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量子コンピューター関連株の反発:「チャンスは本物」と業界幹部が語る

量子コンピューター関連企業の株価が、大きな下落から一転して反発しています。テクノロジーの実用化時期に対する懐疑的な見方が広がった後に急落したものの、業界幹部は「実用的なビジネス価値がすでに存在している」と強調。その背景にはいったい何があるのでしょうか。本記事では、最近の動向や関係者のコメントを通じて、量子コンピューター関連株の今を見ていきたいと思います。



量子コンピューター関連株の急落と反発

量子コンピューター関連の銘柄は、つい先日まで大きな売りを浴びました。きっかけの一つは、Meta(旧Facebook)のマーク・ザッカーバーグ氏やNvidiaのジェンセン・フアンCEOが「本当に有用な量子コンピューターにはまだ時間がかかる」と発言したことです。
しかし、株価はその後反発。Rigetti Computing(RGTI)は約19%の上昇、D-Wave(QBTS)は7%、Quantum Computing(QUBT)は3%超の反発を見せました。

ザッカーバーグ氏の「まだ先」発言

ザッカーバーグ氏は、ジョー・ローガンとの対談で「非常に役立つ量子コンピューターが登場するのは10年以上先だろう」と述べています。ご本人も「専門家ではない」と前置きしていましたが、その発言が相場に影響しました。

Nvidia CEOによる懐疑的コメント

Nvidiaのジェンセン・フアンCEOも、ラスベガスで行われたCESのQ&Aセッションで「15~30年はかかるのでは」と発言。このコメントを受け、量子コンピューター関連銘柄は一時的に約40%下落するなど、マーケットの不安が大きく広がりました。


「実用化は進んでいる」と反論する業界幹部の声

D-Wave CEOの主張

これら悲観的な見方に対して、D-WaveのCEOであるアラン・バラッツ氏は「量子コンピューターはすでにビジネスに役立っている」と真っ向から反論しています。
彼によると、材料シミュレーションなどの重要な課題がD-Waveの量子コンピューターで「数分」で解ける一方で、従来のコンピューターやNvidiaのGPUシステムを使っても「数百万年」かかる可能性があるとのことです。

「今後ますます価値が高まる」

バラッツ氏は、昨年末ごろからの量子コンピューター関連株の盛り上がりはドットコムバブルのようなものではないと一蹴。「量子コンピューターは今すでに現実のものとして存在し、今後ますます価値が上がっていくだろう」と自信を示しました。


量子コンピューター市場の盛り上がり要因

企業や政府の取り組み

2022年11月には、Amazon(AMZN)が量子コンピューティングに関するアドバイザリープログラムを開始。さらに、アメリカ政府は量子コンピューター研究に追加で27億ドル(約2.7ビリオン)を投じる法案を導入するなど、官民あげての研究・開発が進んでいます。
また、Google(GOOG)も「Willow」という新しい量子コンピューターチップを発表するなど、各社の動きが続々と報じられました。

株価の変動

こうしたニュースを受け、量子コンピューター関連株は昨年11月末から12月にかけて大きく上昇しました。ただし、D-Wave株に関しては、今回の急落後に反発したとはいえ、2週間前の価格と比べるとまだ半分ほどの水準。とはいえ、昨年比で見ると約440%の上昇を記録しています。


投資家視点で捉えるポイント

長期視点の重要性

ザッカーバーグ氏やフアンCEOの「まだ先」という見解に象徴されるように、量子コンピューターが完全に実用化されるまでに時間がかかるという見方は根強いです。一方でD-Wave CEOのように「すでに活用が始まっている」というポジティブな意見もあります。投資家としては、短期の値動きに一喜一憂せず、長期的視点を持つことが重要でしょう。

技術的進歩とマインドシェアの拡大

AmazonやGoogleだけでなく、政府や多くの企業が量子技術への支援や開発に取り組んでいる事実は、確実にマインドシェアを広げています。実用例が増えれば投資家心理も変わり、関連銘柄への注目度がさらに高まる可能性があります。


まとめ

量子コンピューター関連株は、悲観的な見方から急落したものの、一転して反発。D-WaveのCEOが「すでに実用化されている」と話すように、今後も技術の進展が続けば、投資家にとってチャンスが広がる分野であることは間違いないでしょう。短期的な値動きには注意しつつも、長期的な視野で見守ることが大切です。

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