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米中古住宅販売件数、14年ぶり低水準

米国の中古住宅販売件数が、14年ぶりの低水準に落ち込みました。住宅ローン金利のさらなる低下や価格の下落を待つ購入希望者が多いことが背景にあります。この記事では、この市場動向を詳しく見ていき、投資家にとって重要なポイントも探ります。



米中古住宅市場の現状

住宅販売件数の減少

9月の米中古住宅販売件数は、前月比1%減の384万戸となり、14年ぶりの低水準に達しました。これは、ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の388万戸を下回る結果です。8月の販売件数は388万戸と、速報値より上方修正されたものの、依然として低迷しています。

金利と価格への期待

多くの買い手と売り手が、現在の住宅ローン金利が6%台半ばから下がるのを待っています。9月に一時的に2年ぶりの低水準に落ち込んだ住宅ローン金利は、その後上昇に転じています。しかし、最近の雇用とインフレデータを受け、米金融当局が借り入れコストを緩やかに引き下げるとの見方が強まっています。

ロックイン効果

中古住宅市場が低迷する主な理由の一つは、住宅所有者が現在の低金利での住宅ローンを手放したくない「ロックイン効果」です。これにより、市場に出る物件数が減少し、販売件数の減少につながっています。

在庫状況と地域別動向

在庫の増加

9月の中古住宅販売在庫は139万戸で、前年同月比23%の増加となりました。しかし、この水準は新型コロナウイルスのパンデミック以前の水準にはまだ達していません。また、在庫消化に要する期間は4.3カ月と、4年余りで最長となりました。

地域別の動き

地域別に見ると、南部と中西部、北東部では販売件数がそれぞれ減少しました。南部では1.7%減少し、2012年以来の低水準です。中西部では2.2%の減少で、13年ぶりの低水準に達しました。北東部では4.2%減少しています。一方で、西部ではカリフォルニア州とアリゾナ州がけん引し、4.1%の増加を記録しています。

投資家視点で捉えるポイント

金融市場との関連性

金利の動向が市場全体に影響

住宅ローン金利の動きは、住宅市場だけでなく、広く金融市場に影響を与えます。米金融当局が借り入れコストを緩やかに引き下げる可能性が高まっているため、金利低下は株式市場全体に好材料となるかもしれません。特に、住宅関連企業や金融機関の株価に影響を与えるため、これらの業種のパフォーマンスに注目することが重要です。

消費者行動と景気動向

中古住宅の販売が低迷していることは、消費者が大きな支出を控えている可能性を示唆しています。これは、全体的な景気後退リスクや消費の鈍化を反映しているかもしれません。特に、住宅市場が経済の大きな要素である米国において、この動きは消費者信頼感や他の消費関連銘柄にも影響を与える可能性があるため、慎重に見極める必要があります。

住宅関連銘柄への影響

建築・不動産銘柄

住宅販売件数が減少しているため、建築や不動産業界に属する企業の収益が減少する可能性があります。特に、住宅建設会社や不動産仲介業者は、この低迷した市場で影響を受けることが予想されます。

しかし、長期的には住宅ローン金利の低下により、販売件数が回復し始めた場合、これらの企業の業績は改善する可能性もあります。金利動向を注視し、短期的な低迷を見越した取引や、長期的な回復を期待した投資戦略を練ることが考えられます。

住宅関連サービス銘柄

住宅ローン、保険、リフォームなど住宅関連のサービスを提供する企業にも影響が出るでしょう。特に、権原保険や住宅ローン関連の銘柄は、住宅取引件数の減少とともに売上が減少する可能性があります。これらの銘柄を保有している場合、ローン金利の低下が市場にどう作用するかを観察し、適切な対応を検討する必要があります。

マクロ経済への影響

景気回復と市場のリバランス

住宅市場の低迷は、米国経済全体における弱さを反映している可能性がありますが、金利が下がることにより景気回復が進む場合、他の市場もリバランスされることが予想されます。特に、低金利環境が続けば、リスク資産への投資が活発になり、株式市場全体にプラスの影響をもたらす可能性があります。


まとめ

米中古住宅市場は、低金利を待つ買い手とロックイン効果により市場に出ない物件が絡み合い、販売件数が14年ぶりの低水準に落ち込みました。今後の住宅ローン金利の動向次第で、市場が再び活性化する可能性がありますが、在庫の増加や地域ごとの動向にも注目が必要です

米中古住宅市場の低迷と金利動向は、今後の株式市場に影響を与える重要な指標です。短期的には、住宅関連銘柄や消費関連株が下落するリスクがあるものの、金利の低下が実現すれば、これらの銘柄の回復を期待できる状況も考えられます。

投資家としては、金利動向に注目し、短期的な調整局面を見越して防御的なポジションを取りながらも、金利低下後の市場回復を見据えた長期投資のチャンスを模索することが重要です。

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