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Starbucks、中国戦略再構築へ新局面

Starbucks (SBUX) が、中国という第2の海外市場で再び存在感を取り戻すべく新たな戦略に舵を切っています。その背景には、競合他社の台頭や消費者の節約志向など、これまで同社が直面してきた課題があります。ここでは、Starbucks が取り組む組織改革やブランド再構築への試み、そして投資家として押さえておきたいポイントを整理します。



中国市場再強化への取り組み

新たな成長責任者の就任とブランド再活性化

Starbucks は、中国市場でブランド力を再注入するべく、初のチーフ・グロース・オフィサー(成長責任者)である Tony Yang 氏を任命しました。Yang 氏はセレブリティやエンターテインメントとの提携によって、中国における Starbucks ブランドの再活性化を図ると報じられています。

Tony Yang 氏の経歴

Yang 氏は 2022 年 11 月に Starbucks に合流する前、Geely Holding Group 傘下の Jiyue Auto でプロダクト開発に携わっていました。こうした異分野での経験が、Starbucks 内での新商品開発や顧客体験向上策に活かされることが期待されています。なお、中国地域を率いる CEO には 2022 年 9 月に Molly Liu 氏が就任しており、経営陣強化が進んでいます。


苦境に立つ Starbucks

地場競合の台頭と顧客行動の変化

中国では、Luckin’ Coffee (LKNCY) などの地元ブランドが勢いを増す中、Starbucks はかつての優位性を失いつつあります。同社が掲げていた「トリプルショット・エクスパンション」(9 時間に 1 店舗新規出店)プランは期待ほど進まず、市場シェアは徐々に侵食されています。

消費マインドの低下と売上減少

中国経済の減速や消費者の節約志向が進む中、高価格帯のプレミアムドリンクは敬遠される傾向にあります。その結果、Starbucks は直近の四半期で比較可能売上が 14% 減少し、市場での苦戦が目に見える形となっています。


米国からの視点と戦略見直し

米国での施策

米国では新 CEO である Brian Niccol 氏の下、メニューの絞り込み、コンディメントバー(調味料コーナー)の復活、淹れたてコーヒーを 4 分以内に提供する体制づくりなど、オペレーション効率化に注力しています。

中国事業のテコ入れ策

Niccol 氏は米国市場が依然として中心であると強調しつつも、中国市場の「成長機会を解き放つ」戦略的再考が欠かせないとしています。


外部提案:ライセンシングによる価値創出

Bank of America による提言

Bank of America (BAC) のアナリストは、Starbucks が中国事業をライセンス化または一部売却することで価値向上につながる可能性を示唆しました。実際、2022 年 11 月には Starbucks が中国事業に関するさまざまなオプションを検討しているとも報じられています。


投資家視点で捉えるポイント

ブランド再構築と顧客体験強化

投資家として注目すべきは、Tony Yang 氏のリーダーシップによってブランド価値が再生され、エンタメ要素を取り入れた顧客体験強化策が功を奏すかどうかです。

地域戦略の多様化とコスト最適化

ローカル競合の躍進や消費者行動変化を踏まえ、Starbucks が中国における出店戦略や価格戦略をいかに軌道修正するかは重要な観点です。ライセンス化や運営形態の見直しがどれほどスムーズに行われるか、投資家は中期的な成長戦略の進捗に目を光らせる必要があります。


まとめ

中国市場で勢いを失いつつある Starbucks は、新たな成長責任者の起用やブランド再活性化策、そして米国での効率化戦略を参考にしながら苦境脱出を図っています。ローカル競合の存在や顧客ニーズの変化を踏まえた戦略転換が進むなか、投資家はブランド再生と収益回復に向けた具体的な成果を注視することになるでしょう。

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