関税政策の具体性やそのインパクトには要警戒です。貿易戦争が現実味を帯びれば輸出関連銘柄を中心に売りが先行する展開も考えられますが、政策が限定的であれば一時的な押し目買いの好機ともなり得ます。
2. 日銀利上げの織り込み度合い
市場が8割超を利上げに織り込んでいることで、実際の決定後は「悪材料出尽くし」として株式市場が反発するシナリオも十分に考えられます。短期的な為替動向(円高寄り)には注意が必要ですが、過度な株価の下振れリスクは小さいとの見方が優勢です。
3. 決算と国内政治イベント
23日に決算を控えるハイテク銘柄(ニデックやディスコ)の業績内容がテクノロジーセクター全体のセンチメントを左右する可能性があります。また、通常国会開会時の政府演説で具体的な政策が示されれば、内需・公共投資関連に物色が向かうか注目されます。
まとめ
1月4週の日本株は、米新政権の関税政策と日銀の利上げへの警戒感が残るものの、総じて不透明感は徐々に和らぎ、底堅く推移する可能性が高そうです。週前半はトランプ大統領就任関連のニュースフローをにらんで方向感を探る展開が想定されますが、週後半にはイベント通過で投資家心理が落ち着きを取り戻し、買い直しが優勢になるシナリオも考えられます。
投資家としては、貿易摩擦リスクや日銀の金融政策を見極めつつ、決算発表や国会での政策論議など国内要因にも目を配りながらタイミングを計ることが重要でしょう。