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スターバックス、CEOが「再成長への道筋」を強調するもタイムライン提示はなし

スターバックスのCEOであるブライアン・ニコル氏が、「現在はまさに事業の転換期にいる」と述べつつ、具体的な回復時期の見通しについては言及を避けました。直近の好決算を受け、株価は上昇しているものの、市場は今後の成長戦略とタイミングに注目しています。



好決算発表と株価の反応

スターバックスは、直近の決算で市場予想を上回る業績を報告しました。これを受けて株価は水曜日に5%上昇。アナリストからは「まだ下げ止まっているわけではないが、状況はこれ以上悪化していない」との声も聞かれます。

米国事業の状況

  • 米国では、モバイル注文のスピード改善や乳製品代替の追加料金撤廃(または見直し)など、細かな施策が効果を発揮し始めているとされます。

  • ただし、最新の四半期では北米および米国の既存店売上高は4%減少し、依然として苦戦中です。

国際事業の状況

  • 国際部門でも同様に4%の減少が見られ、中国市場においては前年比で6%のマイナスと、一部主要市場での需要低迷が浮き彫りとなっています。

  • これらの影響もあって、北米と国際部門の営業利益率は合計で前年同期比510ベーシスポイントの減少となりました。


CEOの戦略と今後の課題

スターバックスを率いるニコル氏は、「まだ完全には理想に達していないが、戦略を継続し、顧客や従業員の声を取り入れることで再び成長軌道に戻る」と強調しています。しかし、現時点では具体的な回復スケジュールについて明言していません。

投資と店舗体験の強化

  • マーケティング、人材、店内体験への投資を拡充するため、昨年10月に業績予想(ガイダンス)を撤回しました。

  • 店舗ではかつての「居心地の良いスターバックス」を取り戻すべく、セラミックマグカップでの提供を再導入するなどの取り組みを実施。

  • モバイルオーダーの簡便化や待ち行列の改善により、従業員の負荷軽減と顧客満足度向上を図っています。

2026年への視線

  • コーヒー豆の価格上昇が続くなかで、Citiアナリストのジョン・タワー氏は「今後の既存店売上の上振れ要因も下振れ要因もある。FY2026年の適正な収益力の目安が見えない中で、スターバックスに強気になりにくい」とコメントしています。

  • 同アナリストは同社株に対して「ニュートラル」の評価を継続し、リスク・リワードのバランスがまだ明確ではないと指摘しています。


投資家視点で捉えるポイント

モバイルオーダーの影響

モバイル注文をさらに改善することは、スターバックスが回復する上で大きなポイントになりそうです。長い待ち時間は顧客離れの原因となるため、テクノロジーを活用した効率化により来店客数の増加が見込めるか注目です。

コーヒー豆価格とコスト構造

コーヒー豆の価格上昇は同社の原価に直結するため、利益率の回復を阻害するリスクがあります。店舗体験の向上と原価増大のバランスをどう取っていくかが、投資家にとっては重要な見極めポイントとなるでしょう。

ガイダンス撤回の影響

業績予想を示さないことで、短期的には投資家がスターバックスの見通しを判断しづらい面があります。一方で、長期的には戦略的なリソース配分を柔軟に行えるメリットもあるため、その成果がいつ顕在化するか注視が必要です。


まとめ

スターバックスは業績改善の兆しが見えつつも、具体的な回復時期は未定のままです。米国・国際市場ともに同店売上高が減少傾向にある中で、CEOのブライアン・ニコル氏は店舗体験の強化やモバイルオーダーの効率化などを推し進め、長期的な成長シナリオを描こうとしています。投資家としては、コーヒー豆価格の変動リスクやガイダンス撤回後の進捗をチェックしながら、スターバックスの再成長に向けた取り組みの成果を見極めることが重要と言えるでしょう。

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