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キャシー・ウッドが注目するTempus AI:AI活用ヘルスケア企業の動向

ARK InvestのCEOであるキャシー・ウッドは、長期的な「破壊的」テクノロジーに着目した投資で知られている。最近、彼女はヘルステクノロジー企業であるTempus AI株を大規模に買い増しした。その背景や企業動向、アナリスト評価をもとに、本記事ではTempus AIの現状を整理する。



Tempus AIとは

Tempus AI (ティンパス・エーアイ) は、2015年設立のヘルステクノロジー企業であり、AIを用いた精密医療の領域で事業を展開している。2024年6月14日に1株37ドルで上場した同社は、AIやクラウドコンピューティング、分子プロファイリングなどを活用し、より正確な診断と個別化された意思決定を支援することを目指している。

事業概要

TempusはジェネレーティブAIを含む先端テクノロジーを臨床現場に導入し、医師や研究者が膨大なヘルスケアデータを有効活用できる環境を整えている。これにより、より迅速で的確な治療方針の決定が可能となるとしている。

市場背景

クラウド技術や医療データのデジタル化が進み、低コストな分子分析手法が普及する中、同社は「今こそAIが大規模に精密医療へ展開できる転換点が訪れた」と、米国証券取引委員会(SEC)への提出書類で強調している。


投資動向と業績

ARK Investのキャシー・ウッドは、Tempus AIが上場後に株式を取得し、2024年12月6日から12日の間に約73万2,873株(総額約3,000万ドル相当、12月13日終値時点)を追加購入した。だが、同社株価は今月に入り約3分の1下落している。

Q3業績

2024年11月に発表された第3四半期決算では、1株当たりの損失が46セントと、アナリスト予想(31セントの損失)を下回る結果となった。一方、売上高は1億8,090万ドルで前年同期比33%増となり、市場予想(1億7,952万ドル)をわずかに上回った。
特にデータサービス部門が前年同期比64.4%の売上増と好調で、ゲノミクスやインサイト事業が成長をけん引している。

戦略的買収と財務見通し

同社は遺伝子解析企業Ambry Geneticsを6億ドルで買収し、診断テストの幅を広げ、対象疾患領域を拡大することでポートフォリオ強化を狙う。
2024年度通期売上ガイダンスは約7億ドルと、予想(約6億9,809万ドル)とほぼ一致している。これには調整後EBITDAが5,000万ドル改善する見通しも含まれる。


アナリスト評価

Tempus AIは未だ黒字化していないものの、複数のアナリストが同社の成長余地を評価している。

各社の見方

  • バンク・オブ・アメリカ(BofA)は、12月13日時点でTempus AI株の目標株価を52ドルから54ドルへ引き上げ、レーティングは中立を維持した。2025年に向けたヘルスケア・ライフサイエンスツール市場の回復基調を示唆しつつも、短期的な不透明感は残るとの見解を示している。

  • Wolfe Researchのアナリスト、ダグ・シェンケル氏はTempus AIを「アウトパフォーム」でカバレッジ開始し、目標株価を60ドルと設定。データ分野での収益化実績を「ベストインクラス」と評価している。

  • Guggenheimのアナリスト、サブ・ナンビ氏は「買い」レーティングと74ドルの目標株価を提示。腫瘍学(オンコロジー)領域での高成長市場と独自のデータ、包括的な診断メニューを強みとして挙げている。


投資家視点で捉えるポイント

成長性と事業展開

投資家にとって、Tempus AIはゲノミクス、データサービス、AI活用といった成長市場に焦点を当てる企業である。収益拡大と市場浸透に加え、Ambry Genetics買収による製品ラインアップ拡大が、中長期的なビジネスの底上げを図っている点が注目される。

アナリスト目標株価と業績動向

アナリストによる目標株価の引き上げや高評価は、投資家心理に一定の安心感を与える一方、未だ利益を出していない点や株価の短期変動リスクは念頭に置く必要がある。
2024年通期での売上・収益性改善見通しが示す通り、企業側が提示するロードマップと実績推移の検証がカギとなるだろう。


まとめ

Tempus AIは、精密医療とAIを組み合わせた成長領域で着実にビジネスを拡大している。キャシー・ウッドをはじめとした投資家の注目は高まっており、アナリストからの評価も上向く傾向が見られる。ただし、同社はまだ利益を生み出していないため、投資判断には今後の業績トレンドや事業拡大戦略の進展を注視することが求められる。

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