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Microsoft、第2四半期決算でクラウド収益が予想下回る ー 株価は下落

Microsoft (MSFT)が水曜日の取引終了後に第2四半期決算を発表しました。売上高・EPS(1株当たり利益)ともに市場予想を上回ったものの、クラウド部門の収益がアナリスト予想に届かなかったことが嫌気され、株価は4%以上下落しました。



クラウド事業の現状

インテリジェントクラウドの収益

同社のインテリジェントクラウド事業は、Azureを含むクラウドプラットフォームを中心とした部門です。今回の四半期での収益は255億ドルで、アナリスト予想の258億ドルをわずかに下回りました。
さらに、MicrosoftのCommercial Cloud(商用クラウド)事業は前年同期比21%増の400億ドルと堅調な成長を示したものの、ウォール街の予想(411億ドル)を下回っています。

AI関連サービスが牽引

CEOのサティア・ナデラ氏によると、Azureの成長にはAIサービスが13ポイントの寄与を果たしているとのことです。また、同氏は「私たちはテクノロジースタック全体でイノベーションを進め、お客様がAIのROIを最大限に活用できるよう支援しています。すでにAI事業の年間収益ランレートは130億ドルを超え、前年同期比で175%増となっています」とコメントしています。
一方で、AI関連の設備投資増によりクラウドの粗利益率は70%まで低下しました。


AI投資とDeepSeekの影響

巨大な投資と中国企業の台頭

MicrosoftはAIに関して多額の投資を続けており、2025年度には800億ドルを投資するとされています。しかし、中国のDeepSeekが低消費電力かつ低コストでのAIモデルを訓練していると発表したことで、投資家の間ではシリコンバレー勢が進める巨額投資の方向性に疑問の声も上がっています。

AI分野の競合状況

MicrosoftだけでなくGoogle、MetaなどもAI分野に注力しており、クラウドやAIデータセンターへの投資額は増加傾向にあります。しかし、DeepSeekの登場は「高額のAIチップを使わなくても、大規模なAIを動かせる可能性がある」と示唆しており、投資効率やコスト構造について改めて検討を迫る要因になっています。


第2四半期の詳細と市場の反応

決算の概要

  • EPS(1株当たり利益):3.23ドル(予想3.13ドル)

  • 売上高:696億ドル(予想688億ドル)

  • 前年同期:EPS 2.93ドル / 売上高 620億ドル

Microsoftはトップライン(売上高)・ボトムライン(EPS)ともに市場予想を上回りましたが、クラウド事業の売上が期待には届かなかったことで、発表後の株価は4%以上下落しました。

株価動向

AIブームの恩恵を受けているはずのMicrosoftですが、過去12カ月の株価上昇率はわずか5%にとどまっています。一方で、同じくビッグテックに分類されるAmazonは44%、Googleは26%上昇しており、相対的にMicrosoftの株価パフォーマンスが見劣りする形となっています。


PC市場への新たな取り組み

Copilot+ PCの狙い

MicrosoftはCopilot+ PCという新コンセプトでPC市場を盛り上げようとしています。AI対応のPCを利用することで、クラウドを介さずにAIアプリケーションをローカル環境で実行可能とする狙いがあります。

消費者の反応

しかし現状では、AIを使った斬新なユースケースよりも、むしろハードウェア面での性能向上やバッテリー駆動時間などが買い替えの主な理由として挙げられており、Copilot+ PCが本格的に売上を牽引するには、より明確な使いどころの提案が必要とされる状況です。


投資家視点で捉えるポイント

クラウドビジネスとAIの収益性

Microsoftのようなビッグテック企業はAIに莫大な投資を行っていますが、実際の収益性(粗利益率)の低下も課題として浮上してきました。AIが新たな収益源となるのか、それとも投資コストが重荷になるのかは、投資家が注目すべきポイントです。

競合他社・市場構造の変化

DeepSeekのように低コストでのAIモデル訓練を実現する企業が台頭してくると、既存プレイヤーのコスト優位性や研究開発投資の正当性が疑問視される可能性があります。市場全体の技術革新スピードはさらに加速することが予想され、競合状況も一段と激化するでしょう。

今後の投資戦略

Microsoftの株価パフォーマンスは他社より見劣りしており、クラウド分野の伸び悩みが短期的に株価に影響を与える可能性があります。しかし、クラウドとAIの長期的な需要拡大に期待している投資家にとっては、今後の成長戦略やサービス強化に注目が集まる局面ともいえます。


まとめ

Microsoftの第2四半期決算は全体として予想を上回る結果となった一方、クラウド収益が伸び悩んだことや、AI投資へのコスト増が意識される内容となりました。さらに中国のDeepSeekをはじめとしたAI分野の新興勢力が台頭してきており、ビッグテック各社の投資方針が改めて問われる場面でもあります。
今後はAIやクラウド市場の動向に加えて、Copilot+ PCを含めたマイクロソフトの製品戦略がどのように成長へつながるのかに注目が集まりそうです。

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