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米国企業の決算速報:3Qの動向をチェック!

今日も多くの米国企業が決算発表を行っています。エネルギー業界ではネクステラ・エナジー、航空業界ではボーイング、飲料業界ではコカ・コーラ、そして通信業界ではAT&Tなど、さまざまな業界の主要企業がその業績を報告しています。それぞれの企業が直面しているビジネス環境や成長戦略に加え、投資家にとって重要なポイントを深掘りしていきましょう。



ネクステラエナジー [NEE] 増収増益の好調な第3四半期

エネルギー業界を代表するネクステラ・エナジーは、2024年第3四半期で順調に増収増益を達成しました。売上高は6%増の75.6億ドル、営業利益は前年同期比で56%増の28.5億ドルという堅調な結果を報告。営業利益率も37.7%に上昇し、エネルギー市場の需要が続いていることを示しています。EPSも0.90ドルとなり、投資家にとっては安心材料となるでしょう。

業績ハイライト

  • 売上高: 75.6億ドル(前年比6%増)

  • 営業利益: 28.5億ドル(前年比56%増)

  • EPS: 0.90ドル(前年同期0.60ドル)


ボーイング [BA] 減収・赤字拡大の厳しい決算

航空業界の巨人ボーイングは、2024年第3四半期で減収、そして赤字が拡大しました。売上高は2%減の178億ドルに留まり、営業赤字は57.6億ドルと大幅に拡大。EPSもマイナス9.97ドルと深刻な結果となりました。ボーイングは航空機の製造や納期遅延の影響が続いており、厳しい経営環境に直面しています。

業績ハイライト

  • 売上高: 178億ドル(前年比2%減)

  • 営業赤字: 57.6億ドル

  • EPS: マイナス9.97ドル(前年同期マイナス2.69ドル)


コカコーラ [KO] 減収減益の結果

飲料業界のリーダー、コカ・コーラは2024年第3四半期において、売上高が前年同期比0.3%増の119億5000万ドルと堅調な成績を報告しました。これは市場予想の116億ドルを上回る結果です。しかし、調整後の1株当たり利益は0.77ドルで、こちらも市場予想の0.74ドルを上回りましたが、株価は下落しました。通期の売上高成長率見通しは約10%増へと引き上げられましたが、調整後利益の見通しは5-6%増に据え置かれたため、投資家の期待に応えきれなかった面があります。

さらに、平均販売価格は10%上昇したものの、ケース単位の販売数量は1%減少しました。これは中東や中国の価格を重視する消費者の影響を受けたとされ、販売量の伸びを期待していた投資家にとっては不満の残る結果となりました。

業績ハイライト

  • 売上高: 119億5000万ドル(前年比0.3%増)

  • EPS: 0.77ドル(市場予想0.74ドル)

  • 通期売上高見通し: 約10%増

  • 平均販売価格: 10%上昇

  • ケース単位販売数量: 1%減少


AT&T [T] 微減収と赤字転落も、ワイヤレス加入者数は好調

通信業界の大手AT&Tは、2024年第3四半期に微減収と赤字転落を報告しました。売上高は302億ドルと前年比0.5%減少し、最終損益は2.26億ドルの赤字となりました。しかし、ワイヤレス加入者数では40万3,000人の月額課金制無線電話加入者を獲得し、Visible Alphaの予想を上回る結果を出しました。

同社のプレミアムプランは、米国の飽和状態の通信市場で競争力を維持しており、ライバル企業に対しても一定の成果を上げています。特に光ファイバーと無線サービスのパッケージ化が奏功し、光ファイバー利用者の40%がワイヤレスプランも選択している点が成長の一因です。

さらに、アナリストのクレイグ・モフェット氏は「AT&Tのコンバージェンス戦略は高コストであり、すでに魅力的な市場に到達しているため、今後は密度の低い地域をターゲットにすることで、コスト増とリターン減を意味する」との見解を示しています。

また、営業費用は、ビジネスワイヤライン部門に関連する44億ドルの減損費用が影響し、14%増加の281億ドルとなりました。

業績ハイライト

  • 売上高: 302億ドル(前年比0.5%減)

  • 最終損益: 2.26億ドルの赤字

  • EPS: マイナス0.03ドル(前年同期は0.48ドルの黒字)

  • ワイヤレス加入者数: 40万3,000人(予想39万3,430人を上回る)

  • 調整後EPS: 0.60ドル(予想0.57ドルを上回る)


テキサスインスツルメンツ [TXN] 減収減益の半導体業界

半導体業界の重要プレーヤー、テキサス・インスツルメンツは2024年第3四半期で減収減益の結果となりました。売上高は8%減の41.5億ドル、営業利益は18%減の15.5億ドル。半導体市場の低迷が続いており、同社の今後の成長戦略が注目されています。

業績ハイライト

  • 売上高: 41.5億ドル(前年比8%減)

  • 営業利益: 15.5億ドル(前年比18%減)

  • EPS: 1.48ドル(前年同期1.87ドル)


投資家視点で捉えるポイント

今回の決算を振り返ると、各企業が置かれた環境に応じて異なる課題や成長機会が見えてきます。

ネクステラエナジー([NEE])は、エネルギー市場における堅調な需要を背景に着実な成長を続けています。特にクリーンエネルギーのトレンドが追い風となっており、長期的に安定したリターンを期待できる企業として投資対象にふさわしいでしょう。

一方で、ボーイング([BA])やAT&T([T])のような企業は、それぞれ異なるチャレンジに直面しています。ボーイングは航空機の納期遅延や製造問題により赤字が拡大しており、経営環境の改善には時間がかかると見られます。リスクの高い局面であるため、投資家は慎重な姿勢が求められます。

AT&Tはワイヤレス加入者の増加という好材料がある一方、売上全体や利益の落ち込みが続いています。プレミアムプランや光ファイバーとのコンバージェンス戦略がうまくいっているため、短期的な見通しは明るいものの、コスト増や収益率の改善には時間がかかる可能性があります。ここでもリスク管理が重要です。

コカコーラ([KO])は価格戦略により収益を維持しているものの、販売数量の減少が気になるところです。特に中東や中国市場の動向が影響を与えているため、地域別の需要動向を注視することが必要です。半導体業界のテキサス・インスツルメンツ([TXN])は減収減益の結果を受けて、今後の市場回復に期待が寄せられますが、依然として不透明な要素が多いです。

まとめると、ネクステラエナジーのように成長が見込まれる企業に注目しつつ、リスクの高いボーイングやAT&Tの動向を慎重に見守る必要があります。業界全体の動きに加え、各企業の戦略に対する市場の反応を見極めることが、投資家にとっての重要なポイントとなります。


まとめ

各企業が直面する課題と成長機会が明らかになりました。エネルギー市場の成長を背景に安定したパフォーマンスを見せたネクステラエナジーのような企業は、長期的に魅力的な投資対象として注目されます。一方、ボーイングやAT&Tは依然として経営面での課題が多く、慎重な対応が求められます。

また、コカコーラのように価格戦略で利益を維持しながらも、販売数量に影響が出ている企業も存在し、各市場での需要動向を綿密に追うことが重要です。今後も市場の変化や各企業の戦略を見守りつつ、適切なリスク管理とタイミングを見極めた投資判断が求められるでしょう。

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