成長維持を示すCostcoの2025年度第1四半期決算
2025年度第1四半期(2024年11月24日終了)の決算発表で、Costco Wholesale(NASDAQ: COST)は引き続き堅調な業績成長を示しました。拡大を続ける倉庫数、幅広い商品ラインナップの進化、EC(eコマース)の着実な伸び、そして会員数・会費収入の増加が、同社のビジネスモデルの強固さを改めて裏付けています。以下では、決算内容と事業トレンドをわかりやすく整理します。
業績ハイライト
増収増益の決算結果
第1四半期の純利益は17億9,800万ドル(1株当たり4.04ドル)と、前年同期の15億8,900万ドル(1株当たり3.58ドル)から増加しました。また、株式報酬関連の税務特別項目を除いても、純利益と1株当たり利益は前年を約10%近く上回っています。
売上高は609億9,000万ドルと前年同期(567億2,000万ドル)比で7.5%増加。ガソリン価格や為替変動を除く調整後でみると、既存店売上(コンプ)は世界全体で7.1%増と好調です。
会員数・会費収入の順調な拡大
会員数増加も同社の強みとして引き続き顕著です。会費収入は11億6,600万ドルで前年比7.8%増。米国・カナダでの更新率はわずかに0.1ポイント低下しましたが、これには新規会員獲得チャネルの多様化(特にオンライン加入会員が増えている)という要因が反映されています。総じて会員基盤は拡大を続け、Executive会員比率は販売高ベースで7割超と高い水準です。
新規倉庫と海外展開
倉庫ネットワーク拡大
2025年度は29拠点(うち3は既存店移転)の新倉庫開設を計画し、うち10拠点が海外でのオープンとなります。第1四半期中は7拠点を開設(1拠点移転を含む)し、ネットで6拠点増加。11月下旬にカリフォルニア・プレザントンでオープンした新倉庫は、初日の売上が290万ドルと米国内で過去最高の初日売上を記録しました。
国際市場での成長
カナダやその他海外市場でのコンプ売上は調整後で6%台後半の伸びを示し、海外展開も引き続き有望です。市場ごとの詳細は言及されていませんが、国際成長の足場はしっかりと固められており、会員制モデルが世界的に通用していることが確認できます。
商品カテゴリーの動向
食品・生鮮と非食品カテゴリーが好調
生鮮食品は1ケタ台後半の伸びを記録し、肉類では高価格帯カットと低価格帯商品双方で需要増が見られました。また、加工食品や冷凍食品も堅調です。非食品分野では宝飾品、ギフトカード、家具、スポーツ用品、医薬品、美容・健康関連、そしてハードウェアカテゴリーが2ケタ増を示し、商品構成の多様性が寄与しています。
Kirkland Signatureのさらなる伸長
自社ブランド「Kirkland Signature」は、すでに総売上の約33%を占め、高品質かつお得感のある選択肢として定着。価格引き下げや新商品の投入を通じて、ブランドロイヤリティと売上拡大を同時に狙う戦略が成功しています。
デジタル戦略とロジスティクス強化
EC売上13%増
EC事業は前年同期比13%増と好調で、調整後でもほぼ同水準の成長率を維持。アプリの機能改善(在庫確認機能追加など)、倉庫在庫の可視化、配達スピード向上、そしてコストコ物流による「大型商品の迅速配達」が奏功しています。
小売メディアへの初挑戦
小売メディア(Retail Media)はまだ「初回実験段階」ながら、CPG企業とのオフサイト広告キャンペーンで通常の2~3倍の投資対効果が得られたとのこと。25社以上のサプライヤーが次のキャンペーン参加に前向きであり、今後の収益拡大の一助となり得ます。
投資家視点で捉えるポイント
安定した会員基盤と着実な利益成長
Costcoは引き続き安定的な会員基盤と高い更新率に支えられ、売上・利益ともに堅調です。コスト最適化やプライベートブランドの拡大による差別化が、インフレや為替変動といった外部要因に左右されにくい事業基盤を形成しています。
成長のけん引役となるEC・ロジスティクス
ECや配送ネットワークの強化は、より多様な顧客ニーズに応えられる点で、中長期的な成長エンジンと評価できます。実店舗の増設とオンライン施策が相乗効果をもたらし、新規会員獲得や既存会員の購買頻度増加を促す好循環が期待できます。
新規出店と国際展開でさらなる拡大余地
新店オープンや海外市場への進出は、特に米国内で飽和感が出にくいことが示されています。プレザントン倉庫の記録的な初日売上は、既存密集地帯においても新規出店が新たな需要を喚起できる証左でしょう。国際展開も複数の市場で順調に進み、多元的な成長余地が感じられます。
まとめ
2025年度第1四半期決算は、Costcoが強固な会員モデルと商品戦略を通じ、引き続き成長軌道にあることを示しました。着実な新規倉庫展開、ECやロジスティクスの高度化、ブランド戦略の成功など、ビジネスモデルの優位性は確固たるものとなっています。投資家視点では、定常的な高更新率の会員基盤と多角的な成長要因(EC、国際展開、新規商品カテゴリー導入など)が、中長期的な価値創造を裏打ちしていると言えます。