シェブロンとエクソン、第3四半期決算予想を上回る: パーミアン盆地での原油生産が好調
米国の石油大手、エクソンモービル(Exxon Mobil)とシェブロン(Chevron)は2024年第3四半期の決算で市場予想を上回る好成績を発表しました。低迷する原油価格にもかかわらず、両社の売上高や生産量、純利益はアナリストの予想を上回り、パーミアン盆地での増産が原油価格の下落による影響を相殺しました。本記事では、両社の決算ハイライト、株主還元の方針、競合との差別化ポイントについて詳しく解説します。
第3四半期の決算ハイライト:予想を上回る利益
エクソンモービルとシェブロンの両社は、第3四半期においてアナリストの予想を上回る決算を発表しました。エクソンの調整後1株当たり利益は予想を5セント上回り、シェブロンは11セント上回りました。この好業績を受け、エクソンの株価は一時2.7%上昇、シェブロンも4.8%上昇しました。
エクソンモービルの業績詳細
エクソンモービルは、生産コストの低さや原油・天然ガスの増産ペースで他の石油メジャーを上回るパフォーマンスを記録しています。エクソンの株価は年初来で15%以上の上昇を見せ、石油メジャーの中でトップのパフォーマンスを維持しています。また、第3四半期には十分なキャッシュフローを確保し、安定した配当実施が可能となりました。
シェブロンの業績詳細
シェブロンもパーミアン盆地での増産が好調で、低迷する原油価格の影響を緩和しました。しかし、エクソンとは異なり、第3四半期の配当実施には借り入れが必要となった点が異なります。それでも、シェブロンは効率的な生産拠点であるパーミアン盆地に注力し、今後も安定した収益を維持する計画です。
パーミアン盆地での増産が業績を後押し
シェブロンとエクソンモービルの両社が好業績を達成できた背景には、アメリカ南西部のパーミアン盆地における原油生産量の増加があります。この地域はシェール層の厚さや埋蔵量が豊富で、他の地域に比べて生産コストが低いため、原油価格が下落しても利益を維持しやすい特性を持っています。
パーミアン盆地がもたらす競争力
シェブロンとエクソンがパーミアン盆地で生産量を増やすことで、原油価格の低迷を乗り越える収益基盤が確立されています。低コストかつ効率的な生産が可能なため、投資家にとっては安定したキャッシュフローが期待できる拠点として評価されています。
欧州企業との比較:株主還元方針の違い
米国の石油メジャーであるエクソンモービルとシェブロンが積極的に株主還元を進めている一方で、欧州のBPは原油価格の変動によって自社株買いが影響を受ける可能性があると発表しました。また、シェルやトタルエナジーズは自社株買いの計画に変更を示唆していないものの、トタルは「妥当な市場環境」を前提とする姿勢を明らかにしています。これに対し、エクソンモービルとシェブロンは大規模な自社株買いや配当を維持する方針を示しており、株主への利益還元を重要視しています。
米国企業と欧州企業の違い
米国の石油企業は株主還元に積極的であり、安定的なキャッシュフローを確保することに重点を置いています。一方で、欧州企業は市場環境に柔軟に対応しつつも、環境・社会・ガバナンス(ESG)への配慮も強化しているため、株主還元に対する姿勢に違いが見られます。
投資家視点で捉えるポイント
シェブロンとエクソンモービルは、低コストでの原油生産に強みがあるパーミアン盆地での生産拡大を通じて、安定したキャッシュフローを維持しています。特にエクソンモービルは、年初来の株価上昇や競合他社よりも低いコスト構造で、投資家にとってのリターンの向上が期待されます。パーミアン盆地での増産は、エネルギー市場の変動に対応しやすい安定した収益基盤となり、投資先としての信頼性を高める要素です。
まとめ
エクソンモービルとシェブロンは、パーミアン盆地での生産強化により、低迷する原油価格にもかかわらず好調な決算を発表しました。特にエクソンモービルは、効率的な生産体制と競争力のあるコスト構造を背景に安定した収益を確保しており、石油メジャーの中でトップパフォーマンスを維持しています。米国と欧州の石油企業の株主還元方針の違いも注目され、パーミアン盆地の安定した生産基盤が今後の業績を支えると期待されます。エネルギー市場の変動にも強い企業として、引き続き注目すべき投資先となるでしょう。